プロローグ②:幻獣種は国を捨てる
ここまで短編と同じです。
次回から続きに入ります。
◆◆◆
『な、何ですって!? コハクきゅんがターコライズ王国を出る!?』
白く何もない空間。
そこに集まっているのは、神聖な雰囲気を纏っている人外の存在達だった。
数にして数百……否、千は超えているだろうか。
人外の存在が、宙に映し出された映像を見て驚愕する。
映し出されていたのは、漆黒の髪にメイド服を着た美少女だ。
『はい。ご主人様は先程、ターコライズ王国を見限りブルムンド王国へ移る決意を固めました』
ザワッ──!
青天の霹靂。
まさか、ターコライズ王国を出るなど予想だにしていなかった。
『そ、そんな……!』
『コハクきゅんがいるから、わざわざこんな辺鄙な国に移ってきたのに!』
『私なんて既に神として崇められてるのよ!』
『俺も、加護を渡した人間が数人いるんだぞ!』
ザワザワとざわめきが大きくなる。
そんな人外の存在を、少女は無機質な目で見つめる。
『皆様、落ち着いて下さい』
ピタッ。
少女の声に、黙って耳を傾けた。
『先程も申し上げた通り、ご主人様はこの国を見限りました。つまり……この国はご主人様の素質を見抜けず、国を出るという苦渋の決断にまで追い込んだのです』
少女の言葉は、普段他者の話を聞かない人外の存在をも引き付けた。
今、この少女が喋る言葉を一言一句逃すまいと、無心になって聞き入る。
『皆様。ご主人様を……聖なる魂を持つあの方をここまで追い詰めたこの国に、未練はありますか?』
『『『『あるわけがない!!!!』』』』
人外の意思は決まった。
この国を──ターコライズ王国を捨てる。
そして人外の……全幻獣種の決断が、ターコライズ王国を破滅へと導くことになるのだった。
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