10林のダンジョン5
あの白い光は何だったんだろうか。
もしかしたらクロのステータスに何か変化があるかもしれない。
俺はパラメータ発動させる。
【名前】クロ
【種族】フェンリル
【年齢】?
【性別】不明
【ステータス】レベル97
HP:1490
MP:780
筋力:865
敏捷:1021
魔力:582
耐性:617
運気:72
【スキル】
覚醒……MAX
封印……MAX
不屈……MAX
分身……MAX
逆境……1
闇初級……MAX
闇耐性……MAX
【称号】
神獣……覚醒時ステータス10倍
最大ステータス逆境と神獣で13倍ですか?
メチャメチャ強く無いですか?
元々覚醒状態になったクロはこのステータス以上のチカラがある。それが13倍?
恐らく現在パーティ最強はクロだ。
俺の予想だと覚醒状態で1.5〜2倍近くステータスが上がってたと思うから最大15倍?
「グルォウ」
クロの称号に嫉妬してたらクロに呼ばれた。
「どうした?」
「グルォウ」
「先に何かあるんじゃ無い?」
クロは先を急かしているみたいだ。何か感じたのだろうか?
「行ってみましょう!」
「分かった分かった」
クロが俺の背を頭で押す。
そのまま次の横穴へ入りしばらく進むと……
「おお!」
「え!?」
「家? ですか?」
そこには太陽の光が降り注ぎ、草花が咲き乱れる草原。
草花には蝶がとまり、近くの茂みには動物も生息してそうだった。
そんな草原のど真ん中に一軒の家が建っていた。
「なんだ、こりゃあ。太陽?」
「多分、人工の太陽です。魔法の幻覚か何かでしょうか?」
「でもお花は本物だよ?」
エリーは近くの花を積み匂いを嗅いでいた。
罠でもなんでもいい。これは願ったり叶ったりだ。多少のリスクを考えてもここで休んだほうがいい。気がする。
最悪、家だけは使わずにしたっていい。
「中も結構広いよ!?」
「うぉい!」
既に家の中までチェックをしていた。
色々考えてるってのに。
「本当ですね!ベッドも付いてます〜!」
「あぁ、もういいや」
俺は頭を抱えた。
「どうしたの?」
「あれだけ罠があったんだから、ここに無いとも限らないだろ?」
「そっか! 気を付けないとね!」
もう遅いだろう。
「まぁ今の所問題はなさそうだし、罠って訳では無いみたいだね」
このダンジョンに入った時の違和感。
何者かに造られたかのような……
それは俺の中で確信へ変わっていく。後で意思を持った石? が話せるなら聞いてみよう。
「うぉん!」
「クロ」
クロも連戦で色々怪我してるし……
考えても仕方ない。ここは休憩所とでも思って休んでいくとしよう。
「ふかふかぁ……」
バフッと音を立てて倒れこむエリー。
埃もないし、ちゃんと管理されてるみたいだ。
「コアとクロも一度寝て置け、交代で俺も寝るから」
「分かりました!」
「うぁん」
大部屋の探索でもするか。
皆んなが眠った後、離れすぎないように注意を払いつつ辺りを探索。
「本当に自然だなぁ……」
相手がいない言葉は虚しく答えが返って来ることもなく、消えていく。
草原、と言うより林……
厳密に言うと林と草原の境目の所に家は建っている。
「この林の中に食料が……」
先程動物を確認しているのでそれを探す。俺も遂に【アイテムボックス】が手に入ったので捕まえておいて損はない。
因みにアイテムボックスだが、スキルレベルが上がると中の容量が増えて、マスターするとほぼ無限だ。
実際には無限ではないが、誰も街や国ごとアイテムボックスには入れないだろう? って位には広い。故に無限だ。
後は、出し入れの魔力が減る。マスターすればほぼ魔力は要らないようだ。
この【アイテムボックス】はどうして手に入ったのだろうか。
ずっとコアのを使ってたから戦闘がキッカケで手に入ったのだろうか……
それが1番自然だが、それにしては習得するのに時間がかかり過ぎだ。
普通に確率の問題だろうか?
それなら【逆境】が欲しいな。仲間を持つものも欲しい。
ステータスの底上げはやっぱり強いよね。
後は【剛力】や【俊足】もいいな、パッシブ系は基本あって損はないだろう。
上手い事スキルを習得できる方法は無いだろうか……
まだ今の段階では考える材料が少ない。
そう言えば考えた事無かったが、ダンジョンの最奥ではスキルが貰えたりとかするんだろうか……
ゲームとかでよくある系はダンジョンをクリアすると、伝説の装備が貰えたりスキルが増えたりするからね。
いい事ばかり考えてもいけない。途中までの敵達が予想よりかなり強いので、最奥間には何がいるか分からない。
デーモン・キングだとしたら大した事はないんだけど……
奴には聞きたい事が山ほどある。心配なのはエリーだ。
感情に走って先走らなければ良いけど、万が一って事もある。
「よく言い聞かせておかないと」
勿論言うだけでなくその時は止められるようにするつもりだ。
もしここが安全なら、暫くここで特訓してもいいな。何日か交代で見張って、様子見してから考えてみよう。
「これ以上離れたら危ないかな」
ある程度、地形や魔物の確認も済んだので一度皆んなの元へ帰る事にする。
「危険なものはなさそうだな」
ポツンと立った一軒家は木造建築で、海の家とでも言えば良いのか、丸太が主で建てられている。苔や蔦なんかが纏わり付いているが、中に影響はない。
寧ろ自然な感じで気分がいい程だ。
中はと言うと、1LDK程の広さでベッドが2つにお風呂まで付いていた。
「ベッドは2つとも占領されているし、風呂でもはいるか」
ベッドにはエリーとコアが陣取ってグーすか寝ている。
クロは家の中より外が好きなのか、花と戯れながら眠っている。
新居でも探検する様な足取りで風呂場へ向かう。
「ホットスプリング」
魔法を使って湯を張る。
魔法の名前は自分で付けた。
意味は温泉だったかな?
実際ただのお湯なので温泉では無いがホットウォーターよりカッコいいのでこちらを使っている。
木造であるこの家の風呂は檜風呂だ。
この家を造った人は日本人かな?
久々にのんびりした時間を満喫し、身体を休める。
「アルさん、おはようございます」
「おはよう」
あれから数時間ほど皆んなを寝かせていると、コアが目を覚ました。
「私はもう大丈夫です。ありがとうございました。アルさんはまだ眠っていませんよね?」
「あぁ、遠慮はしなくていいぞ?」
「お風呂でも入ってます」
「じゃあ甘えて、寝かせてもらうよ」
正直俺だって眠かった。
「アルさんが起きたらもう出ますか?」
「いいや、何日かはここに要るつもりだよ。クロの怪我も直して起きたいし」
「分かりましたです」
そう言って寝起きのテンションのままベッドを譲ってくれる。
「ありがとう」
「そんな!こちらこそすみませんでした」
「気にするな」
横になった俺は急激な眠気に襲われる。
「もぅ、寝るよ。後は、よろ、しく」
この後の記憶はない。
ーーー
重い。
「んっ……」
目を覚ますとまたしてもエリーとコアに挟まれ、横になっていた。
「ベッド2つあるのに……」
前回はこのまま起きてしまったが今日はこれでもいいだろう。
「ん?」
2人とも風呂に入ったのかいい匂いがする。
いかん……
このままでは色々と……
俺は2人を起こさないようにそっと起き上がる。
そのまま泥棒の様に忍び足で外に出る。
「クロが見張りだったのか?」
「うぉん!」
ここに来てもう2日目だが魔物が出たことはない。
「ちょっと次の間を見てくるから留守番を頼んでいいかな?」
「うぉん!」
俺は2人が眠っている間に次の部屋なのか道なのか、どんな魔物がいるのかを確認しに行こうと思う。
進んだはいいが戻れなくなった。
なんてごめんなので十分注意しておこうと思う。
「クロ、もし俺が12時間以上経っても帰ってこなかったら、エリーとコアと一緒に次の間まで来てくれるか?」
「うぉん」
勿論そんなつもりはない。万が一の保険だ。
エリーがした様にウィンドランの魔法も使って風の如く次の間まで駆けていく。
次の間に繋がる横穴を発見。
「よし、オアシスの次は地獄。なんて可能性もあるからね」
石橋を叩いて渡る様に、慎重な足取りで横穴へ入る。
暫く進んで見たが、道を塞がれる様な気配は無い。
道が開けていく。
「また大部屋か?」
予想どうり目の前に大きな部屋が段々と見えてくる。
「なんだこりゃ」
アルディの目に映った光景は、少なくとも50体程はいるゴーレムの群れだ。
ゴーレムは岩と岩が重なって人型を何とか成している様な無骨な形のものや、4本足の犬っぽいものなど様々だ。
大きさも様々で3メートル以上あるものから1メートル程のものまで居る。
「今度はこれを切りぬけろってか?」
先ずは、一体毎の強さが知りたい。
炎や雷は土には効かないかな?
風で押し切るか? 水を圧縮してぶつける?
少し逡巡した後に、水系統の魔法を選択した。
一体の防御力を確認する為だ。
〝パシュンッ〟
人型ゴーレムの右足を圧縮された水が貫く。
「あ、気付かれた」
足を貫かれたゴーレムは攻撃された事に気が付いて此方へ走って来る。
向かって来るのは一体だけだ。
「攻撃しないと向かってこないのかな」
目の前まで来たゴーレムに、同じ魔法で頭を貫くと、動きが止まり形が崩れて地面に転がった。
「急所の概念はあるみたいだな」
今度は攻撃しなければターゲットにされないのかを実験する為、ゴーレムに向かって走り出す。
3メートル程の距離になると、ゴーレムは俺の方を向いて走り出す。
「大体、3メートルくらいか」
ゴーレムの半径3メートルに入るとゴーレム達は攻撃を開始するみたいだ。
「ゲームみたいだな」
向かって来るゴーレムの左足を剣で切断する。
〝ズダァンッ〟
バランスを崩したゴーレムが地面に突っ伏す。
「弱いな」
これなら何の脅威にもならない。
そう思った時、目の前のゴーレムは再生を始めた。
「完全に倒さないと復活するのか!」
ふと気になって先程頭を貫いたゴーレムの残骸がある所を見る。
「ない!?」
成る程、そう言うやつか。




