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第13話 ああああ、ボス討伐を依頼される


(うっぷ……)


 やべぇ、食べ過ぎた。


「おお、よくぞ来てくれた《ああああ》殿。急に呼び立ててすまんな。伝令を伝えた兵士によれば食事を済ませた直後だったそうだな。すまぬ」


 まさかこうして王様に呼ばれるなんて知ってたらあんなにバカ食いしなかったのに……。


「あははは……大丈夫ですよ。王様」


 とは言っても今にもおくびが出そうだぜ。

 いくらなんでも調子乗ってあの七面鳥みたいなカエルの丸焼きをおかわりするんじゃなかった。

 おかげでスラリーナも見事な満腹状態に――


「ふむ。では早速此度に招集をかけた理由へと移りたいのだが……その前に一つだけ良いかな?」


「……はい?」


 うん、王様ってば一体どうしたんだろ。

 それに俺じゃなくて、なにやら隣の方へ注目しているみたいだが……何かおかしな点でも?


「《ああああ》殿。其方、また新たなスライム種の仲間を見つけたのか? それに今度はなにやら随分と大きいスライムのような……それに愛しいスラリーナちゃんは何処に行ったのかのう……」


 ああ、なるほどそう言う事ね。


「ビ、ビビビビ……(もうお腹いっぱい)」


 王様、残念ですがこれがスラリーナです。

 いっぱい食べて少しデカくなっただけです。

 一応すぐに消化して戻りますけど、モンスター娘状態でいけば王様がショック受けるかなと思って、敢えてこのスライム状態で参上しました。


「ま、まあ王様。その話題については後でも詳細を話しますから本題お願いします」


 まあしかしスラリーナも立派な女の子だ。

 だから彼女にとっても太り過ぎぃ! とかデブスライムッ! なんて言われたら確実に傷つくだろうし、ここはとっとと本題に移ってもらおう。


「うむ、分かった。では早速本題だが、其方が魔物使いとして成長している事。そしてその要となるスラリーナちゃんも成長し、現在も果敢にモンスターと戦って修行しているとの報告を兵士達から受けておる」


 流石は王様だ。耳が早い。

 もう既にそこまで知れ渡ってんのか。

 まあ国の周辺で戦っていたから当然か。


「そこでだ。一度其方には北東にそびえる『魔術師の塔』へ挑んでほしいと思っておるのだ」


「魔術師の……塔?」


「ふむ。実はお主にはまだ話しておらなんだかもしれんのだが……その塔にはこの世界の平和を脅かす存在である【魔王配下の魔物】が根城にしておるのじゃ。してその魔物は――」


 ああ、なんだそれについてか。

 それなら神様ラスボスから教わったよ王様。


「たとえ屈強な兵士が束になって攻撃しても全然歯が立たない……でしょう? 魔王の加護を受けた配下のモンスターは同族モンスターの攻撃でないと効果が激減するって事ですよね?」


「おおっ、そうじゃ! その通りじゃ!」


「そこでそんな強いボスモンスターに挑む戦力として、モンスターを使役・強化して戦わせられる魔物使いの力が必須ってことなんですよね?」


「御名答じゃ! 流石は《ああああ》殿。そこまで分かっているのであればその部分は省こう!」


 よし、神様の話を全部聞いといてよかった。

 たまにはあの煽りスキルの塊も役に立つな。


「では、後の詳しい情報については我が国のモンスター研究の権威であるこの『ドミニク博士』から説明を受けてくれ。では頼んだぞドミニク」


「はい、我らが王よ!」


「ドミニク……博士?」


 王様の向けた視線的には玉座の脇。

 ちょうど王妃様の隣で控えている細身の男性。

 あの背筋が曲がっている中年の人だろうか?


「このドミニク確かに承りましたぞ! この私が長年の調査で蓄えました知識を《ああああ》様に提供し、必ずや魔王配下討伐に貢献できるように全身全霊をもって挑ませていただきます!」


「うむ、頼りにしておるぞ。ドミニク」


 ははは、なるほど……如何にも学者らしい見た目だ。目には片眼鏡モノクル、その腕にはモンスターの図鑑みたいな分厚い本を抱えてやがる。


「はっ! ありがたきお言葉です。それでは……失礼しまして。《ああああ》様、只今の我らが王によるご紹介に預かりました通り。私がモンスターについての研究や情報収集をしております、ドミニクと申します。どうか以後お見知りおきを」


「ああ、こちらこそ頼むぜ。ドミニク博士」


 さあてと、じゃあ聞かせてもらおうかな。


「はい、ではこちらへ。地下に私専用の研究室ラボがございますのでそちらでお話をします」


「スラリーナも連れてって大丈夫か?」


「ははは! 勿論ですとも。むしろ学者としてはスラリーナ様を観察したいくらいです」


「オッケー。じゃあ行くぞスラリーナ」


「ビビ……(了解なの……)」


 俺達がこれから挑む『ボス』について。

 魔王の配下って強い奴の正体をよ。


「おやっ! この大きなスライムがスラリーナ様だったんですか!? 私はてっきり王が先程言っていた通り、太ったスライムでも連れてきたかと――へぶっ!?」


「ビビビッ!(女の子になんて事言うの!)」


 ……オッケー、スラリーナ。ブレーキ。

 気持ちは痛いほど分かるが、一旦止まれ。

 ここで学者を殺したら本末転倒だからな。


「なるほど、食べ過ぎるとこんな感じになるんですね。いやあこれは勉強になりましたよ!」

「そりゃどうも。そんじゃあ早くラボに……」


「やっぱりモンスターも食べ過ぎると()()()()()()()!」


 よし、()れスラリーナ。


ここまで読んでくださりありがとうございます。

皆様も発言には気を付けましょう。殺されます。

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