11林のダンジョン6
永遠に復活してくるゴーレム。
完全に無視して先へ進むとか出来るのだろうか?
考えられることといえば完全に、粉々に、破壊するかゴーレムを全部同時に戦闘不能に追い込むか。だな。
今試せるのは一体を完膚なきまでに粉々にする事だ。
「ベビーロック」
先ずは上空に巨大な岩を作ります。
大きさは直径5メートル程で大丈夫!
そのまま再生しかけているゴーレムに叩きつけます。
粉々にならない小さな塊は圧縮した水魔法、コンプレスウォーターを使って細かくしていきましょう。
「まるで何かの料理番組の解説だな」
自分で自分の思考に突っ込みを入れた。
「うん、再生はしないみたいだ」
流石に石ころレベルまで粉々になると再生しないようだ。
ゴーレムの倒し方は分かったけど……
「面倒だな」
いや、でも再生するって事は倒し方次第では倒し放題か?
「いい特訓場所じゃないか」
倒し放題に泊まり放題。
特訓するならここでしょ!
何から何まで良くできてるよ本当。
迷路の所では製作者を1発殴ってやりたかったが、今は1発殴ってから抱きしめたい。
「さて、一度帰ろう」
敵の強さも分かったし、特訓に向いてる事も分かった。
後は行き来ができるかどうか、それだけだ。
俺はその場で踵を返し来た道を戻り始める。
普通に広くて時間が掛かるので、勿論ウィンドランを使っている。
結果から言って普通に帰ってこられた。
「ただいま」
「うぉん!」
時間で言うと出ていたのは2時間程度かな?
「あ! 勝手にどこ言ってたの!?」
「いや、ちょっと隣の部屋を……」
「とんでもない魔物が居たらどうするんですか!!」
「ご、ごめんなさい……」
予想以上な反応に気圧される。
暫く俺への心配攻撃は続いた。
「で、どうだったの?」
「うん、無限再生のゴーレムが沢山いた」
「無限再生ですか?」
「そう、実験の結果によると石ころサイズまで粉々にすると再生はしないみたい」
「いっぱいって?」
「んー、見た感じ50? でも広かったからなぁ……100はいないかなってくらい」
「そ、そんなに……ゴーレムはどんなのでしたか?」
「大きいのは人型で3メートル、小さいのは犬型で1メートルくらいだった」
「多分ガーディアンゴーレムですね。Aランク程の強さです。ダンジョンでしか確認されていません」
「Aランクが100体!?」
「心配か?」
「だってコボルト・エンペラーでもあんなに強かったのに……」
まぁ驚くのもわかるが……
コボルト達と戦った時より君達、滅茶苦茶強くなってるからね?
「言ってなかったか? ステータス上昇抜きであの時より最大5倍は強くなってるから」
「え?」
「コアも」
「ほあ?」
2人して面白い顔を並べる。
「う……嘘でしょ?」
「た、確かに強くはなったとは思ってましたけど……」
「ステータスプレート確認してないのか?」
「初めてのダンジョンで頭がいっぱいで……」
「ステータスなんてレベル50も過ぎたらそこまで変わるものではないので、確認なんて滅多にしないですよ……」
「そうか、じゃあ説明しとくよ」
「お願い」
「ありがとうございます」
「2人とも同じスキルが1つずつと、称号が1つずつーー
「称号ですか!?」
「あぁ」
「称号は生れつきかダンジョン制覇でしか手に入らないものですよ!?」
おっと、新情報だ。
「ダンジョン制覇で称号が手に入るのか?」
「はい、ダンジョン制覇するような人はSSランクの冒険者の方やSランクの方がパーティーで挑むようなもので、殆ど伝説みたいなものですがそう聞いてます」
成る程。
確かにこのダンジョンもそう簡単に制覇できるようなものではないし、相手もSランクの魔物やAランクの魔物ばかりだ。
実際俺達の様なSランクを超える様なステータスでもなければ無理だろう。
この世界でSランクやSSランクの冒険者はそういないらしいし、それがパーティーともなるとかなり珍しいのも頷ける。
「そうか、知らなかったなそれは。楽しみだ」
「ここを制覇したらまだ強くなれるって事?」
「そうなりますね。あくまで伝説が本当なら……ですけど」
「まぁ、それは後でわかるよ。今は2人のスキルと称号を教えておくよ」
「うん」
「お願いします」
「先ず【逆境】これはピンチになれば成る程ステータスが上がって、最大3倍って言うチートスキルだ」
「さ、3倍!?」
「法外です。そんなの聞いた事ありません」
「チートってなに?」
「反則級って意味だよ」
「確かに反則級だよね」
「でもピンチになるまで3倍にならないんですね……」
「そうだね。それまでに圧倒的に強い相手だったらやられちゃうじゃん」
「まだ称号があるけど?」
「なになに?」
「気になります」
因みにステータスプレートではスキルの名前は分かっても効果は分からない。
パラメータのスキルのお陰で分かる事だ。
「いいだろう」
わざわざ勿体つける様に偉そうに装う。
「もぅ! 勿体つけないでよ!」
「ごめんごめん。称号は【仲間を持つ者】って言って仲間と戦うだけでステータス2倍って称号だよ」
「何ですかその美味しい称号は」
「仲間と戦うだけで2倍?」
「そう、つまり仲間といてピンチの時は最大5倍だ」
「本当に? やっぱ嘘ですとか言わないよね?」
「本当だよ」
「本当に5倍になったらSSランク並ですよ? 私のステータスで1番高い敏捷が1700ですから……8500……」
「うわ、エゲツないね」
「これはもう敏捷だけならSSランク上位並です」
「多分今の俺よりピンチになった2人の方が強いよ」
クロの方がチートだなんて、この驚きを見た後では言えないな。
どうして2人にこんなスキルが入ったのかは謎だ。
「俺にも【逆境】とか【仲間を持つ者】なんてスキルや称号が欲しいよ……」
「アルディさんは持ってないんですか?」
「アルにだけないなんて可愛そうだし、あげれるならあげたいけどそんな事できないもんね……」
エリーがアルの肩を叩く。
「アルさんのスキルはどうですか?」
「あぁ、こんな感じだよ」
そう言ってステータスプレートを見せてやる。
【スキル】
記憶……MAX
パラメータ……MAX
習得……MAX
ゴットラック……???
逆境……1
アイテムボックス……MAX
魔力操作……MAX
性質変化……MAX
テイム……MAX
危機感知……MAX
剣術初級……MAX
剣術中級……MAX
体術初級……MAX
体術中級……MAX
炎初級……MAX
炎中級……MAX
炎上級……MAX
水初級……MAX
水中級……MAX
水上級……MAX
風初級……MAX
風中級……MAX
風上級……MAX
土初級……MAX
土中級……MAX
土上級……MAX
雷初級……MAX
雷中級……MAX
雷上級……MAX
光初級……MAX
光中級……MAX
闇初級……MAX
闇中級……MAX
闇上級……MAX
炎耐性……MAX
水耐性……MAX
風耐性……MAX
土耐性……MAX
雷耐性……MAX
闇耐性……MAX
恐怖耐性……MAX
「逆境、持ってますよ?」
「え? うそ」
俺はコアの持つ自分のステータスプレートを覗き込む。
「ある。本当だ……」
「よかったじゃん!」
「アルさんのステータス3倍ってもう人じゃないですよね。魔王とか名乗った方がいいですよ」
「魔王は酷くないか?」
「そうだよ、大魔王くらい言わなきゃ」
「そっちかいっ」
「世の中にはアルさんクラスの人が何人が居るって思うと、世界って広いなぁって思います」
「まだ上がいるのか?」
「聞いたことしかないですけどね。勇者や英雄とか呼ばれるくらいになると2万とか3万とか言われてます。今まではそんなのあり得ないと思ってましたけど……あながち嘘じゃないかも知れません」
もしかしたらその勇者や英雄とは転生者なのかも知れない。
実際クロもスキルの効果を合わせれば1万を超える。
取り敢えずスキルをマスターさせて置く。
神でもない勇者や英雄が2万3万と言うならば、魔神は一体どれだけなのか……
兎に角、今はこのダンジョンを制覇する事に専念しよう。こんな所で死んでしまっては元も子もない。
先程の計画通り、慎重に行こう。
「上ばかり見ても仕方ない、兎に角俺達は強くなった。そしてこのダンジョンを制覇して更に強くなる。今、目の前の事を考えよう」
「そうだね。あの頃より5倍も強くなったって聞いたら余裕ができた」
「そんなに強かったんですか? デーモン・キングさん」
「少なくともあの時の俺達からしたらな」
「最後はアルが追い返しちゃったけどね」
「あいつもバカじゃない。「来い」と言ったからには、何かしらの対策があるはずだ」
「油断は禁物。だね」
それにしても、いつ【逆境】を習得したんだろうか。まだ謎は多いが、今は今の事を考える事にしよう。
「そういう訳で、Aランクの敵如き恐るるに足らず。丁度いいレベル上げの相手だ」
「そういう事ね」
「確かに、今の話なら安全ですね」
「あぁ、それと……ちゃんと往復できる事も確認できたから。暫くは硬い床で眠らなくても大丈夫だよ」
「ほんと! それが1番嬉しい!」
「私は慣れてますから平気でしたよ?」
慣れてるって一体どんな生活して来たんだよっと突っ込みたくなったが、コアが自分から話すまでは聞かない事にしている。
「特に準備とか必要ないなら行くけど……行けるか?」
「うん!」
「はいっ」
俺達はゴーレムの間に続く横穴へ入っていく……




