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3エリーナside1


 我々は誇り高きヴィルダン王国聖騎士団だ。幾ら我々が聖騎士とは言えAランクとBランクの魔物が徒党を組んだ群はそう簡単に退けられる筈もなく、精鋭達ならまだしも当然苦戦を強いられて居た所だ。


 そこへ嵐のように現れた1人の少女が我々を苦戦させていたオークどもを蹂躙したのだ。その少女の闘いは我々聖騎士でさえも見惚れてしまう程美しかった。あまりに圧倒的な強さに私の部下達は安堵の為か驚愕の為か殆どが腰を抜かしていた。


 それだけでは無い。その圧倒的な剣技を持ちながら我々聖騎士団の魔術兵を遥かに凌ぐ魔法でオークキングを殲滅し、まるで大砲の様な水魔法でオークエンペラーを貫き、崖に小さな洞窟を作ってしまったのだ。部下達が腰を抜かすのも仕方がないだろう。


 そしてそんな少女が今我々に近付いてくる。距離があってよく確認できなかったがこの少女はとんでもなく美少女だった。天使の様に透き通った金色の髪。全てを包み込む優しい藍の瞳。これは夢なのだろうか。我々はオークどもに殺されてしまったのだろうか。


「大丈夫?」


 言葉を掛けくれているが、私を含め誰もが現状に着いていけず黙り込んでしまう。


「この辺りは危ないよ? まだダンジョンから出た魔物達がうようよいるんだから」


 ダンジョン!? 今ダンジョンと言ったか?


「ダンジョン!! やはり有るのだな!?」


 我々はまさにダンジョンの存在を確認する為に調査をしていたのだ。


「こほん、すまない。取り乱した。私はヴィルダン王国聖騎士団分隊長のイアンだ。最近ネット市の辺りで魔物が大量発生していると言うので遠征に来ていたところだったのだ。ご助力感謝致す」


 私は他の者と比べて少し大柄で、金髪の短髪だ。額からコメカミに大きな傷跡があり、威圧感満載だ。この美少女を怖がらせなければ良いのだが……


「気にしないで大丈夫。私は冒険者のエリーナだよ。元凶のダンジョンは枯れちゃったから大丈夫だと思う。後は枯れる前に外に出ちゃった魔物が危ないくらいかな」


 心配は無用の様だ。そもそも私より強いのだから怯える理由がないか。

 って……え? 枯れた?


「ダンジョンが枯れた? そんなばかな。我々はダンジョンの存在の調査も仕事だったのだが……一体誰が?」


 ダンジョンと言うものはSランク冒険者やSSランク冒険者がパーティを組んでやっと制覇できるものだ。世界に数人しか居ない彼らがパーティを組むと言う事は世界規模での出来事なのだ。そんな事が起これば近隣国であるヴィルダン王国に情報が来ない訳がない。


「私達が制覇したんだよ?」


 確かに彼女は強い。だがしかし……


「……それは誠か?」


「お、おい」

「幾ら強くてもダンジョン制覇は無理だろ」

「1人じゃあなぁ……」


「おいお前達静かにしないか」


「はっはい!」


 部下達が動揺するのも無理はない。我が国で1番強いと言われる聖騎士団長ですら良くてSSランク冒険者と並ぶかどうか、そのクラスの強さを持った者が3人以上居なければならないのだから。


「勿論、1人じゃないよ。私はあのパーティの中じゃあ1番弱いくらいだもん」


「貴女が1番弱い? それは凄いですな。見た所少なくともAランク並の実力はあるようにお見受けしたが、それ以上となると……」


 あれだけの戦闘では彼女の強さを推し量る事はできない。見た限りではAランク並みに感じたが、それは最低でもAランク程度という事であっておそらく彼女の実力はもっとあるだろう。そうなるとSランク……或はもっと……彼女も武人だ、自ら自分の強さをひけらかす様な事はしないだろうからなんとも言えんな。底が知れない人だ。


「そこに居るクロも私なんかよりずっと強いよ?」


「従魔が!?」

「はははっ」

「そんな従魔聞いた事ねぇぜ」


「いい加減にしないか!」


 誰も気が付いていないが、彼女程の実力がありながら誰も彼女の事を知らないと言う事実はおかしいのだ。Aランク以上になれば貴族並みの影響力を持つと同時に世界中に存在が認知されると言う事だ。Bランクですら目ぼしい人材は我々まで情報がある程度降りてくるにも関わらず、尚且つ我が国の領土内に居ながらなんの情報もないのだ。明らかにおかしい。

 いや、確かアルディと言う少年が新しくAランクに昇格したとか言っていたな。だが彼女は女の子で名前もエリーナだ人違いだろう。


「もっ申し訳ございません!」


 カチンときたエリーナだが、イアンの叱咤でなんとか堪える事ができた。


「なんなら試してみる?」


 やっぱり無理だった。


「い、いや……すまない。貴女より強い従魔に勝てる筈もない」


 普通は従魔の方が強いなどとはあり得ない事だが、彼女の情報が少ない今否定もできない。


「あそう。まぁいいや。気を付けてね」


 そう言って彼女が立ち去ろうとしたが、まだまだ聞きたい事が沢山あるので呼び止める。


「ちょっと待ってくれないか? もし良かったらそのパーティの事を教えて欲しいのだが」


 元々我々はダンジョンの調査に来たのだ。その情報を持った彼女から聞ける事は聞かなければならない。それに彼女の存在事態も危険は無いか判断する必要もあるのだ。


「良いけど……まずリーダーはアルディって男の子だよ。私と同い年で多分スキルを使ったらSSランク? くらい強いと思う。それとクロ、この子だよ。私より強いけど多分アル程じゃないかな。後は狐人のコアって女の子、凄く可愛くて凄く強いよ……」


「SSだってよ」

「団長より強いって事か?」

「そんな事ありえんのかよ」


 驚くのも無理はない。しかしアルディか……なるほど、Aランクに昇格した少年と繋がっていた訳か。私の聞いていた情報では彗星の如く現れた逸材だと聞いていたが、その力は既にAランクを超えていたか。コアと言う獣人は聞いた事がないな。


「なるほど……で今そのメンバーは何処に?」


「さぁ。アルは多分まだネット市の辺りだと思うけど、コアは分かんない。探してるところなんだ」


 これは一度アルディと言う者に会ってみる必要がありそうだな。


「コアと言うのは狐人と言ったな?」


「そうだけど?」


「それなら此処より遥か西の遠方に狐人の里があると聞いた事がある。もしかしたらそこへ帰っておるのやもしれんぞ?」


 ここで恩を売っておいて損は無い。それに彼女が何者かは関係なく、我々を救ってくれた事には変わりない。


「そうなの?」


 彼女は東の方からやって来た事から考えても、ある程度方向くらい掴んでいたのだろう。

 後はそのアルディと言う少年に話を聞いてみよう。パーティのリーダーと言うからには彼女より情報を持っているだろう。とは言え彼女をこのままにするつもりもない。


「シアン! ケーラ! テウラ! 前へ」


「「はい!」」


「この者達は我が聖騎士団の中で期待の若手どもだ。それに良い所の出でな、それなりに情報がある筈だ。良ければコイツらを連れて行ってくれないか? きっと狐人の里を探す時も役に立つ筈だ」


 彼らに彼女への恩返しを兼ねつつ情報も集めて貰おう。優秀な彼らなら私の意図も分かってくれるだろう。彼女の態度から考えても敵対する事はないと思うが念のためだ。情報が無いなら集めるまでだ。


「え……いや、そんな」


「この命に代えてもお役に立ってみせます!シアン・ハウトと申します。年は14です!」


「ケーラ・ハウルスです! じ、13歳です。一生懸命頑張ります!」


「テウラ・ストーンズってんだ。この中では年長で16だぜ。よろしく頼むな」



 なんだか良くわからないけど護衛のつもりかな? クロに乗って移動する私にとっては寧ろ移動が遅くなるし困るんだけど……断り辛いよね、自己紹介までされちゃったし。


「よ、よろしく。エリーナだよ。私は12歳」


 良い所の出って事は貴族なのかな。姓もあるし。


 シアン君は好青年といった感じで、幼い勇者と言うのが1番しっくりくる。素直で責任感の強そうな印象かな。緑のミディアムヘアが爽やかさが増している。年上だけどちょっと可愛いかも。


 ケーラは1番若いけど大人しくて1番しっかりしてそうで優しそうな印象。水色で腰の上まで伸びた長い髪が印象を強くしているのかも。それに凄く可愛い。


 テウラは赤い髪に赤い瞳。絶対直情的なタイプだよね。16にしては身長が結構高くて180弱はあるかな。結構良いガタイしてるし、戦士職かな?


「12歳なんですか!?」


「わ、若いんですね」


「ビックリだぜ。その若さであの強さかよ。一体どんな修行したんだ?」


「小さい頃からさっき話したアルと特訓してたからね」


「アルディ君ですか。一度会って見たいです」


「あんたより強ぇんだろ? 手合わせしてくれるかな。あんたともやってみたいが……」


「頼んで見れば? きっとしてくれるよ。それと、あんたじゃなくてエリーナだよ。組み打ちくらいならいつでもやってあげる」


「おぅ、すまねぇ」


「みんなも私の事はエリーって呼んでね。さんやちゃんなんて要らないから。私と旅をするなら貴方達も仲間なんだから」


「分かりました!」


「り、了解です」


「エリーナ殿。我々はこれからネット市に向かい情報を集めて来る。狐人の里まで気を付けて、最近狐人の里の噂は良くないのでな」


「ありがとう。イアンさん達も気を付けてね」


「ありがとう。……おっと、それとこの荷車も使ってくれ」


 荷車かぁ、私だけアイテムボックスも無いし使えるかも。


「いいの?」


「ああ、元々その3人が使っていた物だ。馬も連れて行って構わない」


 クロに4人乗れない事もないけどなんか絵面的に……なんかやだし、クロにも負担掛かっちゃうから丁度いいかな。


「分かった。ありがとう。借りていくね」


「足手纏いになるかも知れんが、エリーナ殿が知らない事も土地が変われば多いはずだ。必ず役に立つ、よろしく頼む」


「任せて。イアンさんのところに帰る時にはすっごい強くなってるかもよ」


「はははっ。それは頼もしいな」


 実際ある程度は強くなってもらわなきゃ3人も守りながら戦うなんて無理だもん。寂しい旅にならなくて済むしまぁいいっか。


「それでは3人とも、エリーナ殿の足を引っ張る事のないようにな。帰ってくる時は一段と成長したお前達を待っているぞ」


「「はい!」」


 こうして私とクロの旅に新たなメンバーのシアン、ケーラ、テウラが加わり、狐人の里を目指す事となった。

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