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第10話 ああああ、再び謁見する

冒頭は前回のあらすじみたいな感じです。


「ううう……でもやっぱり、この状態でのすっぽんぽんは少し恥ずかしい……かな? ねぇ、マスター。何かこのおっぱいだけも隠せる服は――」


「スッ、スラリーナさん!? とりあえず戻って! お願い! 元のスライムの状態に戻ってください! アウト! こんな公衆の面前だと完全にアウトだから! あと色々見えちゃってるからあ! 胸とかお尻とか丸見えだからあああ!」


「……にゅ?」


 なんと! うちのスラリーナが()()に変身!

 さっきまでの丸い形の状態からいわゆる【モンスター娘】へと変身しちゃったんだった……。


 ―― ―― ―― ―― ―― ――



「おお! よくぞ来た《ああああ》殿よ!」


 俺はスラリーナの擬人化後。

 王様は早くもスライムを仲間にしたとの噂を聞きつけたのか、再び王の間へと招集された。


「ごくり、あれが噂の仲間モンスターですか」

「ふむぅ……確かにどう見てもスライムですな」

「ええ、ですが何処か可愛らしい。なんとなく愛着の湧きそうな優しい雰囲気が出ておりますわ」


 そして相変わらず周囲もざわついていた。


 この短期間で仲間にした事を驚く学者。

 スラリーナの可愛さを見抜く有能貴族。

 緊張しつつも気になっている兵士達などひっそりとではあったが様々な声が飛び交っていた。


「ええい、皆の者! 少しは静かにせんか! 色々と興味が湧いて興奮するのは分かるが、とりあえずここはワシに話をさせてくれ!」


 すると、そんな大勢の人達に王様は一喝。

 同時に玉座から降りると、こっちへと来る。

 それも……やたらとニコニコした表情で。


「ふむふむ……確かにスライムじゃな。だが襲ってくる気配も無く大人しいのう。流石は伝説の魔物使いの本領発揮といったところであろうか」


「あはは、そう言っていただけると光栄です」


 まあ、これといってまだ目立つ事してないけど。

 しかも魔王の配下どころか、未だ国外(フィールド)にすらろくに出れてないが……まあいいか。


「ところで、《ああああ》殿?」


「はい、何でしょう王様?」


「その……少し触ってみても良いかの? いやなに、この子が女の子という情報は聞いておるのだが、ワシは産まれてこの方モンスターに触れた事が無くてのう……一度触ってみたかったんじゃ」


「ああ、それだったら今確認を――」

「おおお! よしよし、可愛いのう!」


 ああ、それでニコニコとしていたのか。

 って……言う前から既に触ってんじゃん!

 許可取る前から勝手に触ってるんですが!?


(まあ、別にスラリーナがいいのなら――)


「ピィピィ! ピィピィ!」


「おお! 随分と喜んでおるようじゃな!」


「ピィィィ! ピィィィ! ピピピッ!」


「おお! なんとも元気がよい子じゃのう。活発な動きが武器とするスライムだけはあるっ!」


「ピィッ! ピピピピイッ!」


(……………………………)


 いや、あの……その、お、王様?

 大変申し上げにくいんですが……実は、



「ピピィ! ピピピィ! ピピピピッ!(ねぇ、マスター! この王様、()()()()()()()()()()()()なんだけど一つ文句言ってくれないかな?)」



 彼女(スラリーナ)すんげぇキレてます。

 親戚のオッサンが顔をスリスリする時にひげも擦りつけられて嫌がる子供みたいになってます。


「ふむ、だが言葉が分からないのは辛いのう。《ああああ》殿、何と言っておるのかのう?」


「えっ!? ああ、えっと……このままだと()()()()()()()()()なので控えてほしいそうです」


「なるほど! それは悪い事をしたのう。しかし眠くなる程とは……ワシの手捌きもまだまだ捨てたもんじゃないのぉ! わっはっはっは!」


「ピピィ!?(マスター、なんで!?)」


 いや言えるかっ! 俺が殺されるわ!



 ―― ―― ―― ―― ―― ――



「ゴホン! して……《ああああ》殿よ」

「はい、何でしょう?」


 結局、その後は王様以外の人も全員参加。

 当人のスラリーナはそれぞれの撫で方によって嫌がったり喜んだりしたりと忙しかったが、最終的には何処か満足気な表情で終わったんだった。


「これは、そのスラリーナちゃん……と言ったかな? その子を仲間にした後の其方の目撃情報なのだが……ちと奇妙な噂を一つ耳にしてのう」


 うん? 奇妙な噂?


「ふむ……実は先程、其方が【()()()()()()】と会話をしていたという話を耳にしたのじゃが」


 ギクッ!?

 それってまさかさっきの擬人化の時か!?

 くそう! あの短い間に誰か見ていたのか!


「いや、別に厳罰に処そうとかそういう話ではないのだ。英雄は色を好むというくらいだ。多少そういう女性関係があってもおかしくはない。ただ……日が高い昼間からそういうのは少し――」


 ち、違うんですよ! 王様!

 決して()()()()()()じゃなくて!

 なんていうか神の悪戯っていうか!


「むむぅ……まあ一応、ワシも嘘だとは思っておるがな。何でも目撃者の証言だと【全身青色の美少女】という馬鹿げた証言だったらしいからの。よって、あくまで確認をするだけじゃ……して《ああああ》殿よ、そういう事はあったのか?」


「うっ……そ、それはですね」


 ヤベェ、なんて言い訳しよう……。


 多分正直にこの子(スラリーナ)が擬人化したって言っても笑い話になるだけだし、強引に詰めていっても変人扱いされるだけ……さてどうすれば?


「ピピ! ピピピィ、ピピピッ!(むう、王様ってば随分と失礼なの! マスターはそんな事しないよ! 今、証拠を見せてあげるんだから!)」


 うわっ!? しまった、やべぇ!

 王様の問い詰めにスラリーナが怒っちまった!

 てか、待てっ! 今変身したら完全に――


「ピピッ!(へーんしーん!)」



 ピカンッッッ!



「あっ……」


「ほ、ほぉぉぉぉぉぉ! なんと!? スラリーナちゃんが件の美しい少女の姿にいっ!?」


「まあ! なんて大胆なお姿なんでしょう!」

「なんとスライムが人間の女性の形に……」

「控えめに言って……エロ過ぎる!」


 やっべ! ど、どどどうしよう!?

 いよいよ歯止めが利かなくなってきたぞ!

 服だってまだ買ってないのに、畜生!


(このままじゃもう大変な事に!)


「むむむぅ……ワシも男としては裸を見たいが。くそ、どうしても羞恥心から目を覆ってしまう! ああ憎らしい……この視界遮る両手が憎らしい! もう少し勇気を出せば見れるというのにぃ!」


 王様王様、す・き・ま。

 指の隙間、一ミリも隠せてませんよ?

 それ何の目隠しにもなっていませんよ?

 むしろ()()すらも隠せてないんですが。



「んまあ! 貴方ってば私という王妃(もの)がありながらなんて破廉恥なんでしょう!? たとえスライムの女性とは言え、そんなにじーっと見つめるなんて! まったく信じられませんわ!」



 ああ良かった! 助かった!

 傍にいた王妃様が怒って止めに来てくれた!

 さあ一刻も早くこのスケベ全開の王様の暴走を鎮めて、どうかこの事態の収拾をお願いしま――


「スラリーナさんと言いましたね! 私も後学の為、いえ同じ女性として()()()()()()()()()()()()()()()()()()わ! ほら兵士達、早くカーテンを! 私以外に見えないようにするのです!」


「は、はいっ! 王妃様ただいま!」


 いやアンタも見んのかいっ!?


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