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16真実


「誰にチカラを授かったと申したか」


「誰だっ」


 漆黒の長髪を靡かせ、仁王立ちする男が目の前にいた。

 マモンとその男が会話をする。


「誰にチカラとダンジョンを授かったと申したかと問うている」


「私は魔神様にこのチカラとダンジョンを授かった。貴様が誰か知らんが……こいつらの増援に来たのなら無駄だぞ。貴様も……!?」


 マモンが何かに驚いた様な表情をする。


「我は此奴らを救いに来たわけではない」


 長髪の男が一瞬だけチラリと此方を伺う。

 背筋に冷たい何かが這う様な感覚が走る。


「貴様……何者だ」


 俺もパラメータで長髪の男を確認する。


【種族】神


 神?


「我は魔神なり」


「魔神様だと!? 貴様は魔神様では無い! 幾ら神だろうが、私が崇拝する魔神様を語る事だけは許さん!」


「我は正真正銘の魔神ぞ。貴様に魔神と名乗った其奴が偽物だ。我の作ったダンジョンを不当に乗っ取り、不当に活用した事。万死に値する」


 魔神。


 こいつが。


【名前】魔神 ハダル

 神と名乗る者だ、ステータスの改ざんくらいできるだろうが……


「魔神……お前が魔神なら聞きたい事がある」


「今はお主と問答している時間は無い」


「1つだけでいい。奈々、清水奈々という女は知っているか?」


「知っている」


「何処だ! 何処にいる!?」


「1つだけだと、言っただろう」


「この世界に、いるんだな」


「うむ」


 奈々はこの世界にいる。また、会えるんだ。それだけで十分だ。

 何だかんだで答えてくれる魔神っていい奴じゃないか。


「誰と話している。私に用があるのでは無いのか!?」


「そうだ。貴様にチカラを授けた者は……もしや紫の髪の男ではなかったか?」


「だったらどうしたと言うのだ」


「やはり、か。其奴は邪神だ」


「何の神でも構わん! 我が崇拝するのは彼の方に変わりはない!」


 確か、神は世界に不干渉の筈……

 マモンは選ばれし1人と言っていた。つまりは他にもいると言う事だ。


 神、隣に居るんだけどね。


 しかし、世界に干渉するのは魔神だけ、故に裏切り者だと言われているのだ。


 では、邪神とは?


 疑問が俺の中で溢れてくる。


「相分かった。やはり貴様は消さなければならない」


「始末する輩が4体から5体になるだけの事……」


「神言。弾けよ」


「ふぶぁっ」


 一言、魔神が「弾けよ」そう言っただけでマモンが弾け飛んでしまった。


「な、何をしたっ」


「安心せよ。貴様らを殺すつもりはない」


 魔神は踵を返し、足元から輪郭が薄らいで行く。


「清水、奈々とはいずれ会うことができるだろう……貴様が戦い続ける限りな。強く、なれ」


「どう言うことだ!」


 魔神はそのまま消えてしまった。


 俺は直ぐにエリーとコアの元へ駆けつけて、ポーションを飲ませる。


「げっごふっ」


 よかった、気絶しているだけで、そんなにダメージは無いようだ。

 呪いの時よりよっぽどマシだ。


「ごきゅ、ごきゅ、うぇえ……ですぅ」


 どれだけ弱っていても苦いものは苦いようだ。


「2人とも、大丈夫か?」


「うん……クロは!?」


「大丈夫だよ。なんとかなりそうだ」


「良かったです」


「マモンはどうしたの?」


「ま、まさか1人で?」


「いや、流石にあんなバケモノには勝てなかった。すまん」


「なんで謝るの?」


「そうです。あれは天災です。仕方ありません」


「皆んな命懸けで俺の作戦を実行してくれたのに……俺は結局……」


 いくらなんと言われても納得できない。実際助かったが、これはもう奇跡と言っていい。本来ならここで全員死んでいただろう。力の差があり過ぎた。それでも尚、魔王ですら神にとっては言葉1つで消せる程だ。

 その魔神に勝とうなんて、とんでもない。

 人神はなんて無茶を言うんだろう。


「あれはもう、仕方ないとしか言えないよ」


「まだ私達で何とかなるレベルを超えていました」


「それで、アルが勝てなかったのならどうやったの?」


「魔神が助けてくれた」


「魔神? 神様?」


「魔神っ!?」


「知ってるのか?」


「いや、いえ……はい。知ってます」


 何か様子がおかしいな。


「世界的には世界の創造神とされています。この辺りはそこまで信仰心は無いみたいですけど、他の国には魔神様への信仰から作られた国もあります」


 世界的には、ね。

 一応この世界で魔神は意外と慕われているらしいが、コアにとっては何か思うところがあるのだろう。


「でも、神話の話しであって普通の人の前に現れるなんて……ましてや助けてくれたなんて信じられません……」


 何か引っかかる言い方だな。


「凄い神様なんだ?」


「……」


 何を考えているのかコアは黙ったままだ。


「まだ奥へ続く横穴があるみたいですよ?」


 触れられたくない話だったのか、話題をそらされる。


「まだ先があるみたいだな」


 本人が触れられたくない様なのでこのままにしておく方がいいだろう。


「ここまで来たんだから行こうよ!」


 正直何が出るか分からない以上、怖い。


「そうですよ!」


「うーん、でもクロもいるし……」


「うぁん」


 いつのまにか覚醒モードを解いていたクロが、起き上がりはしないものの返事をする。


「お前まで行こうってのか?」


「うぁん」


 全く、頼もしい仲間達だよ。

 コアの事は気になるが、自分から話してくれるまで待ってみよう。


「分かったよ……」


 動けないクロは抱えて奥へ続く横穴へ入って行く。

 ここ何回かお決まりの大部屋が次も待っている様で、視界が広がっていく。

 そして俺達は、それを見て驚いた。


「うわぁ! おっきい!」


「これが……ダンジョンの核ですか」


「デカイな」


 魔物や魔王なんてものは居ない様で、戦いになる様な心配はなさそうだ。


 代わりに巨大な魔晶石があった。

 エリーの剣に付いている奴が魔晶石だ。大きさは米粒大でこれでも2つで金貨1枚程する。実は価値だけで言うとエリーの剣が1番高かったりする。

 これをドヴァーリさんは……無茶をしたんだろうと今でも感謝している。

 ありがとう。ドヴァーリさん。


 その魔晶石が家一軒程のでかさで目の前にある。


 米粒大が2つで金貨1枚……

 これに値段をつけるとしたら……考えるのも恐ろしい。


「これ、とりあえずアイテムボックスに入れておきますね」


「あ、ああ」


「え、こんなの入るの?」


「コアのアイテムボックスもマスターさせてあるから、これくらいは余裕だよ」


「……凄いね」


 今の凄いねはどっちの凄いなんだろうか。


 コアが核をアイテムボックスにしまう為、核に手を触れる。


〝認証。ダンジョン制覇者捕捉〟


「え?」


「な、なんです?」


〝解。ダンジョンの意志。魔神の意志です〟


「意志を持つ石か」


「魔神……どう言う事ですか?」


〝解。本来は魔神に関する情報は秘匿。しかし貴方方は知っています〟


 華麗にスルーされた。


「どう言う事?」


「意味がわかりません……」


〝解。このダンジョンは魔神によって作られた育成施設です〟


 魔神本人も「私が作ったダンジョン」と言っていたからな。


「育成施設?」


「育成なんて、魔神はそんなヤツじゃないです!」


 やはり魔神の事を知っている様子だ。


「コア、どうしたの?」


「な、なんでもないです」


〝否定。魔神は間違っていない。世界の英雄です〟


「自分で作ったものになんてこと言わせているんだ」


〝否定。意志までは作られていません〟


「育成施設……魔神さんは誰かを育ててどうするつもりだったの?」


〝解。戦争です〟


「せ、戦争!?」


〝肯定。詳細は不明です〟


 魔神は何かと俺達を戦わせたかったのだろうか。

 詳細は不明らしいが……


「何と戦争するんだ?」


〝解。不明です〟


「それは分からないのか? それとも答えられないのか?」


〝解。データにありません〟


 知らないという事か。「本来は秘匿」と言うからにはこの事を伝える予定もなかったと言う事だ。

 ダンジョンの核も伝える必要のない情報までは知らされていないのかも知れない。


「他のダンジョンも魔神が作ったのか?」


〝肯定。全て魔神が制作したものです〟


「ここを乗っ取っていた魔王マモンの黒幕は分かるか?」


〝解。不明です〟


「他の魔王はあと何人いる?」


〝解。不明です〟


 詳しい事は何も分からないみたいだな。


「魔王ってまだ他にも居るの?」


「マモンは魔神に選ばれた1人だと言っていたからな」


 これ以上聞ける事は少なそうだ。


「ありがとう。色々聞けて助かったよ」


〝解。受諾。通常進行に戻ります〟


 何か起こるのかな?


〝伝授。ダンジョン制覇者へ称号を伝授します〟


 コアが言ってたやつか。称号をくれるってやつ。


〝認証。制覇者2名〟


 ……2名? 俺、エリー、コア、クロ。クロは魔物だから含めないと言われたとしても3人じゃないのか?


〝個体名。エリーナ。コア〟


「え? アルとクロは?」


「私達よりも活躍してくれましたよ?」


〝解。転生者には適応されておりません〟


 ここまで来てそれはないだろう。


 見ろ。クロの顔を。俺の腕の中にいることも忘れて、とんでもなくアホみたいになってるぞ。


「そんな! 幾ら何でもあんまりだよ!」


〝解。本来転生者は打倒魔神を掲げこの世界に送られて来ます。故にダンジョンでは転生者には称号を与えられないのです〟


 神の力を知った今、更なる力は正直欲しかったところだ。魔神と戦う為、と言うより魔王やその黒幕と出くわした時の為にだ。

 正直魔神に対して今はそこまで敵意を持っていない。


 実際どんな形であれ魔神は俺達の事を救ってくれた。しかも奈々の事まで情報をくれたり、およそ初めに聞いていた話とかなり印象が違った。

 正直今の状況では敵とは考えにくい。


「まぁ、仕方ないか……」


 気持ちは兎も角魔神を倒す為に送られてきた事は事実だし、魔神としてもそんな俺達に力を付けられるのは困るのだろう。


〝伝授。時を待つ者〟


「ちょっ」


 エリーはまだ言い足りない事があったようだが問答無用と核はエリーとコアに称号を与え始める。


 エリーとコアが白い光を放つ。


「クロの時みたいだな」


「うぁん」


 分かっているのかいないのかよく分からないが返事が返ってきた。


 クロの時と同じように光は静かに消えていった。


〝完了。ダンジョンを解放します。核は貴方達の物です〟


 それから核が語りかけてくる事はなくなった。


【時を待つ者】

 チャージ能力。どんな技や攻撃もチャージする事ができる。チャージは時間が長ければ長いほど威力も上がり、消費魔力も上がる。


 第2章終了です!


 いつもありがとうございます!

次回からしばらくSSや改稿をしてから3章に入って行きたいと思います!

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