5 弱点
遅くなりましたm(__)m
「「「うおあああああああああ!」」」
チャンバー市の人達の喜び様は凄かった。あれから真っ直ぐデルガさんの元へと向かい、ここまでの首尾を伝えた次第だ。
するとどうだろう。先程まで死にかけていた皆が、何かに乗り移られたかのようにガラッと態度が変わり、今では死人も踊り出す勢いだ。
「ほ、本当に……市民は、街は……取り戻せたのですねっ」
デルガは涙と鼻水を顎の下でミックスさせながら両手を組んで喜びを再確認しようと俺へ向かって膝をついていた。
この感動のシュチュエーションが無ければちょっとドン引きの顔面と化しているが、それを言うのは我慢しよう。
「安心して下さい。もう大丈夫です」
チャンバー市の市民は現在魔物と一緒にチャンバー市で眠って貰っている。勿論全員生きている。
突然精神魔法が消えてしまったせいか眠ってしまったのだ。
一応確認したがしっかりと息をしていたので大丈夫だ。
流石に眠ったままの数万人と言う人間を移動させる事は不可能である為に、眠ったままにして来た訳だ。
現在は召喚した狼くん達に魔物の死体処理を任している。
もしチャンバー市民が眠っているところへ野生の魔物が襲って来たとしても、彼らが居ればボディーガードとしても機能するので安心だ。
俺達はその日の内にチャンバー市へと戻り、復興を手伝う事にした。デルガさん達もここにいる意味も無いし、俺達と移動した方が安全である事から同じタイミングで移動した。
復興と言っても何が目的だったのか魔物どもは建物を壊す事はなく、そのまま使用していたのでテトラが壊した建物を直す程度のものだ。
テトラが壊したものを放置する訳にもいかないだろう。
デルガさんが助けて頂いた上に復興まで手伝って頂けるとは……と言っていたが、テトラが壊したものだと言う事は言わない方がいいだろう。
当然テトラにはキツイお仕置きをしてある。今は半泣き状態で瓦礫を運んでいる。
俺達が外壁や家を修復している間に街を挙げての宴をやるとかで街中大騒ぎで準備をしていた。
丁度全ての建造物を修復し終える頃には宴の準備は整っていた。
「所で、テウラ?」
徐にエリーが口を開いた。
「あ? どうしたんだ?」
「初めて私と会った時、なんて言ったか覚えてる?」
「なんか言ったか?」
「あぁ、言ってましたねぇ。テウラは本当に覚えてないのかい?」
弄ったりしなさそうなシアンですらテウラを煽りだす。
「な、なんだよっ」
「た、確か……手合わせしたいとか」
そうケーラが言った瞬間、テウラの顔がみるみる青くなっていくのが分かった。
「や、そりゃ、よ? あの時は調子に乗ってたってかさ、なんつーかよ? あれだよ、井の中の蛙というかだな……」
「手合わせって何のことだ?」
当然俺に心当たりがあるはずもなく、理解不能だ。
「テウラがね?」
「ちょ、エリー、悪かったって……」
「アルと手合わせがしたいんだってよ?」
「……なんだ、そんな事くらい遠慮する事ないよ。今からやってみる?」
「や、そんな……アルディさんと俺じゃあ話にならないぜ」
「俺の方が年下なんだ。気軽にアルって呼んでくれないかな? それにテウラは十分強いと思う。さっき聞いた話じゃあ新しいスキルがあるんだって?」
「あ、あぁ。分かった。スキルってか称号? って奴らしいんだけどよ……【戦士】っつってまだまるで使いこなせてねーんだ」
「そう、それなんだけど。俺は【パラメータ】ってスキルがあるんだ。それでその称号の大まかな能力を知る事ができるんだ」
「マジか! それならケーラとシアンのも見てやってくれねーか?」
「ああ、構わないよ。その上でテウラの全力を俺にぶつけて見ないか?」
「……良いのか?」
やっぱり予想どうりの性格だ。
今の会話だけを聞くと小心者の様な印象を受けるが、どちらかと言えば大胆不敵と言う方が合っていそうだ。
それに元々なのかエリーと出会ってからなのかは知らないが、ケーラやシアンの中で1番戦闘に対して向上心がある。
そんな彼だ、きっと自分の新しい力を試したくてしょうがなかったはずだ。
聞いた話だとそれは最近の出来事で、まだ存分に【戦士】の能力を試せていないだろうという事は知っていた。
という事でこの話を持ち出せば乗ってくるだろうと考えたのだ。
結果は成功。
「俺もまだアビリティを得て間もないし、お互い様だからね」
エリーを色々と支えてくれたお礼もある。
それに俺はエリーやクロ、コア以外の称号の力を知らない。
今後他の魔王がレヴィアタンの様に簡単に倒せるとも限らないし、様々な能力に対して対抗できる様にしておきたいってのもある。
という事でテウラのステータスを開示する。
ついでに他のメンバーのステータスも開示し、同時に説明は済ませてしまおう。
【名前】テウラ・ストーンズ
【種族】ヒューマン
【年齢】16
【性別】男
【ステータス】レベル92
HP:3135
MP:826
筋力:1909
敏捷:1314
魔力:399
耐性:959
運気:92
【スキル】
戦士……3
逆境……6
剣術初級……8
剣術中級……5
体術初級……8
剣術中級……4
剛力……6
鉄壁……8
炎初級……2
光初級……5
炎耐性……7
水耐性……7
風耐性……6
土耐性……5
雷耐性……8
光耐性……8
闇耐性……3
【称号】
戦士……戦士としての能力常時大幅上昇。ユニークスキル【闘気】を扱う事ができる。
俺がこれを見て思った感想は、スキル多くね? だった。
一瞬転生者かと思った程だ。
俺の仲間は俺のスキルのせいかやたらとスキルを習得している。
しかし、ネット市のトラくんや今まで知り合った人のステータスをみる限り、スキルの数は平均的に2〜3個だ。
街の兵士や冒険者は比較的多めで5個を超える者もいたが……こうまで多いのは転生者くらいだからだ。
考えても仕方ない。この世界には英雄とか呼ばれる奴もいるんだし、1人でに強くなる人間も居るんだろう。
とりあえず【闘気】の説明を読んでみる。
【闘気】身体から発するオーラ。任意で実体化させる事も可能。纏わせる物により効果が変わるが、一貫して戦士に必要な能力。
との事だ。なかなか便利そうな能力だな。
ユニークスキル。聞き慣れない単語だ。名前からして称号に付属するスキルなんだろう。スキル欄に載ってないしな。それでユニークって事なんだろう。
【戦士】と【闘気】について話し、他のスキルレベルを上げても良いかと確認した所、是非との事でマスターさせて置いた。
「次はケーラで良いかな?」
「は、はい! お願いします」
【名前】ケーラ・ハウルス
【種族】ヒューマン
【年齢】13
【性別】女
【ステータス】レベル95
HP:2489
MP:3999
筋力:523
敏捷:1342
魔力:2886
耐性:2213
運気:103
【スキル】
逆境……6
魔力操作……4
体術初級……4
集中……7
魔力……7
炎初級……MAX
炎中級……6
水初級……MAX
水中級……8
水上級……3
風初級……9
風中級……6
風上級……1
土初級……8
土中級……5
雷初級……MAX
雷中級……9
雷上級……5
光初級……MAX
光中級……6
闇初級……6
闇中級……2
回復初級……MAX
回復中級……5
炎耐性……9
水耐性……MAX
風耐性……9
土耐性……9
雷耐性……MAX
光耐性……9
闇耐性……7
【称号】
賢者……魔力が常に大幅上昇。スキル【魔力操作】ユニークスキル【魔素吸収】を得る。
やっぱりおかしい。英雄とされるレベルの人間がそんなに存在する筈がない。
……まぁ、心強い味方ができたと思って気にしないで置こう。
それより気になるのが……
「なぁ、ケーラ。俺に向かって極大の風魔法を打ってみてくれないか?」
「え、え?」
風にした理由はケーラが得意とする魔法だからだ。得意だと分かったのはスキルレベルが高いからだ。
水ではなく風属性にしたのは処理し易いから。
「此処じゃなんだから少し建物から離れようか」
「ま、魔法をアルさんにぶつければ良いんですよね……」
途轍もなく不安そうにケーラは尋ねる。
「大丈夫、称号の中に気になる説明を見つけたから体験した方が早いと思ってね」
「なんだかわかりませんけど、そういう事なら私の結界を使えば良いですわ」
「ありがとう。助かるよ」
念には念をってね。
「大丈夫。怪我とかしないからやってみて!」
「わ、分かりました……」
「あ、それと……一度詠唱無しで魔法を出してみて?」
「……り、了解です」
いきなり俺に向かって魔法を打てと言われたのだ、当然驚くだろう。そちらの印象が強いせいか詠唱の方はそこまで疑問に思う事は無かった様だ。
「い、行きます!」
「思いっ切り打っていいからね!」
既に周囲にはジェンシーの張った結界が展開されている。ちなみに天井は無いタイプだ。
宴だー! とはしゃいでた市民達も、何が起こるのかと見物人がちらほら居る。
ケーラの周囲の風がまっすぐ伸ばされたケーラの腕へと集まる。ゆっくりと集められた空気の塊は、ケーラの目がカッと開かれるのと同時に発射される。
それを俺は【テイクオーバー】で神炎を纏った腕で受ける。
超高温の炎に触れた空気の塊は、急激に温度が上がる事で軽くなり上空へ拡散していった。
「そ、そんなあっさり……」
自信のある攻撃だったのかも知れないな。だが落ち込まないで欲しい。
「今の魔法、無詠唱で放つことができたのは気が付いたかな?」
「あ……ほ、本当だ」
ケーラは両手を広げて自らの手を見ていた。
「それと、周囲の魔素……魔力の源を身体で吸収する様にイメージして見て」
「は、はいっ」
ケーラは目を閉じて何かを念じる様に静かになる。するとケーラの周囲にあった魔素がぐんぐんケーラに吸収されていきだす。
「どう? 魔力が全回しなかった?」
「……も、戻ってます! 今使った魔力全部!!」
そう、彼女はどんな魔法でも本人が使える魔法で有れば実質無尽蔵に放ち続ける事ができるのだ。
魔力の回復に要するリカバリータイムを含めたとしてもめちゃくちゃ強い。
例えば俺の【テイクオーバー】は神炎を纏っていれば魔王すら圧倒するが、纏うことができる時間はおよそ10分程度だ。
制限時間があるのは神炎によって爆発的に魔力を消費する為だ。一度使い切れば半日は【テイクオーバー】が使えなくなる。
今の所唯一の弱点だが、こればかりはしょうがない。これでも魔力量にはそこそこ自信がある。普通の人が使えたとしてもものの数秒も持たないだろう。
【テイクオーバー】は放ってお終いという魔法ではない。つまりケーラの場合、もし【テイクオーバー】が使えれば纏いつつ魔力吸収を行えば、24時間スキルや魔法を纏い続ける事ができるのだ。
実に羨ましいスキルと言う訳だ。




