表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

15/184

危険《デンジャー》──④

   ◆



 おー。やっぱり派手だなぁ、皆。



『ウオオオオオオンッッッ!!!!』



 宙を翔けるフェンリルが、魔水晶の腹部を難なく切り裂き。



『豪炎の前に跪きなさい!』



 クレアの豪炎が傷付いた腹部の内側と頭部を焼き。



『目標補足。──爆撃(ファイア)



 ソフィアのミサイル(?)が16本の足を順に破壊していく。



 俺、見てるだけ。



 まあテイマーとしては正しい戦い方だ。

 でも傍から見れば、俺だけサボってるって見られなくもない。


 うーん、どうするか……。


 そのまま見てることしばし。

 デス・スパイダー亜種は、抵抗することも断末魔を上げることも許さず絶命し、落下してきた。



『弱々! 激弱!』

『これなら、フェンリルだけでよかったわね』

『油断大敵ですよ。……油断してそのまま食われればよかったのに』

『ぬあんですってぇ!?』

『知ってます? 蜘蛛って羽虫を食べるんですよ』

『ぬがああああああ!』



 まだまだ余裕そうだね、皆。

 皆の戦いっぷりは、見ていて爽快だ。

 殲滅、蹂躙って言葉がよく似合う。


 さて、デス・スパイダー亜種も倒したし、どうせなら魔水晶でも回収して──。


 ガシャッ。


 ん? 金属音?


 音がした背後を振り返る。

 あれ、この人達は……?



「……アシュアさん、でしたっけ?」

「ぁ……あ、ああ。そうだ……けど……」



 ……まさか、今の戦いを見られてた?

 それは……ちょっとまずいかもしれない。


 この人達は幻獣種(ファンタズマ)の姿が見えない。

 それなのにあんな戦いを見せたら、何を言われるか……。


 俺が警戒したのを感じ、皆が俺の傍に寄り添う。


 俺の警戒を感じ取ったのか、アシュアさんは剣を鞘に納めた。



「安心して欲しい。君と敵対するつもりはない。俺達は、さっきの魔物に用があったんだ」

「……何か知ってるんですか?」

「……俺達と君が洞窟で会った日の朝に、ここは危険区域(デンジャラスゾーン)に認定されたんだ」

「えっ!」



 危険区域(デンジャラスゾーン)だって!?

 そんな……じゃあここに来たのが俺達じゃなくて別のハンターだったら、誰か被害に合ってたかもしれないのか。



「本当はあの時点で止めるつもりだったが……まさか、君があそこから1日でここまで掘り進めるとは思わなかった。完全に俺の落ち度だ。許してくれ」

「ぅ……えと、俺も好き勝手掘っちゃったんで、オアイコってことでここはひとつ」



 フェンリルを褒めて、調子に乗らせたのは俺だし……。


 若干気まずくなって目をそらす。

 アシュアさんは苦笑いを浮かべ、「それにしても」と続けた。



「あの化け物を単身で倒すなんて、凄いね」

「ど、どうも」



 本当は単身じゃないけど。

 皆のことを言っても信じてもらえそうにないし、ここは黙って──。






「君、噂の幻獣種(ファンタズマ)テイマーでしょ」






 ──え?



「う、噂?」

「うん。最近テイマーギルドに入った新人で、幻獣種(ファンタズマ)テイマーがいるって噂。バトルギルドにも届いてるよ」



 そ、そんなに噂になってるの?

 


「……何で俺がそうだと?」

「昨日会ったとき、君はテイマーギルドのブローチを付けていたのに、近くに使い魔がいなかった。それが切っ掛けで、確信したのはたった今。あの化け物(巨大蜘蛛)を圧倒した火力……間違いなく、見えないなにか(、、、)がいると思った」



 なるほど……さすがバトルギルドのシルバープレート。洞察力も半端じゃないみたいだ。



「……その通りです。俺は幻獣種(ファンタズマ)テイマー。今はトワさんのテイマーギルドでお世話になっています」

「やっぱり! いやぁ、まさかこんな所で伝説の幻獣種(ファンタズマ)テイマーに会えるなんて!」



 アシュアさんは興奮してるのか、目を輝かせて近付いてきた。



「お近づきに、改めて自己紹介させてくれ。俺はアシュア・クロイツ。バトルギルド所属の剣士だ」

「僕はコル・マジカリア。同じくバトルギルド所属の魔術師です」

「俺ぁロウン・バレット。同じくバトルギルド所属の拳闘士だ、よろしくな!」

「は、はい。俺はコハクです」



 1人ずつ握手。

 ……強いな、この人達。シルバープレートとは思えない。



「……それにしても、危険区域(デンジャラスゾーン)にシルバープレートの皆さんが来るなんて、やっぱりバトルギルドの人達はレベルが高いんですね」

「……シルバープレート?」



 首を傾げる3人。

 あ、あれ? 違った?



「ははははは! 暗いからわかりづらかったかな。──俺達3人とも、ミスリルプレートだよ」

「え」



 魔銀ミスリル


 チラッとブローチを見る。

 ……確かに暗くてわかりにくいけど……シルバーとは違う。

 て、ことは……。



「バトルギルド、ミスリルプレートのハンター!?」

「がはははは! やっと気付いたか!」



 ロウンさんが豪快に笑う。


 いや笑いごとじゃない。

 バトルギルドは、戦闘職を集めた最強のギルドだ。

 その中でミスリルプレートと言ったら最強の称号。最強オブ最強の証だ。


 まさか、この3人がミスリルプレートだったなんて……!



「す、すみませんっ。失礼なことを言ってしまって……」

「はは、気にしないでくれ。それに、いずれ君には会いに行こうとしていたんだ」

「……俺に、ですか?」

「ああ」



 アシュアさんは再び手を差し出し、にこやかな笑みを浮かべ。




「コハク君。バトルギルドに入らないかい?」




 そんなことを言い出した。

まだ【評価】と【ブクマ】が済んでいないという方がいましたら、どうかお願いします!


下部の星マークで評価出来ますので!


☆☆☆☆☆→★★★★★


こうして頂くと泣いて喜びます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ