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4エリーナside2


 なんだか流れで3人も旅の仲間が増えちゃったけど……なんでこんなことになってんの?


「いくぜぇえええ!」


「何度言わせるの? 同じ攻撃だけじゃ簡単に見切られちゃうよ」


「まだまだぜ!」


 突っ込んで来ては弾き飛ばされ、また突っ込む。何度言ってもイノシシみたいに突進しかできない。


「そんな、テウラがまるで子供扱いだなんて」


「そ、そんなに力の差があるんですね」


 いやね、同じ角度でしか打ち込んで来ないし、打ち込みも踏み込みが甘いから腰が入ってないし、これじゃあわざと当たれって言われる方が難しいよ。確かに純粋なスピード、筋力なんかを見ると多分Cランクくらいの力はあるけど……


「まるでなってない。いい? 自分よりも上の相手に無理に突っ込んでもしょうがないの。そんな時は色んな攻め方を考えるの。例えば直前でフェイントを入れて打ち込みの角度を変えてみたり、突っ込む時にフェイントを入れて横からせめるのもいいし、兎に角工夫をしなきゃ」


「よし、これならどうだ!」


 そう言ってまた真っ直ぐに突っ込んで来る。


「だから……」


 そのまま上に剣を構えて振り下ろ……下から? 上から振り下ろされると思った筈の剣が下から振り上げられて来ていた。


「なかなかいいよ!」


 下から振り上げられる剣を弾く為に私も下に剣を構える。


「えっ上!?」


 確かに下に見えた筈の剣が上から振り下ろされてきた。


〝ガキン〟


「今みたいなの。凄くいいね! 何をしたの?」


「これはイリュージョンってんだ。今名付けたぜ。かっこいいだろ?」


「イリュージョン?」


「そう、光魔法で下に剣の像を作ってみたんだ」


 成る程、普通に剣は上から振り下ろしていたけど幻影でそれを隠して下に剣の像を作ったって事ね。なかなかやるじゃん。


「次、僕もいいですか?」


 イアンさんと別れてから直ぐにテウラが組み打ちをしてくれって言うから受けたけど……もう何時間も特訓している。


「うん、いいよ」


 まぁ、いつか特訓はしなきゃって思ってたから丁度いい、のかな。

 特訓して分かった事がいくつかあった。先ず3人ともステータスはCランクからDランクくらいで、そこらの魔物と戦うのであれば問題はなさそうだけど、圧倒的に経験が足りない事。テウラは予想通り戦士職で、シアンは魔法戦士職、ケーラは魔術職って事。


「魔法も使っていいですか?」


「もちろん。なんでも大丈夫だよ!」


「いきます! €○×%*・¥#&@→=〒」


「あのねぇ。魔術士じゃないんだから、そんなにゆっくり詠唱している時間なんてないんだからね?」


 速攻で間を詰めてシアンの目の前に立つ。

 この点はテウラは優秀だった。使える魔法は光魔法と炎魔法の初級しか使えないけどちゃんと使いこなしてる。


「うぉあ!」


「ね? 速い相手なら一瞬で間を詰められる。シアンは先ず剣を振りながら詠唱をできるようにしないとね」


「分かり、ました」


 ちょっと落ち込んじゃったかな? 聖騎士団って言ったかな、そこでは期待の星って言われてたしプライドとかあったのかも。でもそんなプライドがあったんじゃ強くなれない。誇りは必要でも見栄は必要ないよね。


「やってみて」


「いきますっ」


 テウラとは違って真っ直ぐ突っ込む事はせずに私を中心に円を描くように走り出す。その間にちゃんと詠唱はしているみたい。


「ダスト!」


 目の前に砂煙が突然巻き起こり、砂煙が晴れるとシアンが姿を消していた。


「そこだ!」


 背後から声が聞こえてくる。もちろんこれも罠。


「いいフェイントだね!」


 背後から聞こえる声の正体は風魔法のサウンドリフレクション。音を反響させる魔法で、シアンが狙っているのは多分声に気を取られて振り向いたところを背後からズドンって感じかな?


〝ズザザッ〟


 やっぱり声と反対の方から物音が……音を立てちゃうなんてまだまだだ詰めが甘いよ。


「はい、詰めが甘いよ!」


 振り抜いた剣が何かを切り裂く。


〝バシャッ〟


「えっ水?」


「掛かりましたね!」


 二重のフェイント!? 背後から声を響かせ注意を引き、更に背後から水の塊を飛ばして見抜いたと安心させた後、横からが本命!


「よっ」


 危なかった。なんとかシアンの攻撃を横っ跳びに回避する。本当は全部受け切るつもりだったけど予想以上の攻撃で余裕がなかった。


「うん、初めよりだいぶ良くなったね」


「ありがとうございます。全部エリーのおかげですよ! だけどまだまだこれからも強くなって見せます!」


 テウラもシアンもランク相応に戦える程には実力が伴ってきたかな。やっぱり期待されてるだけあって飲み込みは早いのかも。テウラも初めはダメかと思ったけどちゃんと考えてるみたいだし。


「つ、次、私いきます」


「うん、本気で大丈夫だよ!!」


 そう言いながら気合いを入れる。


「スプリンクラー!」


 詠唱をしたかしていないか分からない程素早い詠唱で魔法を発動させるケーラ。


「まさか、ケーラのやつ……」


「離れましょう!」


 見学モードのテウラとシアンが退避を始めた。


「なになに? なにするの?」


 水がまかれているだけにしか見えないけど……


「エレキショック!」


「ちょ、嘘っ」


 そう、ケーラは頭も良く素早い詠唱でスキも少なく、Bランク並みの魔術士なんだ。さっきの聖騎士団の中ではイアンさんの次に強いんだって言ってた。


「ウィンドラン!」


 全速力で緊急脱出。

 先程まで居た辺りに激しい電撃が走り抜ける。ケーラの雷魔法が消滅した後には焦げた地面が恐ろしく、その威力を教えてくれた。当たらなくて良かったぁ……今度はこっちから!


「エアプレス!」


 仕返しだよ! 大気の圧力で押し潰してあげる!


「え、と……アースウォール!」


 ケーラの両サイドの地面が膨隆し、みるみるケーラを覆って私の放ったエアプレスを受け止める。もちろん加減はしてあるけど結構な威力がある筈、なんだけど……


「受け止められる筈……」


 アースウォールを斜めに展開する事で垂直に受けず、斜面で受ける事で圧力を逃していたんだ! こんな特訓中になんて頭の回転してるの!? 発想が豊かだなんて言えるレベルじゃないよ。ケーラは天才かもしれない。魔法を使うなら属性の知識とか力学の知識が必要なんだってアルが言ってた。それをちょっと教えただけでここまで簡単に使いこなせるケーラは凄く魔術士に向いていると思う。


「凄いね!」


 ケーラだけ模擬戦形式で特訓をしてる。他の2人は基本や型を覚えて貰う為に余計な事はまだしていない。魔術士は攻めに弱い職業だからガンガン攻めて弱点を潰さなきゃ!


「まだまだいくよ!」


「え、エリー? ま、まだ……」


 ステータスに任せた全速力でケーラに肉迫する。


「ち、ちょっとまっ……エアハンマー!」


「エアハンマー!」


 ケーラの発動した空気の塊を私の空気の塊で押し潰して相殺する。地面に叩きつけられた2つの巨大な空気の塊が砂埃を巻き上げる。


「さ、サンドボーン!」


「今度は岩だね! 良い選択だよ!」


 物質のある物だと壊しても瓦礫が残ったりして結局避けて進む事になるから、エアハンマーより足止めになるんだよね。でも!


「そ、そんな」


 サンドボーンを壊すことなく最小限の動きで躱してケーラの前へ躍り出た。これで特訓はお終い。


「凄い! 凄いや! これならAランクの魔物でも3人で倒せちゃうんじゃない?」


 ケーラの目の前で興奮のあまり叫んじゃった。


「さ、流石にそれは無理ですよ」


「うへぇえ。すげーなエリー。どんな動体視力してんだよ」


 テウラ……逃げたと思ったけど見てたんだね。


「3人ともうんと良くなったよ!」


 3人とも初めに比べると冗談のように駆け引きが上手くなった。特にケーラは属性の優劣や組み合わせ、詠唱も短縮できたし、魔法の発動も今では私より早いかもしれない。こんなに戦闘をしらないなんて、細かい所まで聖騎士団では教えてないのかな?


「こんな訓練初めてでしたが、凄く参考になりました!」


「俺達は実践がたりねぇからなぁ」


「し、しょうがないですよ」


「実践訓練はあまりしないの?」


「一応俺達ぁ貴族なんだぜ?」


「せ、戦闘なんてやらせてくれないんです」


「本当は聖騎士団に入ったら貴族なんて関係ないんですが……」


「今の副団長がなぁ」


「イアンさん?」


「いえ、イアンさんは今回の遠征任務の編成で分隊長に選ばれたんです」


 確かに分隊長って言ってた気がするけど、どっちが偉いかとかはよく分からない。


「よく分かんないや」


「エリーは聖騎士団の事何にもしらねぇのか?」


「じゃあ説明させて頂きます! まずヴィルダン王国では一般兵と呼ばれる一般兵士と聖騎士と呼ばれる聖騎士団の2つがあるんです」


 確か魔王マモンが一般兵の司令官って言ってた様ななかった様な気がする。


「どうやって分けられるの?」


「基本的には入り方が違うだけですね」


「入り方?」


「入隊方法の事だよ」


「聖騎士の入隊試験の方が基準が厳しくなるのが難しいんです。それに聖騎士は国王からの任しか受けません。給金は高いですけど危険度が高いのが特徴ですね」


「だから力があっても敢えて一般兵になる奴も居るぞ?」


「それでも世間的に聖騎士団に入隊したと言う事実は1つの肩書きになりますから、貴族を目指す場合、功を上げると貴族に成れる権利が貰える聖騎士団に入隊した方が良いなんてメリットもあります」


「まぁ、そんな事案殆どねぇがな。逆に俺達の様な下級貴族なんかはちょっとセンスがありゃあ名誉の為に聖騎士団になれ! とか言われちゃう訳よ」


「聖騎士と一般兵の違いはこんなところか?」


「あ、あと階級と言うのは一般兵の場合、司令官、分隊長、兵士長、班長、兵士、訓練兵の順に偉いんです」


「階級か、俺達聖騎士団は団長、副団長、騎士、準騎士の順だな」


「因みに僕達は騎士で、テウラだけが騎士です」


 ケーラも準騎士なの? シアンだってテウラと変わらないくらい強いのに。


「まぁ、基本的に聖騎士団は対等な関係だから殆どが騎士の位だな。イアンさんだってあれで騎士だぜ? 団長1人副団長1人、入隊したての奴らが準騎士で残る9割以上が騎士だ」


「僕達はまだ入隊して1年も経ってませんから」


「あれ、イアンさんは分隊長じゃなかったの?」


「に、任務の度に隊長が選出されるんです」


 基本的には対等で、何かする時だけリーダーを決めるって事かな。


「それで、今の副団長は元々平民の出なので貴族に対して甘いところがあるんです」


「それで俺達は箱入り状態って訳だ」


 成る程、分かった。多分副団長って言う人は貴族になりたいんだ。それで自分の命令で貴族が死ぬのを恐れているんだ。きっと。


「副団長は貴族になりたいって噂ですから……」


 やっぱりそうだよね。


「大体分かった。それじゃあこれからも時々特訓をしよ。でも私もあんまりのんびりするつもりも無いし、今日はもう日も落ちかけてるから此処で休むけど、明日からは先へ進むからね」


「は、はい!」


「宜しくお願いします」


「これからもガンガン頼むぜ!」


 私も強くならなくちゃ。急いでコアの所に行っても今のままじゃあ助けてあげられないかもしれない。簡単に解決する事なら私達を頼ってくれるはずだもん。それをしなかったって事は、とんでも無い事が待ってる筈。だから私は強くならなきゃいけない。今やってる事も無駄じゃ無い。待っててね。


 活動報告にて投稿予定の曜日などご報告させて頂いたりしておりますので良ければご確認下さい!


 ブックマークご感想、レビューも沢山お待ちしておりますヽ(∀)ノ

今後もよろしくお願い致します!!

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