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8エリーナside6


 結界は透明な薄い壁の様なものだ。2人を中心にドゥーム状に直径30m程で張られていて、目視で中は確認できる。どんな攻撃でもと言っていたが、エリーの攻撃まで防げるかは些か疑問だ。

 気がつくとギャラリーが増えていた。元々俺達が来た事で人集りはできていたが今はその数倍の人数がいる。何処からかエリーとジェンシーの喧嘩の事を聞きつけて来た奴らだろう。


「いくよっ!」


 先手を切ったのはエリーだ。何度見ても馬鹿げた加速だ。アレで魔法も使わず純粋な筋力のみに任せたスタートダッシュってんだから冗談きついぜ。


「は、速い!」


 その初速を見ていたデガルのおっさんが驚く。そうか、おっさんはまだエリーの戦いを見た事無かったか。


「大丈夫ですかね?」


「大丈夫だろ?」


 俺達が心配しているのはエリーの事では無い。ジェンシーの事とここの地形の事だ。


「バリアキューブ! ですわ!」


〝ギィンッ〟


 低い金属音が鳴り響く。

 一辺が50cm程の半透明な箱がエリーの剣を受け止める。


「おお、やるじゃねぇか!」


「さ、流石にSSランクに推薦されるだけは有りますね」


「な、何呑気な事を言ってるですか? 貴方方はお仲間がどうなっても良いんですか!? 相手はロルドラ・ジェンシー様なんですよ!?」


 やっぱりおっさんは分かってねぇみたいだ。エリーの本当の強さをまるで分かってねぇ。万が一にもエリーが負けるなんて想像ができねぇ。


「まぁ……みてな」


「は、はぁ……」


 納得したのかしてないのか分からねぇがおっさんは2人の戦いに注意を戻した。


「その程度ですの!?」


「どれくらいの攻撃に耐えられるか試させて貰うよ」


「何処までも生意気なんですわね!」


 やっぱりさっきのは本気じゃなかったんだな。ん? ちょっと待て、その構えは!?


「巨人踏破!」


 巨人踏破。まさに巨人に踏みつけられたかと思うほどの衝撃波の連続攻撃だ。上級剣技の1つだが難しい技じゃねぇ。ただの脳筋攻撃だ。


 地震かと思う程の地響きと共にバリアキューブが消し飛ぶ。


  ずっと筋トレしていたからか、最近アレの威力は前の比じゃねぇ。大体クロ並にデケェ巨大な岩とかで筋トレしてんだぜ? あんなもん食らったら即死だぜ。


「え、えええっ!? ジェンシーさん大丈夫でしょうか?」


 地面とか原型留めてねぇぞ? ジェンシーは生きてんのか?

 そう言えばアルディってのはどんな奴なんだろうか。エリーより強いらしいが……手合わせしてぇとか言ってたバカを今はぶん殴ってやりたい気持ちで一杯だ。


「ちょっと! なんですの!?」


 直径5m程のクレーターができ上がり、クレーターの周囲にできた瓦礫の山から現れたジェンシーは驚きの声を上げる。


「なんだ、大した防御力じゃあないんだね」


「くぅ、な、舐めてもらっては困りますわ! 私の本気の結界はこんなものではありませんのよ!? まだまだこんなのお遊びですわ!」


「ふんっどうかな?」


「今の、もう一回受けてあげますわ!」


 そう言ってクレーターの中へ飛び降りた。


「じゃあもう一回」


「来なさい!」


「巨人踏破!」


「アブソルウォール! ですわ!」


 分厚い光の壁がジェンシーの上半身を隠す様に現れる。そして、次に来るだろう衝撃に備えて重心を低く構える。


〝ズガガガッ〟


「っく! なんて馬鹿力ですの!?」


 全くだ。


 一撃毎に吹き飛びそうな身体を何とか地面に固定させ、今にも壊れてしまいそうな光の壁を修復し続ける。


「うん、次からこれくらい本気で防いでね!」


「は? ちょっとまちなーー


 巨人踏破を一度止め、ジェンシーと距離を置く。再度剣を構えて一気に間合いを詰める。


「はぁっ!」


「バリア! ですわ」


 薄い光の壁が次々に生成されていく、が……おいおい、あんな弱そうなのでエリーの剣を受ける気か?


〝ガリガリガリッ〟


 あぁっ終わった。そう思った。が、実際エリーの剣は空を斬っていた。


「掛かりましたわね! フリーハンド! ですわ!」


 そうか! 1つひとつに大した防御力じゃねぇが、斜状にする事でエリーの攻撃を逃したのか!? しかもよく見れば1枚ずつ角度がちげぇじゃねぇか! それを何十枚と重ねて剣の軌道を少しずつズラしたのか! 大した魔力コントロールだ、流石SSランク。


「くぅっ」


 防御に回した魔力が小さかったからか反撃の速度が速く、次々と黒い腕が地面から現れる。その腕達は拳を作り、エリーへと強襲する。軌道をズラされ、体勢を崩したエリーは全てを捌ききれず、一撃貰っちまった。アレが噂の理力魔法か。


「っつ!」


 ダメージはそこまで無いようで、他の腕は何とか体を捻り、受け流す事で無事離脱に成功する。


「びっくりしたぁ! けど火力不足だったみたいだね」


「ふんっ一撃……当たりましたわね?」


「それが何? 大したダメージにはなってないよ」


「アビリティ……プリズン。貴女は泥沼にはまってしまいましたのよ。抜け出す事は不可能。もがけばもがくほど抜け出せなくなるのですわ」


 なに言ってやがんだ? 確かに一撃当てる事はできたが、エリーに同じ手はもう通用しねぇぞ。


「そんなはったりにいちいち怯えるとでも思った?」


「まさか貴女。アビリティも知らないなんて言いませんわよね?」


「……知らないけど」


「田舎の出って言うのは本当だったみたいですわね」


 なんかいちいち尖った奴だな。


「何のことかわからないけど、一撃当てただけで調子に乗らないでくれるかな? まだまだこれからだよっ」


 そう言ってエリーは剣を鞘へと収める。


「武器をしまうなんて、何を考えていらっしゃるの? まさか諦めましたの?」


「最近、剣より……こっちのが動きやすくてね」


 そう言って拳を前に構えた。エリーは片手剣を使っているが剣術、と言うより力技が多く技術的な事は苦手としていたので、一度体術を進めて見たらもろハマりで動きも無駄が減った。後は武器が無い分火力が落ちる所が課題で、まだ慣れてないから使わなかったんだろうが、どう言うつもりか体術で戦うつもりらしい。


「スタイルを変えたところで同じですのよ! フリーハンド! ですわ!」


 黒い腕が再度地面から現れる。先程より余裕がある為か数倍の数、50近くはあるだろうか。その腕達がジェンシーの動きに合わせて一斉にエリーへと襲い掛かる。


「はっ、よっ」


 上手く身体を使って腕を弾いていく。


「だからっ何っ度も同じ手はっ聞かなっいよ?」


 迫り来る拳をガンガン弾き飛ばしながらジェンシーの目の前まで迫っていく。


「ちょ、ちょっと……信じられませんわ!? 一体何回触れたと思ってますの!? これでダメならっコレならどうですの!?」


 更に50近くの腕を出し、100本近い腕を同時に制御している。マジかよ。魔力コントロールに掛けてはエリーの何百倍も上手いな。


「はい、終わりっ」


 全ての腕を撃ち落とし、ジェンシーの眼前に拳を突きつける。まぁ、コントロールは大したものだが……脳筋には無駄だったみたいだな。


「ま、参りましたわ」


「そ……分か……? こ、れで……」


〝ドサッ〟


 エリーが力尽きた様に地面に倒れ込む。


「どんな体力してますのよ。バケモノ並ですわね……認めますわ。貴方達は強い。ダンジョン制覇も任せられますわ」


「エリー!」


「え、エリー!」


 すぐにオリジナルスペースが解除され、俺達はエリーの元へ向かう。


 どうなってやがる。戦闘でエリーがダメージを受けた所なんて無かった。エリーが倒れる要素が見つからねぇ。さっきまでぴんぴんしてたってのに何が起こった!?


「うぅごめんね、なんか凄い疲れちゃったみたい……眠たいや。心配しないでいいよ」


 まぁ、大丈夫そうだから良いけど。


「んで? あんた、何をしたんだ?」


「何って……アビリティですわ」


「貴方達もアビリティを知りませんの?」


「聞いた事あるような無いような……分かりません」


「あ、ありませんっ」


 ケーラはエリーにヒールを掛けながら質問に答える。


「良いですわ。もう馬鹿にしたりはしませんの。ちゃんと教えますわ」


 既にその言葉が馬鹿にされてる気がするんだが、もう何も言うまい。


「アビリティと言うのは簡単に言えば戦闘用のスキル見たいなものですわ」


「普通のスキルって事か?」


「んー、スキルではありませんの。スキルには無い自分だけの技なのですわ」


 だめだコイツ。説明下手過ぎるぜ。全員がはてな顔を浮かべている。ケーラなんか……可愛そうなものを見る目になってやがる。


「だーかーらー。ある時急に使えるようになるのですわ! 他には無い自分だけのーーー


 ジェンシーの説明で理解しようとすると果てしなく長くなりそうだから俺が纏めよう。実際俺達が理解できたのは夜中だった。


 一度ジェンシーで説明したら分かるだろう。


 ジェンシーのアビリティはプリズン。これは任意で相手の何かを閉じ込める効果なんだとか。エリーとの戦いでは体力を閉じ込めていたらしい。と言う事で閉じ込めているなら早く返せと一悶着あったがそれは今は置いて置く。


 アビリティつまり個性の様なものらしく、自分の心の望みが体現されるらしい。その証拠にジェンシーは結界が得意な魔術師だ。何も自分の願望がアビリティにのみ反映されるものでは無い。そりゃあ才能なんてもんもあるから望み通りにはいかねぇが、基本は自分の興味のある分野を無意識の内に使ってしまうもんだ。故に自然とその分野が成長していく。ジェンシーはまさにそれを証明する様な存在だ。


 ここからは俺の予想だが、ジェンシーは今見ただけでも分かる事で、我儘だ。きっと生まれた時からそうだったに違いない。人一倍独占欲の強いジェンシーは全てを自分のものにしたかった。だから結界なんて言う自分だけの〝檻〟を作ることができる能力を好んだ。そしてその願望はアビリティにまで及び、プリズンなんて能力が手に入ったのだろう。

 もう一度説明しておくとプリズンは相手の何かを奪い、閉じ込めて置ける能力だ。我儘なジェンシーにぴったりな能力だろう?


 まぁ冗談はさて置き、このアビリティってのは自分の魔法やらスキルに組み込むことができるらしい。逆に言えばアビリティ単体で発動する事はできない様だ。そりゃあジェンシーの様なアビリティが何の条件も無しに発動できちまったら無敵だ。ジェンシーの場合だとフリーハンドにアビリティを組み込めば相手に触れた分だけ望んだものを1つ奪う事ができるらしい。ちなみにエリーの体力が馬鹿げた数字だった為になかなか奪い切れなかったそうだ。

 コレは組み込むものによって条件が変わるらしい。例えば最初に使ったオリジナルスペースに組み込めばその中に居る間は奪い続けることができるが、簡単な条件の為か奪える値が小さくなるらしい。もっと言えばエリーだけがすっぽり入るだけの範囲で結界を出せば奪える値も大きくなるらしい。だがそんなものすぐに壊されて終わりだから、実質使えないのだそうだ。


 まぁ俺が聞いた話はこんなところだ。それにアビリティが覚醒するには相当な時間と願望、運が必要なんだとか。ジェンシーが言うにはエリーや俺達は概ねもうアビリティを習得してもおかしくないんじゃないか? って言ってたが……今の所何の実感もない。ちなみにアビリティは人によっては2つ3つ持つ者もいるらしい。って事とステータスプレートには乗らないらしい。


 やっと来ました新設定!


 カャラの個別化が目標の第三章!

 アビリティで個性を出していきたいとずっと考えていて、いつ出そうかと思っていましたがやっと出すことができました!!


 既に読んで頂いて居る方は引き続き、これから読んで頂ける方は新たに、ダンジョンに強さを求めた結果!?を楽しく読んで頂けたら幸いです!!

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