フェンリルVS偽ライガ──①
◆フェンリルVS偽ライガ◆
フェンリルが超高速移動し、偽ライガの後ろに回り込む。
オリハルコンすら切り裂くフェンリルの爪が、偽ライガに襲い掛かった。
が、偽ライガの持つ大剣がそれを阻んだ。
『むっ! 防がれた……!』
『────』
『ぐっ!』
偽ライガが大剣を振るい、フェンリルが吹き飛ぶ。
疑似的に創り出したライガとは言え、その力は本物に匹敵する。
本体の防御力は他の疑似生命体と同じだが、武器や攻撃力は本物と大差ないのだ。
『────』
『むぅ!』
片手に大剣、片手に太刀を構えてフェンリルを襲う偽ライガ。
フェンリルもスピードとパワーを生かし、連撃を防ぐ。
拮抗したパワー同士の激突で、周囲に暴風と衝撃波が吹き荒れる。
『こなくそー!』
フェンリルの口が大きく開かれ、魔法陣が浮かび上がった。
黄金色の魔法陣が回転し、風を切り裂くような高音を発する。
魔法陣が回転すると黄金色の球体が現れ、放電しながら超高密度のエネルギーとなり──。
『《天穿つ死の一撃》!』
『────』
黄金の光線が放たれた。
偽ライガはすんでのところで身を捩ってかわす。
天高く放たれた光線は、上空で黄金の爆炎となって霧散した。
『逃げるなー!』
更に放つ。放つ。放つ。
ことごとくを避けられるも、黄金の爆炎は大気を震わせた。
フェンリルの攻撃を避け切った偽ライガは大剣を大きく振りかぶり、筋肉を隆起させる。
『────』
直後、発火。
大剣を高速で振り下ろすと、周囲に熱波を放ちながら炎の飛ぶ斬撃を飛ばしてきた。
『邪魔ー!』
フェンリルの爪が炎の斬撃を消し飛ばす。
その隙をついた偽ライガがフェンリルに急接近。
太刀を振り、フェンリルの首を刎ねる──。
ジャリリリリリリリッッッ!!!!
しかし、太刀はフェンリルの体毛によって止められた。
『────!?』
『ふふんっ。僕の毛は攻撃を弾くんだ。偽物の攻撃なんかで倒せると思ったら大間違いなんだからね!』
『────!』
一瞬の隙をついて、超至近距離で《天穿つ死の一撃》を放つ。
また避けられたが、偽ライガの片腕が消し飛び大剣は霧散した。
『────』
片腕だけになった偽ライガは、表情を変えずに太刀を構える。
『まだまだ行くぞー!』
超高速移動と爪の攻撃が偽ライガを襲う。
さっきまでは両腕で捌いていたものを片手で受けることにより、僅かだが偽ライガの体に攻撃がかするようになった。
と、偽ライガは攻撃には移らず防御に徹するようになった。
片手で攻撃を受け、弾き、そらし、いなす。
それだけでフェンリルの攻撃は偽ライガに届かなくなる。
フェンリルも攻撃が当たらなくなったことに苛立ちを覚えたのか、攻撃の振りが大きくなる。
『うがあああ! よけるなー!』
『────』
ザンッ──!!
『ぅっ……!?』
フェンリルの肉球から鮮血が流れる。
確かにフェンリルの体毛は攻撃を弾き返す。が、体毛の生えていない肉球や口内は攻撃が通る。
そのことを見抜いた偽ライガは、フェンリルの攻撃の隙をついてダメージを与えたのだ。
フェンリルも初めて覚える痛みに、一瞬だが体が硬直した。
偽ライガの追撃は止まらない。太刀をしまい、より短く小回りのきく両刃剣を抜いた。
『────』
『うぅ!?』
剣士職だけが使える武技。
それを幻獣種、剣神ライガが使うとその威力は凄まじい。
体毛で攻撃を弾くが、その衝撃は体の内側に届いた。
初めて受ける幻獣種の本気の攻撃に、フェンリルの顔は苦痛に歪む。
『ッ! ガルアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!!!』
『────!』
フェンリルの放つ咆哮が衝撃波となり、偽ライガを押し返す。
悠久の時を生きてきたフェンリルにとって、初めてのダメージ。
しかも相手は、偽物とはいえ幻獣種。
初めての命のやり取りに、フェンリルは柄にもなく身震いをした。
恐怖? 否──武者震いだ。
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