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第14話 ああああ、ボスの名を知る

博士のセリフは基本無視で。バカになります。


 ……初めに感想を言わせてもらえるなら、


「であるからして……実はこういう事でして」


 ドミニク博士の話はとにかく凄かった。


「さらにですね。次は私がモンスターを研究する理由になった出来事なんですけど、実は30年前に曽祖父が残していたモンスターの資料を偶然目にした瞬間から私の人生は変わりました。そしていつかこの資料を元に世界最高のモンスター学者、モンスター博士になろうと夜空の星に誓ったあの日以降。私はモンスターの情報を求め続けていく事、幾星霜いくせいそう自分の動ける範囲内を可能な限り旅し色々な書物や土地の歴史を調べ、日夜ろくに睡眠も取らない研究を重ねてきました。でも実際のところはまだまだ半生近くかけてもなお未知の領域が多いのがこのモンスター研究と言うものでしてまたこれが実に私の研究意欲を――」


「…………………………」


 おっ……おほほぉ。す、すげぇ。

 博士の話が何一つ頭に入ってこねぇ。


 この本棚に囲まれた地下の研究室ラボに入る前までは年相応に礼儀ある人だと思ってたが、話の主題がモンスターになった途端に変貌。


「ですがやはり私も一人の人間。調べられる情報には限りがありました。中でも思い起こすなら約20年前におけるナバーナ平原にある地下洞窟、ゴールデンバレーにあった太古の神殿に関しては結局地震の影響による土砂崩れなどで埋まってしまい、その中にはどんなモンスターが生息していたのか。他の所でも生息していたモンスターなのか、あるいは新種のモンスターが生きていたのか。それを確かめる手段はもう過去へ飛ぶくらい――」



 もうこのザマだ。

 まるで人型言葉機関銃(マシンガン)

 コミュニケーション不足な人間にありがちな()()()()()()()()()()()()()にいきなり饒舌(じょうぜつ)になり、滅茶苦茶語りだすあの感じによく似ているよ。

 体感的に一秒に数十発は撃ってる気がする。



「さらに付け加えさせていただけるなら――」


「なあ、どうだスラリーナ。この連射機能付きの博士の解説に何か役立ちそうな情報はあるか?」


「……………………………………」


「スラリーナ?」


「zzzzzzzzzzzzz」


 ああ、ダメだ。

 完全におねむの時間だ。

 幸せそうに椅子にもたれて寝ちまってる。


「むにゅむにゅ……キュウキュウ」


 しっかし、やっぱり可愛いなコイツ!

 ついついこのプニュプニュしたほっぺに触れたくなっちまうぜ、ちくしょう!


「むにゅ。もうお腹いっぱいなの……食べられない」


 ほほお、これまたなんともベタな寝言だ。

 まあでも……仕方ねぇか。だってこんな苦手科目の授業並みに脳が理解する事を早々に諦めて、参ったって白旗あげてるみたいなもんだしな。


「さらに研究を進める中で判明しているのはモンスターの種族についてでして。その種類は――」


「あの! すいませんドミニク博士!」


「あっ、はい。どうされましたかな?」


「あの、早く王様が言っていた魔王配下の魔物について教えてくれません? 博士とモンスターの出会いについてはまた今度でも聞きますから!」


 まあ別に死んでも聞きたくないんだけど。

 だが、このままほっとけば俺も永久睡眠だ。

 起きたと思えばまた睡眠呪文(一人語り)されての無限ループに陥るのが確定しちまう。


(だからこそ、その前に止めねぇと)


「……そうですか。まだモンスターの種族別の話、スライム族やドラゴン族、悪魔族の解説などを是非ともお教えしたかったんですが……」


 いや、今はもういいからその話は!

 多分それ聞いてたら一生終わんないから!


「ゴホン。では話題を切り替えて、肝心の魔術師の塔にいる魔王配下の話に移りましょう!」


 よしよし、これで大丈夫だ。

 さあ、さっさと話を進めて――


「はい。そうあれはもう随分と前の話です、突然北東の方角に黒い暗雲が立ち込めたかと思えば見た事の無い一本の塔が這い出てきました、初めは何事かと思い多くの兵士が調査に向かったのですが初めはもぬけの殻でモンスターなんて一匹もいないただの廃墟だったんですがある日突然――」


 おっふ……しまった。

 進むどころか振り出しに戻っちまった。

 それも今度は大切な話なのに早口言葉みたいに並べるせいで一つも聞きとれんのだが!?


「私は今でもあの日の事を覚えています、とても怖かった、当時王に研究の実績を認められる中で、突如謎の塔の中から変なモンスターが現れ、領土内の村々を脅しているという不穏な報告が届き、再度城の屈強な兵士達が招集され確かめるべく向かって行きました、ですが……私も研究の為と兵士の方々に無理を言って塔の調査に出向――」


「博士、博士」


「ああ、今思い出すだけでもなんと恐ろしい光景だったでしょうか、塔から現れたという事件の黒幕である()()()()()()()()()()は次々と兵士達を返り討ちにしていき、30はいた筈の我々全員を怯えさせ追い払っていきました、そして自らを魔王の配下と名乗った事で私や王も恐怖――」


「博士! ドミニク博士っ!!」


「あっ、はい。どうか致しましたか?」


「いや、その……要するにその魔王配下の魔物はどんな奴なんだ? どんな姿でどんな特徴を持ってるんだ? 実に事細かで分かりやすい説明で助かるんだが、出来れば()()で纏めてくれ」


「あ、ああ……はい分かりました。纏めますね」


 頼むから、最初からそうしてくれよ。

 まあ……でもどうせこういう人物ってのはそうそう情報を纏める事なんて出来る訳ないか。


(どうせ、またさっきと同じみたいに――)


「まず魔物の名はダークマジシャン。様々な呪文を多用してくる強敵です。宝石が大好きで現在は村々の住民の命と引き換えに要求しています」


 いや出来んのっ!?

 ってか、()()()()()で纏めれんじゃねぇか!

 なら、さっきの長い語りは何だったの!?


「……以上がお望みである魔術師の塔の魔物の情報です。では話を少し戻しまして、再びモンスターの種族へと戻りましょう、そうあれは――」


(まあいいか。ひとまずボスの名前はダークマジシャン。戦闘方法は名前通りの魔法使い型で、あとは魔王から授かった力によって強化されているってわけか……よし、そんだけ分かれば十分だ)


「そう私の感動はこれだけには留まらず、実際のところドラゴン系というと、まず外せないのがその卵についてで、これが生まれる少し前に――」


「おーい、起きて。スラリーナさん」


「うんにゅ……もう朝ご飯なの?」


「はいはいそんなベタベタな事言ってないで。今から一旦王様の所に戻って、ボスモンスターのいる詳しい場所を聞きに行きますよ。ほらほら」


「うにゅ? でもマスター。まだあの博士のお話は終わってないみたいだけど、部屋出るの?」


 うん? ああ、それに関しては大丈夫だ。


「いやあ、ドラゴン系というのは実に素晴らしくてですね、私が次に感動したのは北に住――」


 きっとアレが語り終わる頃には100%世界が先に滅んでるからさ。手遅れになる前に行こうぜ。


ここまで読んでくださりありがとうございます。

なお博士のセリフの【元ネタ】が分かった方にはスーパーファミコンが4000円安くなるクーポン券とゲームマニアの勲章の授与をいたします(本当に授与するとは言っていない)

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