表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
61/69

20 龍人テトラ


 テトラの年齢についての謎とライラーヌさんの口調の謎は正直どうでもいい。


 普通なら年齢と現在が合わなければこの子は一体……となるだろうが、それはライラーヌさんの問題であって俺にとってはテトラがライラーヌさんの孫であるかどうかなんてどうでもいい。


 今目の前にいる彼女こそがテトラであって俺の友達なんだ。友達が誰の子供で誰の孫か、なんてどうでもいいのと同じだ。


 ライラーヌさんの口調に関しては本当にどうでもいいだろう。


 まぁもし仮に本当にテトラがライラーヌさんの孫であるのなら年齢のズレに関しては興味がある。


 かなりこじつけになるかも知れないが、時空のズレと言うものがあるなら某格闘漫画の様に強くなる為の部屋なるものがあるかも知れないからだ。正直アレには幼い頃からの憧れがある。


「何ぼうっとしてんだ。そろそろ準備しな」


 師匠の声で我に返って窓の外を見る。


 確か月の光がテトラの龍化に関係してるんだっけか、とすれば彼女が龍化するのも時間の問題だろう。


「テトラは何処に?」


 村の中で、ましてや家の中なんかで暴れられては建物まで守り切れない。テトラに自身の龍化を悟らせない為にも証拠を残す訳にいかないのであればそれはまずいだろう。何よりテトラの悲しむ顔が見たくない。


「あぁ、拘束具は壊れちまったが眠り薬はまだあるからな。もう飯に混ぜて眠らせてある。今は村からちょっと行った所に見張りを付けて寝かせてある」


 村の外であるなら多少は無茶して色々壊しても大丈夫だな。いざとなれば他の魔物のせいにでもすれば良い。


「では行きましょう」


 さて、どうしたものか。ドラゴンとの戦闘経験は無いし、テトラの所に着くまで作戦を考えておこう。


 一応この前まで拘束具でなんとかできていたらしいから、強さ的には魔王程では無いだろうが……


 中途半端に強過ぎると俺も手加減し切れない。最悪テトラを殺してしまう可能性だってある。


 俺に敵を無力化するなんてスキルや魔法は無いしなぁ。


 こんな時にあいつらが居てくれたら……特にコアだったらいい案を出してくれるんだろうな。


 時間一杯、夜が明けるまで戦って時間を潰すしか無いか。


「さぁ、着いたぞ」


 師匠は言葉も同時に立ち止まった。


 そこには今にも龍化するとは思え無いほどすやすやと気持ち良さそうに眠るテトラが居た。


 爆睡し過ぎてよだれが垂れている所はご愛嬌だ。


〝ビシッ〟


「何ですか? この音」


「始まった。皆んな離れろ!!」


 師匠の声でテトラを守っていた村人達が一斉に飛び退いた。


“ミシミシミシ〟


 異形な音と共にテトラの骨格がボコボコと……気持ち悪い事にはならず、光に包まれた。


「ギャオオオオオ!!」


 大きな咆哮と共に炎のブレスを俺に向けて放ってきた。


「ブレスなんか使えんのかよ!!」


「そんな、この前までは……」


 どうやら前回までは使えなかったようだ。もしこんな事ができるなんて知っていて俺に教えてくれなかったのだとしたら後で師匠に文句を言う所だった。


「ウォーターウォール!」


 炎には水と決まっている!


 いきなりで少し驚いたけど、威力としてはライラーヌさんの記憶で見たドラゴンの方が数段上だ。


 炎と水は相殺し、蒸気となって消えた。


 この程度なら余裕を持って防げる。おそらく日が昇るまで6〜7時間か。いけるか?


 龍化時の光が消えると同時にテトラは一直線に獰猛な爪を向けて俺へ飛び付いてきた。


 俺は迷わず腰に下げた剣を手に取る。


「あれ?」


 しまった! 剣は無いんだ!


 これでは物理的な攻撃は避けるしか無い。


 こんな事なら錬金術を覚えてすぐ何でもいいから剣を作って置くべきだった!


 一瞬の遅れで避けるタイミングを逃し、左右の肩を回転させる事で威力を殺す事しかできなかった。


「ぐうっ」


 右肩から鮮血が飛び散る。


「大丈夫か!」


 村人が心配して声を掛けてくれるが今は答える余裕がない。


 後ろへ飛んでいったテトラを目で追い、振り返りつつ回復魔法の名を唱える。


「ヒール」


 回復魔法のスキルをマスターして置いて良かった。


 シュウと音を立てながら傷口が塞がっていく。


 テトラがニヤリと笑みを浮かべる。


 大方、俺は物理攻撃が苦手とでも思ったのだろう。


 今のは油断しただけなんだからね!


 冗談はさて置き、一瞬の躊躇でダメージを受けてしまう程とは……


 言い換えれば一瞬の油断もできないほど早いという事だ。


「こりゃ長期戦はキツイな」


 倒すだけなら神炎があるがそんな強力な魔法を使う訳にはいかない。


 困ったな。


「ギャオオオオオ」


 先程と同じブレスをぶつけてくる。


「それはさっきも効かなかったろ? ウォーターウォール!」


 炎の威力に合わせた水の壁は余す事なく綺麗に蒸発した。


「ギャアッ」


「ぬお!」


 水蒸気の間からテトラが跳んでくる。


 コイツ、学習してる? 俺がまた同じ様にブレスを相殺すると踏んで、視界が悪くなる一瞬を狙って!?


 そっちがそうくるなら!


「サンドボーン!」


 プリンの様に破壊される土の柱。


 だがそれは視界を遮る為の柱だ!


 隙をついて屈みつつ横へフェードアウト。目論見通りテトラの爪は空を切って地面へ着地した。


 外した事が悔しかったのか地団駄を踏んでいる。


「なんだあいつ。まるでテトラだな」


 ん? まてよ、龍化してるとは言えテトラなんだよな? このドラゴン。


 あの態度、全くテトラの意識が反映されていない様には見えない。


「ドラゴンの中にテトラはいる?」


 それが分かった所でどうしろと言うんだ。


 もう一度全く軌道を変える事なく俺へと突っ込むテトラ。


 2度ならず3度までも同じ攻撃を見ていれば、なんの苦もなく避ける事ができた。


 ……また地団駄。


 ふざけてるのか? あれ完璧にテトラ入ってるよね。


 ちょっと行き過ぎた力に暴走しちゃってるって感じか?


 じゃあ意識が戻る様に刺激してやれば……


「なら殴って目覚めさせてやるとするか」


 不思議とテトラがビクついた様に見えた。


 そしてまた同じ跳びつき攻撃を繰り出すテトラ。3度ならず4度も。


 俺の予測は確信に変わった。


 2度目の時と同じ様に屈みつつ左へフェードアウトをし、そのまま右拳をすれ違いざまにテトラの右頬へ叩き込む。


「うおりゃあ!!」


 ふっ。これでも小学生の頃から休む事なく空手をやって来たのだ。体術スキルに補佐され、このステータスから繰り出され正拳突きは生前のものとは比べ物にならない程洗練され、とてつもない威力を持っている事だろう。


「ごふっ!」


〝ガコン〟


 あ、顎外れた。やり過ぎたか?


「いったぁあああい!!」


「おお! テトラが喋ったぞ!!」


「そんなバカな!」


「アルってばいきなり何するの!?」


 いや本当に、そんなバカな!


 こんな簡単にいくなんて。俺が考えていた事はこうだ。


 理由はともあれテトラはこの村に来た時には龍人として満月の夜は龍化していた。


 つまり幼い子供に強大な力を与えた所で扱える筈もない。その強大な力は暴走し自我を保つことさえできずに暴れまくった。


 その段階で村人達は呪いだと決め付け、制御できるものとは考えなかったのだろう。


 だが中身のテトラは肉体的にも精神的にも成長している。


 恐らく初めの頃は本当に暴れるだけだったのだろう。だが俺との戦いではテトラの性格がそのまま出ていた。


 だが暴走故に思考能力はない。だから同じ攻撃を何度も繰り返していたんだ。


 つまり少しずつ自我が現れつつあったという事だ。そのきっかけとして刺激を与えてやろうと思ったらめちゃくちゃ簡単に上手くいった訳だ。


「ちょっとアル!? 聞いてる?」


 村の人達はあっけに取られて言葉も出ない様だ。


「テトラ。今自分がどうなっているのか分かってる?」


「何言ってるのか分かんない」


 そりゃそうだろうな。いきなりそんなこと言われてもそうだろう。


 知らない方が良かったのかもしれないが、自我を持ってしまった以上仕方ない真実を知るべきだ。


 て言うか制御できる様になったんならこの姿から戻れないんだろうか?


「とりあえず見てみ?」


 土魔法で幅広のサンドボーンを出し、性質変化で鉄にする。そこから錬金術で鉄をピカピカにした即興の鏡を作ってやる。


「……きゃあああああ! 鏡の中にドラゴンがいる!」


「お前だよっ」


 思わず突っ込みを入れてしまった。


「え? なに? どう言うこと? こんなの嫌だよぉ」


 急に泣き出すテトラ。まぁ女の子が起きたら急に自分の顔がドラゴンになってたら泣くわな。


 俺はテトラの頭を撫でつつパラメータを起動してみた。


【名前】テトラ

【種族】龍人

【年齢】12

【性別】女

【ステータス】レベル21

HP:108

MP:42

筋力:58

敏捷:62

魔力:24

耐性:23

運気:132

【スキル】

覚醒……MAX

飛行……MAX

商談……MAX

寵愛……MAX

威圧……MAX

念話……MAX

体術初級……1

制御(龍)……1

【称号】

龍人の誇り


 【制御(龍)】ってのは龍化時の制御の技術らしい。


 【龍人の誇り】の説明はこんな感じだ。


 龍化時ステータス加算。HP.MP15000その他7500。誇りは自覚次第で変動する。


 最後の一文がよくわからないが、ステータス加算タイプの称号らしい。


 まぁ、見ての通り……テトラは転生者だ。


 気が付かなかった。今の今まで。ただの村人だと思っていたからな。出会う人出会う人にパラメータなんて発動してられないが、もししていたらいち早く気がつくことができただろうに。


 ついでに他のスキルも説明しておこう。


 【飛行】飛行ができる。その技術の向上。

 ドラゴンだからな。


 【商談】相手との話し合い技術向上。

 こんな所見た事ないが……あ、ソトルさんとなんかやってたな。


 【寵愛】様々なものから愛される傾向になる。

 村の人々全員に愛されてたしな。


 【威圧】相手を威圧する能力の向上。

 ドラゴンに吠えられたら殆どの魔物は縮こまっちまうな。


 【念話】離れている相手と会話ができる。

 なんだか便利そうなスキルだな。


 使い方知らないだろうからな、使えなかったんだろう。村じゃステータス測定して無さそうだし。


 クロと同じ変身するタイプなら封印が無きゃ不味いんじゃねーか?


 とりあえず【制御(龍)】をマスター。ついでに【体術初級】もマスターさせておく。


 そろそろテトラも落ち着いてきただろう。


 テトラの頭の上から手を退ける。


「よし、一旦元の姿に戻ってみようか」


「うん。やってみる」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=973208053&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ