VS魔族──④
トワさんが硬質な翼を広げ──ミサイル弾のように一直線に飛んできた。
「ッ──!」
魔族が射線上から離れるように、半身になるように体をずらす。
が、避けきれず抉られたような傷が胴体に走った。
「人魔融合だと……!?」
『魔人化、ですよぉ〜』
ギザ歯をチラつかせ、妖艶に唇を舌で舐める。
凶暴な美しさと言うべきか。
女性特有の艶めかしさと、龍種特有の凶暴さ。
……綺麗だな……。
不覚にもそう思ってしまった。
『ご主人様』
『コハク、あんたねぇ……!』
「待て、誤解だ」
いや何が誤解なのか俺が聞きたいけど──。
ゴオオオォォォッッッ──!!!!
「おわっ!?」
『防御シールド!』
突然の暴風ッ。
スフィアがすんでのところで防いでくれて被害はなかったが……なんでこんな暴風が……?
暴風の発生源を見る。
魔人化したトワさんの拳が、爪が、魔族へと襲いかかり。
魔族もその全てに対応していて、互いの実力が拮抗しているのが見て取れた。
『いい、いいですねぇ、いいですよぉ〜!』
「貴様も、人魔融合をここまで使いこなすとはな。こんな人間、3000年前にもいなかった!」
2つの暴力が激突し、衝撃波を発生させている。
これが暴風の原因か……!
「魔族! 貴様の相手はトワだけじゃないぞ!」
コロネさんの手が光る。
直後、妖精種が手を重ねると、3体を光の球体が包み込む。
心を温かく包み込んでくれそうな淡い光。
「アイレ、アネモス、リーフ! 魔融合!」
魔融合?
3体を包んでいた光が徐々に薄くなっていくと──三面六臂の妖精種が現れた。
「え、きもい」
「コハク貴様、後で説教だ!」
本当のこと言っただけなのに!
三面六臂の妖精種は、背中(?)から生えた翼を羽ばたかせて宙を舞い、高速で旋回しながら魔族へ接近した。
スピードは2人に遠く及ばないが、手数や目の量でトワさんを邪魔せず攻撃と防御を繰り出す。
「むぐっ! おご! ごばっ!?」
トワさんだけでなく、妖精種も同時に攻撃してることで魔族も防ぎ切れなくなっていた。
「頑張れ2人共ー」
「ザニア、貴様も仕事しろ」
「えー、2人だけでよくない?」
「やれ!」
「へいへい」
今度はザニアさんの手が光る。
すると、獣王種2体の目が光り、メキメキという音と共に体の形が変形していった。
「魔変身・獅子人の型」
『『ゴアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!!!』』
うっ……! 凄い咆哮だ……!
ノワールとネロ。2体の獣王種は、筋肉や骨格がまるで人のようになり、たてがみをなびかせ二足歩行で仁王立ちしている。
テイマーの戦闘、奥が深すぎる……。
2体の人型獣王種が加わったことで、更に戦闘は一方的なものになった。
トワさんの超暴力。
妖精種の自由すぎる攻撃。
獣王種の息のあったコンビネーション。
「ぐっ……! おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッッッ!」
あっ、逃げた!
「やあ、いらっしゃい」
「ここからは僕達の」
「番だぜ、ゴルァ!」
「へ……?」
逃げた先。
そのに待ち受けていたのは、《剣聖の加護》を発動しているアシュアさん。
魔法杖から無数の魔術を発動させようとしているコルさん。
コルさんの《魔力付与》で筋肉が隆起しているロウンさん。
まさに地獄絵図だ。
「剣聖──閃光斬!」
「ほぺっ」
瞬きする暇もなく、一瞬で数百のパーツに切断する。
が、まだ殺し尽くせていないのかまた復活した。
「魔闘殲滅流──鬼連打!」
「チィッ! 舐めるなよ人間ァ!」
ロウンさんの鬼のような連撃。
対して魔族も同じ手数の連撃。
互角同士だが……僅かにロウンさんが押されてる。
と、コルさんが高速で魔術を詠唱した。
「《アイス・プリズン》」
直後、魔族の足元に現れる魔法陣。
そいつが魔族の体を順に凍結させていく。
「動けっ……!?」
「おらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらァァァッッッ!!!!」
す……げぇ……腕が数十本に見える……。
まさに鬼の連打……恐ろしすぎる。
『ご主人様、残りの魂が5つとなりました!』
「5つ……! 皆さんっ、魔族はあと5回殺せば死にます!」
こいつは終わらせる!
今日、ここで!
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