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第27話 ああああ、歓迎される


「で、では《ああああ》様。一旦こちらにてお待ちくださいませ。すぐに我らがリッツァーニャ国の王をお呼びいたしますので……それでは」


 ……結局。


「あっ……はい。お願いします」


 俺は書状の内容を知る事は出来なかった。

 ついさっきまであの兵士長を驚愕させ、挙句の果てには兵士達を総動員させるまでに至ったその内容を……マジでなんて書いてたんだか――


「なあ? アイツ、マジで魔物使いなのか?」

「ああ、兵士長の話だとそうらしいぜ?」


 だが幸いなのか俺が予想してた最悪の事態にはならなかったようで安心したぜ。てっきり兵士達が一斉に取り囲んできた時は()()()()()()()()()()()()にでもなるのかと一瞬思ったが、


「マスター良かったね。何も無くて」


「ほんとそれな。さっきは驚いたよ」


「んもお……兵士さんってばマスターの事を勘違いしすぎなの! あのガルシアって偉い人がマスターの事を魔物使いって言わなかったら、今頃絶対に追い返されていたんだからっ!」


「ははは……まったくだぜ」


 スラリーナが言ってくれた通りだ。

 預けた王様の書状には俺が魔物使いだという情報が少なくとも書いてあったらしく、それに驚いた兵士長はすぐに()()()()()()()。その後はこの城内にまでしっかり同行してくれたんだった。


「オイラ、まだ信じられないんだけど」

「俺もだ。だがガルシア兵士長の言葉だ」

「一般兵の俺達は兵士長を信頼するしかねぇ」


 だからこそ、こうして入国早々トラブル尽くしで兵士達にタコ殴りにされる恐怖すら感じていたが、おかげさまで現在は王の間に座っている。


「でもよ? もし嘘を付いていたら?」

「そりゃあ……あれだろ? 処刑だろ?」

「ちっ、やっぱり警戒は必要って事か」


 まあ、まだ兵士に睨まれていたけどな……。

 けれども今は兵士長の言う通りに待っとこう。

 きっと王様が来れば俺の無実も書状に何が記されていたのかも明らかになるだろうしな。



「失礼致します。《ああああ》様、大変長らくお待たせいたしました。つい先ほど王の準備が整いましたので、もうすぐに対談開始となります!」



 おっ、そうこうしてる傍から謁見の時間か。

 それと、何気に初めて会う別国の王様か。


(確か……城内に華々しく飾ってあった肖像画だとこんがりした肌に……どこか血気盛んそうな壮年のナイスガイって感じだったけど。実際はどんな風貌の王様なのやら……)


「では我らが王よ。お願いし――ぶっ!?」



「うおおおおおおおおっ! お待たせしたっ! 私がこの国リッツァーニャ六代目の王、ブラストルという者だ! 遠路遥々ご苦労であった!」



 おお! やっぱりだ。

 俺の思っていた通りのこんがりした男性だ。

 ってか、登場から元気だな。ロトシア(こっち)の物腰柔らかな王様と違って随分と活気に満ちて、やたらと張り切ってる人……ってあれ?


「うおおおおおおおおおおっ!」


 ダッダッダッダッ…………ダダダダダッ!


(あれ……なんかあの王様、兵士長にぶつかっただけじゃなくて……玉座に座らずなんかこっちへドンドン走ってきてる気が――)


「うおおおっ! そして君かねっ!? 君こそが私の旧友であるロトシア王の書状にあった伝説の魔物使いの力を持った青年なのかねっ!?」


(うわああああっっ!? 近い近い近い!)


 王様王様!?

 顔がメッチャ近いです!

 思わずそのままタックルでも食らうかと身構える程になんかこっち側に突進してきたんですがっ!? 血気盛んにも程があるでしょうがっ!?


「ぜぇぜぇ……どうなんだ……答えてくれ!」


 ヤベェ! 前の王様の時と完全に一緒だ!

 早く答えないと圧力で殺されそうだ!


「は、はい。確かに……俺は魔物使いです」


「おおっ、そうか! やはりロトシア王の書状通りだ。君が自国(ロトシア)に光を取り戻してくれた英雄にして人類の希望たる存在か……」


 へぇ、書状にはそんな事書いてたのか。


(なるほどな。俺達が人類の希望……うん?)


 へっ?

 いや……ちょっと待って?

 王様? 今なんと仰いまして?


「俺とスラリーナが……我が国の光を取り戻してくれた英雄にして人類の希望たる存在って?」



「うん? ああ。ほら、ここを読んでくれ。【此度其方の元へ送りし二人の使者。その内の男性は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()! そう! なにを隠そう彼こそが勇敢なる伝説の魔物使い《ああああ》。()()()()()()()()()()()()()()穿()()()()()()()()()()なのだ!】ってここにしっかりと記されて――」



「んなっ!? なにぃ!?」


 いやいやあの王様、誇張にも程があんだろ!?

 どう考えても話を盛りに盛ってんですがっ!

 もう具を盛り過ぎて麺すら見えない()()()()()()()()()()()()()になってんだけど!?


「そしてそちらの麗しいスライムの女性も――」

「うにゅ? 私も?」


「ああ、なんでも君は……【スライムと言う弱く見られがちな種族ではあるが、そんな常識など既に過去の物っ! 敵の能力を容易く取り込み操る複製能力、そして何よりも凄まじいのは彼女自身の成長速度! 主である《ああああ》殿と冒険する事()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()使()()『ダークマジシャン』を葬ったのだ!】……とここにガッツリ書いてあるんだが」


 いや、それ間違ってないけど言い方っ!

 どれも言い回しが大げさで強烈すぎぃ!

 ってか書状にはそんな事書いてたのっ!?


「えへへっ! 凄いでしょ!」

「おお! という事はやはり君が――」

「うん、私がやっつけたの!」


 おい待てスラリーナ、ストップ!

 今の誇張文章のせいで異常な期待を寄せられるこの中でそんな堂々とした言動したら――


「じゃあ皆見てて! どんな奴でも私のこの灼熱炎(しゃくねつほのお)で焼き尽くしちゃうから!」


 ヴォゴオオオオオオオッッッッッ!!


「うおおおおおお! なんと強烈な炎!?」


「「「んな!? す、すげぇぇぇ!」」」

「「スライムが灼熱!? 最強過ぎる!」」

「「可愛いのに……強いとか反則だろ!」」

「「やばい……凄い……ガクガクガク」」


 ほら言わんこっちゃない!

 王様も兵士も唖然としちゃったよ!

 驚いて腰抜かす奴もいる始末だよ!


「うむうむっ! さあこれで其方ら兵士達も皆納得したであろう! この二人の無実と潔白さを! 彼らこそ我が国の窮地を救う光なのだっ!」


 ちょちょ……ちょっと待って!

 そんなに持ち上げられても……。


「大体、兵士達がそれで納得するわけ――」


「「おおっ! 確かに我らが王の仰る通りです! 何かこう……すんごいオーラありますっ!」」


「やはり私達が惹きつけられたのにはそんな理由が……元々只者じゃないと思っていたんです!」

「実は……俺も覇気を感じてたんです! それこそ世界を変えそうなとんでもねぇ気配を……」

「控えめに言って……天からの使者っ!?」


 アンタら手のひら返し凄いですねっ!?

 先まで殺気に満ちた視線送ってたくせに!


(ってか()()()()()()()()()()()はここにもいんのかいっ! 転移直後での太鼓持ちといい、あれですか? 貴方達は兄弟か何かなの!?)


「よしよし! では挨拶が少し遅れたが歓迎しよう《ああああ》殿、そしてスラリーナ女史……ようこそ我が国リッツァーニャの地へっ!」


「「「ようこそ、リッツァーニャへ!」」」

「「我ら兵士達一同、歓迎致します!」」

「「どうかこの国に光をお与えください!」」


「わーいっ! やったねマスター!」


「おっ、おう。そうだな……」


 ま、まあなんにせよこれでいっか……。

 こうして無実も証明されて目的地に到着したし良しとしよう。

 ただその分この肩に背負わされたプレッシャーも半端なくなっちまったがな……。


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