萌えないゴミ
娘が最近、特に怪しい。
部屋でこそこそと、何かしている。
学校から帰ってきたら、自分の部屋に一直線。
夕食を食べ終わった後も、毎回すぐに、部屋に向かう。
気になったので、我慢できずに、娘に尋ねた。
「ずっと、部屋で何してるんだ?」
「内緒だよ」
「教えてよ」
「可愛くて萌えるものを作ってるの」
娘は満面の笑みで、ペロッと舌を出した。
今日もいつものように、早めに娘は家を出ていった。
僕は、出勤時間まで時間があるので、娘の部屋を物色することにした。
綺麗なピンク色で統一された部屋は、THE女の子といった感じ。
特に変わったもののないまま時は過ぎ、ふと目に入ったゴミ箱を何気なく覗いた。
すると、そこには僕の微妙な表情の写真が切り抜かれて貼られた、クリアファイルが捨てられていた。
僕の写真の横には、パパありがとう大好き、という脅迫文のように切り貼りされた文字もあった。
ずっと、誕生日プレゼントを作ってくれていたのだと、感動を覚えた。
しかし、昨日娘が言っていた、可愛くて萌えるものとは、かなりかけ離れているように思えた。