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13林のダンジョン8


 静寂が辺りを包み込む。

 エリーと俺は現状を理解するので必死になり、コアは訳が分からず付いてこれていない。デーモンは沈黙を貫いている。


「私は魔神様に選ばれし1人。人の身にして人を超えた者。魔神様よりチカラを授かり、ダンジョンまで頂いたのだ。その私が、不穏分子となり得る貴様らを消すのは当然の事と言う事だよ」


 魔神に選ばれし1人? 転生者じゃないのだろうか。


「今からコイツらは死ぬんだ。どうだって良いだろう」


 沈黙を貫いていたデーモンが口を開く。


「冥土の土産に教えてやろうと思ったが……そうだな」


「なら、もういいか?」


「そうだなぁ……」


「どうでもよくなんかない!」


 エリーが叫ぶ。


「俺達はそれを知る為にここまで来たんだ」


「ではこうしよう。私はこの奥の部屋で待っている。もし貴様らがデーモン・エンペラーを倒すことができたら全てを教えてやる」


「ふはは! それはいい。希望をチラつかせるだけチラつかせて、見ることのない光を夢見ながら死ぬがいい!」


「では、待っている」


 そう言ってオルトは奥の横穴へ消えていく。


「邪魔が入ったな……」


 1つだけ、コイツに聞かなくてはならない事がある。


「お前は本当にシーネの村を消したんだな?」


「何を今更。跡形もなく、誰1人として生かしてはおらん。貴様らを除いてな」


「本当に、皆んな消えちゃったんだ……もしかしたらって!」


 ほんの少しの希望を持ってここまで来たが、こんなにも堂々と言われてしまうと諦める他ない。


「もういいだろう」


「ああ、もういいよ。やっぱりお前は……倒す!」


「では、行くぞ!」


 再びデーモンの身体に紫のオーラが纏われ始める。


「来るぞ!」


「はいです!」


「グルォウ」


「……」


「エリー!!」


「っあ、うん!」


 良くないな。完全にエリーの集中力が無い。


〝ギャウンッ〟


 デーモンが纏っていた闇を飛ばす。


「フラッシュ!」


 闇には光!

 俺は光魔法のフラッシュを放った。これは闇の力を無効化する魔法だ。


〝ギンッ〟


「ーーーっ」


 消した筈の闇が光を抜けて俺へと強襲する。なんとか光を纏わせた剣で受け止める事ができだが……


「ふん、そんな脆弱な光で我が闇が消せると思ったか!」


〝ギュンッ〟


 デーモンが気の抜けたエリーを見逃すはずもなく、エリーに向かって跳んでいく。


「ーーっエリー!」


 闇の鞭が俺を援護に向かわせてくれない。俺のシャドーウィップより遥かに威力が高く、速い。


「きゃっ」


「エリーさん!」


 エリーはクリーヒットでデーモンの回し蹴りを貰ってしまった。


 何度も地面をバウンドした後壁にぶつかり、何とか止まる。


「グルァウ!」


「久しいな、犬っころ」


〝ズオオオッ〟


 デーモンは飛びかかるクロに手を伸ばし、掌から闇を放出した。


 エリーへの追撃を阻止する為、飛びかかるが、デーモンの攻撃を顔からモロに食らってしまう。


「ギャウン」


 闇がクロの身体を蝕む。顔からどんどん身体へ進んでいく。


「クロ!」


 俺はすぐさまクロの元へ行き、フラッシュを掛ける。


「くそ!」


 何とか闇の進行を止める事はできているが改善する様子はない。クロから苦悶の表情が消えない。


「エリー、クロちゃん……」


「コア! 兎に角攻撃を受けるな!」


「は、はい!」


 まずい、非常にまずい状態だ。


 パラメータを開いて光魔法のスキルを確認する。


「あった! 上級!」


 すぐさまマスターさせる。


 放出し続けている光魔法を濃縮させ出力を上げる。


「ホーリーライト!」


 フラッシュの上位互換みたいなものだ。


「よし、引いている!」


「グァウ……」


 みるみるクロの身体を蝕む闇が消えていく。


「させるかっ!」


 クロの回復をさせまいと迫ってくるデーモン。


「行かせません!」


 コアが双剣でデーモンの突進を受け止めた。


「ダメだ! コア! 奴に近づくな!」


「で、でも!」


 デーモンの纏っている闇が千手観音の様に伸びてコアを襲う。


 俺は反対の手を伸ばしてホーリーライトを放つ。


「ちっ……ちょございな!」


 デーモンは距離を取り光を避ける。


「危なかった、です」


「気を付けろ、奴は強いぞ」


 予想外だ。奴がこんなに強くなっているとは……

 あの闇が厄介だ。自由自在で、触れれば蝕まれる。


「グルォウ!」


 クロの闇が完全に消えた。


「面倒だ。1人ずつ潰してやろう」


 デーモンは踵を返し、エリーの元へ跳ぶ。


「やられた!」


 デーモンのいく手を阻む為、アースウォールを掛ける。

 ここの地面は加工できないので、土から生成しなければならず、魔力消費も何10倍だ。しかし俺の魔力なら関係ない!


〝ズガァン!〟


 まるで発泡スチロールを破る芸人の様にアースウォールを突破される。


「いやぁ! エリー! 逃げて下さい!!」


「グルォウ!」


 必死の形相でエリーの元へ向かうクロ。

 この距離では、明らかに間に合わない……


「クッソオオオオオ!! 諦めるなぁぁ!!」


 今から俺が走り出しても確実に間に合わない。


「クロ!! 頼んだぁああ!!」


 全力全開のウィンドランをクロに掛ける。


「スピードエンチャントです!」


 腹の底から魔力を振り絞る様に、針に糸を通す様に、全力且つ繊細に魔力を練り上げる。

 俺の魔法はイメージで強くも弱くもなる。そのイメージと魔力をガンガン練り込んで放出していく。


「届けぇえええ!」


「いっけぇえええですぅ!!」


「グルァァアアアアウ!!」


「なに! 犬っころぉ!」


 空中で体勢を変えて、蹴りを仕掛けようとするデーモン。


「遅い!」


 クロがデーモンに体当たりするように突っ込む。幾らクロでも自分のスピードを制御できなかったのか、デーモンと一緒に飛んでいく。


「グルァウ!!」


 そのまま壁に到達し、壁を使ってデーモンを踏みつける様、足場として宙返りを決めるクロ。


「よっしゃぁあ!」


「届きました!」


 エリーの元へ急ぐ。


「大丈夫か?」


「……うっ、ごめん、もう、大丈夫!」


 横たわるエリーに手を差し伸べる。


 何とかエリーも含めて立て直す事ができた。


「ここからだ!」


「はいです!」


「了解!」


「奴を囲め! コア!」


「はい! パワー、スピード、マジックエンチャント!」


「ウィンドラン!」


「はぁ!」


 ものの数秒でデーモンを囲み、陣取る事に成功する。


「ホーリーライト!」


 まだ瓦礫に埋まったままのデーモンにホーリーライトを掛けて闇を消す。


「ザコどもがァァ! 調子に乗るなぁ!」


 壁の瓦礫から出てくるデーモン。


 やはりここの壁も同じだ。ここの魔物なら壁を壊せる様だ。


「今だ! 一斉攻撃!」


「グラビティです!」


 範囲魔法ではなく単体に掛ける魔法だ。

 グラウンドは空間に掛けるのに対し、此方は固体へ作用する。


「ぬぅ、子供騙しだ!」


 コアの魔力は低い為、効果は少ない。しかしこれで十分。


「斬衝牙!」


 上と下から連続で斬りつけ、衝撃波を出す事で牙の様に見えることからそう呼ばれている。

 威力はお墨付き、百獣の王なんて目じゃない。斬られた敵はティラノザウルスにでも噛まれたかの様にズタズタだ。


 しかしこの技はタメが長く、使い辛い。

 しかしコアが稼いでくれた数秒で俺のタメは終わっていた。


「ぐぉああ!」


「休んでる暇なんてあげないよ! ファイアソード!」


「ぐぅ!」


「グルォウ!」


「グラビティです!」


 飛び掛かるクロにグラビティを掛けて重くする。


〝ズンッ〟


 勢い良く地面へめり込むデーモン。


「終わりだ! 巨人踏破!」


 凄まじい連打を上から剣で叩きつけて行く。まさに巨人の群れが頭上を通り過ぎて行く様な気分になる事だろう。


「おの……れ……貴様、ら、なん、ぞに……」


「アルさん! まだです!」


「エリー!」


「皆んなの仇! 赤炎嵐!」


 ファイアソードの上位互換。読んで字の如く。真っ赤な炎が嵐の様に斬った相手を焼き尽くす剣と炎の融合技だ。

 現在、エリーの最強の技だ。


「俺を……倒した、ところで……貴様、らは、ここで終わりだ……」


 デーモンは身体を燃え尽きさせて、消えてしまった。その場に澄んだ色の核を残して……


「や、やったの?」


「やりました!」


「危なかったぁ!」


 俺は地面で大の字になって身体を投げ出す。


「少しだけ休んで行こう。流石に疲れた」


「そうだね」


「はい」


 デーモンは恐らく俺達の内の1人と同じくらいの強さだったと思う。あのまま立て直す事ができずにいたら……本当に誰かやられていたかも知れない。



ーーーーーーーーー



 夢を見た。

 眠るつもりは無かったが気がつくと眠っていた。


「貴様が何をしたか分かっているのか」


「いいじゃないか、僕は彼をーー


「そんな事!? 言ってねぇよ!?」


「そうだわい。お主は掟を破ったのじゃ」


「しかも、一度ならず二度も破りましたわね?」


 なんだろう。何も見えない。ただ暗い世界で声だけが聞こえてくる。

 おじいさんの声に変わった話し方の男。それにこの声は……


「テメェは魔神と同じさ、規模が違うだけだぁ。立派な裏切り行為だぜぇ」


「そんなつもりじゃあ……


「待っておやりよ。人神はそんな肝っ玉持ち合わせちゃあおらんよ」


 人神……


「それなら貴方も処罰を受けると言う事でいいんですわね?」


「そ、そりゃあ……」


「なら、口を挟まねぇで黙ってろぉ」


「貴様から神格を剥奪し、魔神の世界に行ってもらう。少しでも反省の意があるのなら魔神を打ち倒してみせよ。神格さえ無ければ、神ではない。不干渉の掟も関係なくなる」


「そうだ!? それがいい!?」


「そうですわね。人神を殺せば私達も掟を破った事になりますわ。神殺しの大罪にーー」


「決まりだなぁ」


「はぁ、もういいよ。君達はやっぱりおかしい」


「落ち着きな、何をする気だい?」


「ありがとう。森神。僕は勝手にやらせてもらう」


「まて! 何をする気だ!」


「じゃあね……」


 そこで会話が終わってしまった。



ーーーーーーーーー



「アル! 起きて!」


「アルさん」


「グルァウ!」


〝ペロペロ〟


「うっちょっクロ!?」


「起きた起きた」


「ふふふ、おはようございます」


「おはよう。ってあれ? 寝ちゃってたか」


「急に寝ちゃうんだもん」


「どれくらい寝てた?」


「んー、2.30分くらいかな?」


「そうですね、私達も休憩してましたから」


「グルァウ!」


「そっか……ごめんごめん」


 あの夢の事は一度忘れよう。

 夢なのか事実なのかはっきりしない今、どうしようもない事だ。


「もう傷はいいのか?」


「うん! コアのアイテムボックスのポーションを使って完璧だよ!」


「後はアルさんがポーションを飲めば全員完璧です!」


 コアがポーションを渡してくれるのでそのまま受け取る。


「ありがとう」



 本当はここでオルトとの話が入る所でしたが、思いの外戦いが長引いてしまいましたので、次回に繰越しますすみません!!

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