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5いざダンジョンへ5


 一月が過ぎ、約束の日になったので、今日はドヴァーリさんの所に行く日だ。


 そして今、俺達はドヴァーリさんの工房の前に居る。


 一月前と同じ様に石造の工房から黙々と煙を出して迎えてくれている。


「ドヴァーリさん! アルディです!」


〝ダンッダダダダッ〟

〝バンッ〟


「おお! 待ってたぞ! こっちだ!」


 どうやら納期遅れなどは無いようで、これ以上お金が減らずに済んだので一安心だ。


 雰囲気からしても中々の出来栄えであるに違いない。


 中に案内された。ドヴァーリさんが更に奥から注文の品を抱えて持って来た。


「よっこらしょっと!」


「おおー!」


「うぉん!」


 エリーとクロが嬉しそうだ。


「先ずは嬢ちゃんの片手剣からだ!」


 そう言ってエリーに片手剣を渡す。


 片手剣。刃渡り80センチくらいで、柄は青色の両刃のものだ。


「こりゃあな、柄をよく見てくれ。鍔と呼ばれる所だ」


「なんか赤い宝石? みたいなのがある!」


「それは魔晶石ってんだ。魔力をある程度貯蔵したり増幅させる効果があってな? 魔法剣士の城ちゃんにはまさにぴったりさ」


 へへっと自慢げに笑うドヴァーリさんはまだまだ、と言った具合に話し出す。


「それに通常の剣より最高に軽く仕上げた。勿論強度も以前のものより遥かにいいぞ?」


「ありがとうございます!」


「そんでコアちゃんにはこれだ。筋力が多いんだから短剣なんて勿体ねぇ。それにスピードを活かせる軽めの片手剣2振りで双剣にして見た」


 エリーよりも少し小ぶりな片手剣だ。モチーフはオレンジ色だ。


「成る程です、以前より筋力も上がりましたからいいかもです」


「そんで、そっちのクロっつったか? そっちにはこれだ」


「うぉん!」


「展開型の鎧。とでも言えばいいか? 今はただの首輪みたいだがな。展開すれば全身を包み込む形を成す。展開時には多少の魔力が必要になるから、魔力を流してくれれば勝手に展開する。外で試して見てくれ」


 そう言って俺達は外へ促され、そのまま外に出る。


「うぉん!」


 見る間に身体が大きくなる。


 クロが首輪に魔力を込める。

 一瞬で首輪が鎧へと変化した。

 首を包み込む様に守り、背と腹を守る。弱点の露出を無くしてくれている。

 頭頂部、前胸部、肩周りから背中まで、まるで軍馬の様だ。


「これは全耐性付きの鎧だ。そんじょそこらの魔物じゃあ傷一つつけられやしねぇぜ? 折角だからお前ら全員に同じ物を用意させてもらったぜ! お前らには展開型にする意味はなかったけどな!」


 ガハハハと笑うドヴァーリさんはすぐに真剣な表情へ戻った。


「そんでこれがお前さんの武器だ」


 差し出されたのは普通の両手剣だ。

 長さ150センチ程のただの剣。


「お前さんに小細工は必要ねぇ。純粋な硬さ、切れ味。剣そのものに拘らせてもらった。間違いなく俺の最高傑作だ」


 そう言われて鞘から剣を抜く。


 おお、なんかしっくりくるな。アドルフから貰った剣よりかなり重めだが、機動性に全く問題はない。


「流石に絶対に折れねぇなんてかっこいい事お前さんを前にしちゃあ言えねぇが、そう簡単には折れねぇから、暫くは思い切り戦えるぜ」


「ありがとう。ドヴァーリさん」


「だからって簡単に折られちゃあ敵わねぇ。大事に使ってくれよ?」


「勿論です!」


 お礼として用意しておいた酒を3樽分を渡す。


「色々ありがとうございます。お口に合うか分かりませんが宜しければ……」


「おぉう! 分かってんじゃねーか! 今夜は宴会だな!?」


「こ、今夜ですか?」


 流石ドワーフ。気が早い。


 迷っていたがドヴァーリさんの中ではもう決定事項の様だ。


「お酒なんて初めて! 美味しいのかな?」


「楽しいですよ?」


 ちなみにファンタジーにお酒は20歳から! なんて人はいない。寧ろ12歳なんて一人前の大人扱いだ。



ーーー



 ドヴァーリさんは、流石ドワーフと言わんばかりに酒のつまみに関しての料理は網羅していた。


 基本川で獲れる魚か魔物の肉で燻製や干し肉が多かったが、漬物が美味しかったのが印象的だった。

 食べたことのない味だったので材料を聞いてみると、魚で作る醤油で漬けるのだとか。


 因みに前世でも現世でもお酒は初めてだ。


「あーる? 聞いてる?」


「聞いてるよ……」


「どうなってんの?急強くなるし、変な女は連れてくるし」


「変な女じゃないですよぉ〜ふふふ。失礼じゃないですかぁあ?」


「ガハハハッ! なんでもいいじゃねぇか!」


「ドヴァーリさんは強過ぎやしませんか?」


 もう一樽近く1人で空けてしまっている。

 エリーは怒り上戸?コアは甘え上戸の様で俺は普通だ。結構イケるけど酔ってる感はあった。


「ドワーフなら当たり前だぁ!」


「ははは、とんでもないですね」


「アルさんも飲め飲め〜ですぅ」


 アルコールでドキドキするのかな? いつもよりコアが可愛いな……


「ある! こっちも見てよ!」


「はい、すみません」


 エリーは怖い。けど……


「へへへ、そんなに見ないで恥ずかしいよぉ〜」


 普通ならウザい。が可愛い。そんな自分がなんか嫌だ。


 

 エリーに関してはまだ12歳でそこまで色気はないが、コアに関しては別だ。このままではまずい。


「コア暑いから少し離れてくれないか?」


「そんなこと言わないで下さい〜!」


 俺の右腕に抱き着いたまま身体全部を使っていやいやする。

 何だこれは腕が幸せ過ぎる。こんな事があっていいのか。


 くそっ! もうここまできたら許されてもいいはずだ!

 落ち着け、そんな訳がない。彼女を悲しませる様なことをするのか?

 違う! 誘ってくるのはコイツだろう!


 ふふふ、人生初めての……


 コアの方を向きそっと近付く。


「スー……スー……」


「おい」


 左を見る。


「スー……」


 俺は間違いを犯すところだった。こんな無垢な笑顔を俺はっ!


「グゴゴゴッガァーグゴゴゴ」


 寝ちゃってるよドヴァーリさん。


 俺も寝るとするか……。



ーーー



「ううう、頭がいたい」


「ガハハハ、嬢ちゃんもまだまだだなぁ?」


「お子ちゃまです!……」


 お前もすんごい顔青いよ?


 ま、若いので半日もすれば元気になるだろう。


「ではドヴァーリさん、昨日はありがとうございました。また暫くしたらこの街に戻ってくるつもりです。その時はまた盛り上がりましょう」


「おう! いつでも来いよ!」


「また装備類もお願いしますね!」


「次までにはもっと腕磨いてるからよ!」


「では今度は出世払いでお願いしますね?」


「ガハハハッ」


〝ドンッ〟


「気を付けて行って来いよ」


 最後に俺の肩を叩いてそう言ってくれた。


 きっと何も説明はしていないが、なんとなく危ない事をする事は分かっているのだろう。


「ありがとう、ございます」


 俺達は最後に宿屋にお礼と昨日までで宿泊は終わりだと伝えに行くことにした。


ーー


「いらっしゃ……あんた達かい。珍しいね?」


「今日でこの街を立つんです」


「そうかい……少し、寂しくなるね。また、帰ってくるんだろ?」


「暫くしたらまた帰るつもりですよ」


「ん、そん時はまたうちを使っとくれよ」


「勿論ですよ」


「あの子にもよろしくです」


 あの子とは三角巾の女の子の事だろう。

 それにしても回復の早いやつらだ。もう二日酔いの気配がない。


「あぁ、きっと寂しがるだろうね」


「また会えると伝えて下さい!」


「ではまた……」


 踵を返して出口へ向かう。


「ほら、餞別だよ! 持ってきな」


 そう言って女将さんは干し肉の入った袋を一つくれた。


「ありがとうございます」


 今生の別れかの様に接してくれるが一月か二月もしたら帰ってくるんだけどな。

 と言ってもこの世界では1度街を出たら生きて帰って来れない可能性もあるからしょうがないのかも知れないな。

 特に最近は物騒だと言われている事だしね。


 その足でネット市を出るためにネット市の門まで向かう。


 大きな門が見えてくると、駐屯所の中から虎くんが出てくる。


「依頼に行かれるのですか?」


「いいや、暫く出ようと思ってね」


「そうですか、アルディ様方でしたら万が一にも大丈夫だと思いますが……お気を付けて下さいね?」


「ありがとう。じゃあ虎くんも頑張ってね」


「はい、ありがとうございます」


「またね!」


「うぉん!」


 それなりに虎くんには助けてもらったし一月の間にまた世話になった。エリーもクロも割と気に入ってるみたいだし、俺も結構好きだ。


 虎くんにもまた会いに来ないとな。


「また、会いにくるよ。その時は色々お礼をさせてくれよ?」


「そんな、とんでもない!」


「それとワニくんにも伝えておいてくれ。もう怒ってないからそんなに怯えなくて良いよってね」


「分かりました……しかし……いえ、大丈夫です」


 なんだろう。何かあるのだろうか?

 まぁなんでもいいか。


「じゃあまたね」


「お気を付けて!」


 そのまま俺達はダンジョンのある林に向かう。

 勿論クロの背に乗って。


 そして念願のダンジョンを今、目の前にした。


ーーーさぁ、いざダンジョンへ。



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