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4 再会とアビリティ


 かつて魔王マモンとの戦いでは圧倒的な力の差を見せつけられ、【神炎】を得て尚ベルゼブブを倒せず……


 これまでことごとく魔王には痛い目を見せられてきた。


 もう、何も守れないのは嫌だ。


 俺は、強くなった。


「遊びは終わりだ。テイクオーバー。神炎!」


 【テイクオーバー】直訳すると乗っ取ると言う意味だが、ちょっと意味は違うと思う。


 魔法の属性やスキルを自分が纏うと言うアビリティだ。纏った上でその力を自らのものにする。


 属性なら属性毎に効果がある。炎なら攻撃力、水なら魔力、風なら敏捷、土なら防御力、雷なら攻撃と敏捷。それぞれ力が上がる。


 もちろん属性毎に1つしか効果がないわけではない。炎でも防御力は上がるが1番は攻撃力という事だ。


 中でも【神炎】だ。これは凄い。俺はこれをテイクオーバーする事を神格化と呼んでいる。


 実際見た方が早い。


「遊びだと? 舐めるのも大概にするぎゃ!!」


 レヴィアタンは巨大な水の塊を頭上に形成していく。


「大質量の水だぎゃ。これで貴様も終わりだぎゃ……死ねぇえええ!!」


 直径50m程のデカさにまでなった水の塊が空から落ちてくる。


 面倒臭い。水は水蒸気爆発を防ぐのが大変なんだぞ?


「邪魔だ」


 神炎の炎で蒸発させて一瞬で消し飛ばす。もちろん性質変化で水蒸気も消している。


「ば……バカな……ぎゃ」


「遊びは終わりだって言ったろう?」


 瞬間移動のような速度でレヴィアタンに迫る。


 その正体はジェット機の様に足から噴出した炎によるものだ。


「ぎゃ!?」


 レヴィアタンの目の前で手を掲げ、唱える。


「爆ぜろ」


 かつて魔神ハダルがやって見せた技だ。


 わざわざ近付いたのはレヴィアタンの背後にはエリーやテトラが居るからだ。万が一にも彼女達に効果が及んでしまうことを防ぐためだ。


 そしてレヴィアタンは言葉だけで一瞬にして爆発したように飛び散った。


 俺はこれを神言と呼んでいる。明らかに格下の相手にしか使えないみたいだが楽だ。


 【神炎】は神の炎。人神カグツチが、命を懸けて与えてくれたスキルだ。簡単な推測だとこの神の名の入ったスキルを纏う事で俺自身が、神の力を得たと考えている。故に神格化と呼んでいる。


「さ、終わった終わった」


「なにもの……なんですの……」


「馬鹿げた強さだぜ……あの人がエリーの言ってた……」


「え、エリーがバケモノになってしまったのも頷けます……」


「アル……」


「よう、エリー。久しぶり」


 エリーは感極まった様で、俺の胸へと飛び込んできた。


「グルァウ……」


「クロも久しぶりだね」


 エリーはわんわん泣きじゃくるし、クロも身体を使って巻きついて離れないし、テトラはなんだかプクーっと知らんぷりだし、ダンジョンを枯れさせたと言うのにここを出たのはしばらく経ってからとなった。


 エリーの話では今からチャンバー市の魔物を一掃する予定だと言う。


 当然俺とテトラも協力させてもらう事にした。


「良いですわね予定通り魔物に気付かれずに分散しますわよ?」


「あ、あのー……言い忘れたんだけど、俺達ここに来る時堂々と暴れてきちゃったから……遅いかも……」


「な、何やってんのよアル!」


「ご……ごめん……」


「し……仕方ない、ですわ」


「こ、こうしましょう。アルディさんには例のバケモノを直ぐに倒してもらいます。その間僅か数分を私達は分散して市民を守りましょう」


「それしか無いですわね……」


「分かった。申し訳ない」


 俺が考えなしに突っ込んでしまった……いや。テトラのせいじゃね?


「よーし! やるぞ〜!」


「おい。お前のせいじゃ無いか? これ」


「細かい事は気にしないー」


 まぁ、仕方ない。今は1秒でも早く彼女らの言うバケモノとやらを葬らなければ。


「じゃあ、頼んだぜアルディさんよ」


 テウラ、だっけ。エリーと旅をしてくれた冒険者だな。詳しい自己紹介はまだだが、後でちゃんとお礼を言わなければ。


「任された」


 言葉と同時に【テイクオーバー】で【神炎】を纏い、高速で貴族街へ向かう。


 ジェンシーという子によると、ソイツはデカイ腹に大きな口を持つ気味の悪い魔物だそうだ。


「おっいたいた、アイツだな?」


 そのまま立ち止まる事なく突っ込む事にした。


 現在相当な速度で移動している。しかも身体の周囲には神の炎が燃え盛っている。今の俺は言わば炎の弾丸。


 このまま奴の体を突き抜けてやろうと言う作戦だ。


 それにしてもデカイ腹だな。真っ青な皮膚に雪だるまみたいな体型。何ともふざけた魔物だ。あれで人々を恐怖のどん底につき落とせる程の力を持つと言うのだから何とも……


〝ずしゅううううう〟


 思惑どうり俺は身体ごと奴の身体を突き抜けた。


「ぐぎゆあああっ」


 汚い悲鳴と共に、突き抜けた所の肉が炎で焼けて香ばしい匂いが漂う。


「あ、確かコイツ魔法を食べるから気を付けてって言ってたっけ?」


 【テイクオーバー】の場合魔法を纏っているから食べる事ができなかったんだろう。


 予想以上に早く親玉を倒す事に成功したので、雑魚殲滅戦に協力する事にしよう。


 とりあえず進捗状況を確かめる為、区隔壁へ飛び乗って街を見渡す。


 結論から言って全体的に思ったより制圧できていない。


「頭数が足りないよなぁ……」


 人口4万を超える人々が住むほどの広い街を俺を抜いて7人で制圧しようとしている事自体が正直無謀だ。


 いくら個が強かろうがこれだけ広範囲に散られていれば時間がかかる。


「ここはあれに頼るか」


 できるだけ広範囲に広がる様に100の魔法陣を展開する。


「サモンズ・ウルフ!」


 闇魔法の召喚だ。


 召喚したのは狼だ。原始魔法との組み合わせによって召喚される彼らは一見本物の生物だ。


 狼にしたのは単純に移動速度が速いからだ。エリーやクロの様な強さは無いが、雑魚を倒すくらいは余裕だ。


 この魔法も研究を重ね、今ではほぼ思い通りに召喚できる様になっている。


 そして俺は大声で命令する。


「街に蔓延る魔物供を殲滅しろ!!」


 狼達は元気な返事と共に魔物狩りを始めた。


 彼らの活躍もあってそれから僅か10分もかかる事なく魔物は狩り尽くされる事になった。


 その後、俺達は報告をする為にデルガさんの所へ行く事にした。


「デルガさん達喜んでくれるかな?」


「喜ぶに決まっていますわ!」


 目的を終えた俺達は特に急ぐ事なく雪原を歩いていた。


 今はジェンシーの結界で周囲を囲み、俺の温風魔法で快適空間での移動となっている。


 ここまでの話でジェンシーは冒険者だが、シアン、ケーラ、テウラは王国の聖騎士だと言う事を知った。


「所でアルディさん……でしたわよね?」


「あぁ、うん。アルでいいよ」


「それでアルさんは何者ですの?」


 何者、と言われても困る。だって何者でも無いんだもの。強いて言うなら転生者だろうか。


「アルは私の幼馴染で、大切な仲間だよ?」


 後ろからエリーが俺の背に飛びつきながら答えた。


「……では、その力はどうして手に入れましたのかしら?」


 どうやってか、ここ最近で著しく強くなったのはどう考えてもアビリティの効果だろう。


「どうだろう、最近アビリティを習得したんだ。さっき見せたやつ、【テイクオーバー】って言うんだけど……」


 そう言いながら俺は雷を纏って見せた。


 アビリティ、これは習得した者の心の底にある想いから成すと言われている。


 俺はただ強くなりたいと願った。だがどうだろう。俺は前世でも今世でも生まれた時から弱い。


 強さに対するイメージが欠けていた。


 つまり俺にとって強い人間……前世では奈々であり、今世ではエリーだった。


 俺にとって強さと言えば、俺以外の何かなのだ。


 それが俺の根底にあり、俺以外の強さを纏う。【テイクオーバー】を得たのだろう。


「あ、私もアビリティ習得したよ? 【マグネティック】って言うの」


 そう言ってエリーは小石と小石を両手で左右別方向へ投げた。


「引」


 エリーの掛け声と同時に石が空中で軌道を変え、衝突して砕けた。


「こんな感じ」


 【マグネティック】名前や効果から見ても磁力の力だろう。


 エリーの根底はなんとなく想像がつく。俺と離れ、コアと離れ、みんな一緒に居たい。離れたく無いそう願ったに違いない。


 俺はエリーよりかなり精神年齢は高いはずで、そんな事は分かっていたはずなのにこんなに回り道をしてしまった。しっかりしなきゃいけないな。


「その……なんだ。ごめんな。コアの事……あの時はさ、俺も動転しててーーー


「分かってるよ。私もごめんなさい。アルがコアの事信じてない訳ないって事くらい分かってる」


 気を遣ってくれたのか皆まで言うなとばかりに話し出した。俺はそれをただ黙って聞いていた。


 ジェンシー達も空気を読んだのか少し後ろに下がっていた。


 今はエリーと並び、真っ白な雪の絨毯に足跡を残す。


「私はね、アルと同じくらいコアの事大好きなの。物心ついた時からアルは一緒で、私より色んなことを知ってて」


 空を仰ぎながらエリーは語る。


「お兄ちゃんみたいって思ってた。時々頼りないけど、クロと3人で楽しかったし幸せだった。このままいつか3人で冒険するんだって夢ばっか見てて。でもそんな日常の中であんな事が起きて……」


 シーネ村の事だと思う。なんの前兆も無しにいきなり俺達の故郷は奪われたあの事件の事だ。


「凄く悲しくて、落ち込んで、怖くて。でもアルが側にいてくれたから頑張れた。でも本当は迷惑掛けたくないって無理してた。そんな時コアと出会って」


 何だかんだでエリーの事を考えているようで、俺は自分の事で精一杯だった。両親を亡くしたばかりで、平常心で居られるわけがない。自分の浅はかさを痛感した。


「コアは凄く冒険者の事に詳しくて、色んな事教えてくれて……アルよりしっかり者だし」


 てへっと戯けるエリーは少しだけ悲しそうだ。


「初めは喧嘩ばかりだし好きじゃなかったけど、一緒に強敵を倒した時はすっごい嬉しかったなぁ」


 そう言いながらシュッシュと軽く戦う振りをするエリーはとても楽しそうだ。


「一緒にいた時間はそんなに長かった訳じゃないけど、お姉ちゃんみたいって思ってた。コアの事何もかも知ってる訳じゃないけど、理由もなく裏切るなんて絶対しない」


 もちろん俺だって同じ気持ちだ。


「コアに対する感情は私とは違うのかもしれないけど、アルだって同じだって思う。お互い分かってた事なのにね、随分遠回りしちゃった。これ以上コアも待ってくれなさそうだし、一緒にコアの所に行こう?」


 俺達は何て馬鹿だったんだろう。俺は二度と同じ過ちはしないと心に誓い、エリーを抱きしめた。


「もちろんっ」



アルディもアビリティを習得できました!!

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