VS七魔極・創造──④
◆テイマーギルド◆
「クルシュちゃん、纏いなさい」
「グルアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッッ──!!!!」
《魔力付与・パワー》により強化されたクルシュは、亜音速で移動しながら爪で切り刻み、ブレスで燃やし尽くす。
トワも、自分の所にやって来た魔物を引き裂き、捻り切り……鬼神のような暴虐さを見せていた。
「ふふふ〜。クルシュちゃんと魔人化しないで戦うのは〜、久々ですねぇ〜」
返り血を浴び、糸のように細い目が僅かに開かれる。
真紅の瞳と鮮血が、戦場には似合わない妖艶さを醸し出していた。
「アイネ、アネモス、リーフ。我らも行くぞ!」
「「「────」」」
妖精種3体が、コロネの力によって魔融合する。
三面六臂、三対六枚の翼を持つ異形の妖精種が、それぞれ違った印を結ぶ。
「《阿修羅の暴嵐》!」
直後、3つの巨大な竜巻が巻き起こり、それが高速回転しながら周囲の魔物を蹴散らした。
「このまま押し進め! 蹂躙せよ!」
「「「────!」」」
風の剣、風の槍、風の弓を携え、三面六臂の妖精種は魔物を切り刻んでいく。
「あー、ダリィ。でもコロネちゃんに怒られるのはもっとダリィし……少しは真面目に働くかぁ。ノワール、ネロ」
「「ガルッ」」
ザニアの言葉に、獣王種の2体は魔変身する。
二足歩行のワーウルフとなった2体。
そのうち、ノワールがザニアの背後に回り込むと──。
「これ疲れるんだよなぁ。……“魔人化”」
──漆黒の雷光が迸り、ザニアとノワールの体が渦をまくように一体となった。
漆黒の外套はノワールの毛皮。
狼の頭のようなフードが、ザニアの頭にまとわりつく。
歯は凶暴な牙となり、爪も鋭く伸びる。
細く引き締まっていた体も、まるで丸太のような筋肉へと変貌した。
「なっ!? ザニア貴様、魔人化できたのか!?」
「あー、なんかできた」
「チィッ、貴様に後れを取るとは……!」
「まあまあ。今は目の前の戦いに集中しましょうよ」
「貴様に言われんでもわかっている!」
ザニアとコロネは背中合わせになり、目の前の敵を屠っていった。
◆バトルギルド◆
「テイマーギルドのみなさんもやりますね。僕も頑張るとしますか」
その様子を見ていたコルが、身の丈ほどもある杖に魔力を流す。
魔法杖メモリー・オブ・マジック。
刹那、500もの魔術を保存している魔法杖から、無数の氷の槍が現れる。
「《アイス・スピア》」
掃射。氷の槍に貫かれた魔物は、断末魔をあげることなく息絶える。
更に炎、雷、風、土の槍が絶え間なく乱射され、魔物を近付かせずに蹂躙する。
まさに魔法師として理想的な戦い方だ。
「オラオラオラオラオラァ! 死にてー奴から前に出なァ!!」
と、コルの横をロウンが通り抜けて魔法の嵐の中を突っ込む。
「やれやれ。コントロールするの、面倒なんですよ?」
コルが杖を振るう。
すると、まるでロウンを避けるかのように魔法が動いた。
魔力を完全制御できるコルは、射出した魔法の軌道を自在に操れる。
無数に飛び回る魔法をコントロールできるのは、ブルムンド王国ではコルだけだろう。
「ハッハァ! 行くぜェ!!」
両手を大きく広げたロウン。
鈍色に光る手甲をぶつけると火花が散り、大炎となってロウンの腕が発火した。
「魔闘殲滅流──紅蓮!!」
無数の拳を近くの魔物に叩きつけ、その摩擦と空気抵抗で更に炎は大きくなり、魔物を焼き尽くす。
魔法を使わず、《魔力付与・フレイム》も使わず、努力と独力で炎を操れるまでになったロウン。
それを見たコルは、呆れたように嘆息した。
「《魔力付与》すれば楽なのに……」
「おめェさんがいない時のためだ。ま、丁度完成した新技だから、今はお披露目って感じだな」
「やれやれです」
その2人から僅かに離れた場所にいるレオンは、満足そうに頷いた。
「うんうん、いいぞロウン。ミスリルプレートだろうと、日々成長する努力は怠ってはならない」
「って、マスター後ろ!」
レオンの背後から獣種の魔物が襲いかかる。
「ああ、問題ない。──もう殺したから」
しかし、レオンは振り向きもせずに立っているだけで、魔物はまるで蜂の巣になったかのように全身に穴が空き、絶命した。
「霊槍レブナント──黄泉穿ち」
レオンに襲いかかる魔物が、音もなく何かに穿たれて息絶える。
レオンは何もしていない。本当に、立っているだけだ。
「魔法槍、霊槍レブナント。黄泉の国から死霊を呼び寄せ、不可視の軍団を従える能力を持つ。……オレ、多対一の方が得意なんだ」
レオンはギルドマスターに就任してから、表立って戦闘をしていない。
が、それより前は数々の戦場で無敗を誇っていた猛者だ。
この程度の戦場、星の数ほど経験している。
「すげぇ……」
「噂には聞いていましたが、これ程とは」
「私語はあと! 1匹も森から逃がすな!」
「「了解!」」
◆サーシャ◆
「フッ──!」
気配を消し、殺気を殺し、魔法剣を使って散り散りになった魔物を殺すサーシャ。
そのスピードと探知能力のおかげで、今なお森から一体も魔物は出ていない。
が、サーシャの頭の中はコハクで一杯だった。
(コハク君、大丈夫かな。強いのはわかるし、幻獣種テイマーだから大丈夫だろうけど……うぅ、心配だ……って何心配なんてしてんのさウチは! この心配は……そうっ、ウチの弱点を克服するためにコハクが必要なだけ! ホント、それだけだから!)
サーシャ・オウライズ。
自分の気持ちに気付くのは、まだ先になりそうだ。
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