拝啓、あいしている君へ
花は僕のほうを向かず月ばかり見ている
「愛している」
そういって放った言葉も、君に届く前に僕の喉に落ちた。
楽しそうに僕にのろけ話を聞かせる君は、僕の気持ちなんて知らないだろうな。
君に合わせて笑う僕は、本当に泣き叫びたいくらいに君を愛している。
病めるときも君を愛していた
狂えるときも君を愛していた
鬱せるときも君を愛していた
もしも
あなたが
僕の気持ちを知れば
優しい君はきっと困ってしまうだろう
悲しんでくれるだろう
優しく笑いかけてくれるだろう
でも、
きっとそれは僕が望むことじゃない
僕は君に愛してほしかった
弱い僕にはどうにもできないけど
忘れる前に綴っておこう
未来の僕が同情してくれるように
きっと未来のぼくは覚えている狂わしいほど君を「哀していること」
きっとそれはこれからも変わらないと思う 敬具