4いざダンジョンへ4
観光のシーンは2章のSSで入れていきたいと思います!
次話は本編が進むように投稿させて頂きますのでよろしくお願いします!
俺達はドヴァーリさんの工房を出ながら宿を探すことにする。
辺りはすっかり暗くなり、先程までの街の雰囲気とは一転し、夜の世界になりつつあった。
「さて、宿でも探すとしようか」
「宿でしたら私、良い所を知ってます!」
今回もコアが見知った所を案内してくれるようなので、甘える事にする。
「じゃあ頼むよコア。あ、でもクロも部屋へ入れるだろうか?」
「聞いてみないと分かりませんけど、クロちゃん程度の大きさなら大丈夫だと思います!」
問題なさそうなので案内して貰う。
「もうヘトヘト〜。色々ありすぎだよ〜」
ここ数日で故郷を失い、旅をして辿り着いた街で冒険者になっては格上の魔物と闘ってきたのだ。無理もないだろう。
「クロもありがとうな。エリーを守ってくれたんだろ? 疲れてないか?」
「うぉん!」
どうやら着いたみたいだ。そんなに遠くなかったな。
「ここですここ!」
うん、割と外観も綺麗だ。緑の旗に【憩】の字が目印だ。勿論、日本語ではない。こっちの字でヴィルダン国語と言う。
「いらっしゃいませ!」
元気の良い女の子がお出迎えをしてくれる。頭に緑の三角巾を巻いていて、活発そうな雰囲気だ。
この宿は緑がモチーフなんだろうか?
「いらっしゃい。あら、コアちゃんじゃないか」
「ご無沙汰です〜」
奥から出てきたのはこれまた緑のエプロンを着けた女将さんだ。恰幅のいい女性だ。
「最近めっきり見ないから、何かあったのかと心配してたのよ?」
「ご心配をおかけしました」
「今日は1人じゃないのかい?」
「はい、今日は3人とこの子です」
「うぉん!」
「元気の良い子ね〜」
この流れのままクロの入室の確認を取る。
「コイツも部屋に入れたいのですが大丈夫ですか?」
「あぁいいよ。その代わり風呂やベッドに入れるのは遠慮しとくれよ?」
「分かりました」
部屋に入れられるだけでも御の字だ。亜人が殆どの街だから緩いのだろう。
「それじゃあ部屋は2部屋で良いかい?」
「構いません」
「2部屋と朝食3人分で、合わせて大銅貨50枚だよ。ちっとばっかし高いが最近街の周りが物騒でね?行商人やらが来たのはいいが出られないってなもんで需要が高くてね」
「ではとりあえず一月分程お願いしてもいいですか?」
「一月分だね? 銀貨15枚だけど、コアちゃんの知り合いって事だし、久しぶりに会えたんだ、銀貨14枚に負けとくよ」
「ありがとうございます!」
「先払いになるが大丈夫かい?」
「ええ、よろしくお願いします」
そう言って代金を支払う。
「風呂は共同で夜更け迄には入っとくれよ?」
「分かりました」
「じゃあ後は娘に引き継ぐから、後は頼んだよ」
先程の女の子が部屋へ案内してくれた。
一階の入り口から入って直ぐにロビー、ここにテーブルやら椅子があり、何人かが食事を取って居たり酒を片手に語り合っている。
俺達は女の子に2階へ案内される。
「ここの部屋と、そっちの部屋をお使いください! 朝食はさっきのロビーの所で私に朝、仰って頂けたらご用意させていただきますのでお願いします!」
2階に客室があるようだ。
「お風呂は1階にあります! 夜更けまでにお願いします!」
そう言って直ぐに仕事へ戻って行った。元気の良い子だな。10歳くらいだろうか?
「さて、適当に分かれて休むとするか?」
「……」
「……」
「どうした?」
返事がないので振り返るとエリーとコアが静かに見つめあって……いや、睨み合っていた。
「今まで一緒に居たのは私。当然アルディと同じ部屋で寝るのは私」
「ここは親睦を深めるためにも私はアルさんと居るべきだと思います」
「くぅ〜ん」
何やってるんだ。怖いよ2人とも。後ろの鬼と九尾を仕舞ってくれ。
クロも怖がってるじゃないか。
「どっちでも良いよ」
「「よくない! ありません」」
「じゃあ俺とクロ、エリーとコアだ。文句なし! 決定!」
「ええー!」
「そんなぁ」
ぶーぶーと文句を言う2人を置いて部屋に入ってしまう。
よし、これでゆっくりできるな。
しばらく時間を共にすれば、少しはあの2人も仲良くなるだろう。
なかなか部屋も綺麗だ。ベッドもあるし地べたより何倍もマシだ。
うん、固すぎずいい感じのベッドだ。今日はいい夢が見れそうだな。
「さっさと風呂に入るか」
クロしか居ない部屋で独り言を漏らす。
「クロ、先にお風呂に入ってくるから待っててくれるか?」
「うぉん!」
「後で沢山食わせてやるからな」
そう言って風呂の用意を持って行く。
そのまま下で食事でも取ってクロにお土産を持ってくればいいだろう。
木造の軋む床を歩いて1階へ降りる。
ロビーとカウンターの間を抜けてお風呂のある部屋へ行く。
「まぁこんなもんか」
木桶の湯から手持ちの桶で湯を掬って体を洗うスタイルみたいだ。
木桶の湯船は1人分サイズで3つ並んで居た。今は貸切状態だ。
あぁ、因みに男女は分かれているのでこの前のようなラッキーすけべはない。
川なんかよりよっぽどいい。
ささっと体を洗って湯船に浸かる。
「綺麗な月だなぁ」
朝になると日が登り、夜になると月が登る。これは前世と同じ様で、やはり落ち着くものだ。
ここ最近では忙しくて空を見ることもなかった為か余計に綺麗に見える。
ダンジョンに入ればまた暫く外には出てこれないかもしれないからな、今の内に外でできることをしておこう。そう思った。
ロビーに戻ると丁度エリーとコアも風呂から出て来た所みたいだった。
「アル! 良かった。お金はアルが持ってたからご飯どうしようかなってコアと話してたとこだったから」
「あぁ、ごめんごめん」
「クロは?」
「クロには部屋で待ってて貰ってるよ。ご飯は後で持って行くからって伝えてある」
「そう、じゃあ早く食べて持ってってあげないと」
「お食事をご希望ですか?」
緑三角巾の女の子が話し掛けてきた。いいタイミングだ。
「ああ、3人分と何か肉料理を頼んでいいかな?」
「かしこまりました!」
俺達はテーブルを囲んで座る。
割と直ぐに料理が出された。
料理は割と質素なもので、固いパンとスープに魚が1匹。これで1人分だ。
まぁ、味無しの魔物の肉に比べたら何倍も美味しい。
軽い雑談と、打ち合わせみたいな会話をしながら食事を終える。
「じゃあ明日は観光も兼ねて、ダンジョン探索に向けて準備を整えようか」
「観光楽しみ〜! シーネ村以外見たことないもんね!」
「お買い物は好きです」
「ん、じゃあクロも待ってることだし、料理を持ってってやろうか」
クロのお土産を持って2階へ行き、部屋の前で別れる。
「おやすみ〜」
「また明日ね」
「おやすみなさいです」
エリーとコアが普通に話す様になるまで意外と短かったな。
これから仲良くなってくれたらいいが。
エリーもシーネ村に同い年くらいの女の子なんていなかったからな、どう接して良いのか分からないのかもしれない。
「待たせたね」
そう言ってクロに肉料理を出す。
「うぉう!」
お腹すいてたみたいでガッつきながら食べていた。
明日は1日のんびりしながら観光しよう。
ーーーーーーーーーーーー
窓から差す光で目が覚めた。
なんか暑いな。
それに腕が重い。筋肉痛かな。昨日は初仕事だったから……。
でも何か柔らかいものが……主に右側に。
「お前ら……」
左にエリー、右にコア。
男の夢、双丘はコアの方が大きい。12歳と14歳なんだから仕方ない。
幸せな気分なので、主に腕が、もう一寝入りしようかと悪魔の囁きに乗りそうになってしまった。
しかしなんとか誘惑から命懸けで逃げ切ることに成功した。
「起きろっ!」
「わぁ!」
「きゃっ」
「可愛いからってなぁ許さないぞ?」
「可愛い?」
「可愛いです?」
「嬉しそうにするんじゃない」
部屋を2つにした意味がない。全く。
「今日は色々買い出しに行って観光もするんだから、早く準備しなさい」
「はーい」
「ですぅ」
ーーー
宿を出てからはコアにあれこれ聴きながらダンジョンへの準備を進める。
ポーション類体力回復や魔力回復から状態異常まで幅広く揃える。
ポーションは回復系は供給も多いせいか、下級程度なら安価だが中級となると銀貨1枚程度にまで跳ね上がっていた。
下級5本持ち歩くより早いし荷物も少なくて済むからそう行った所も高くなる所以だろう。上級まで来ると一本で銀貨30程度もした。
とりあえず中級ポーションを大量買いしておいた。
後必要そうなものは日用品だろう。ダンジョン内でも快適な生活ができるに越したことはない。
という事で食料品やら衣類やら様々なものを買っていく。
粗方買い占めた所で観光へ移行していく。
「驚きました。ダンジョンで生活でもするつもりですか!?」
「何があるかわからないしね」
「普通は行っては帰ってを繰り返して少しずつ進めるものですよ?」
安全マージンを考えたらその方がいいだろう。しかし余裕がない。俺は焦っているのかもしれない。
12歳になるまで成長出来ず、ここまで強くなったと思っても上には上がいると知った。
40や50歳になって戦えるとは思えない。
30程度が限界と考えても半分近くが過ぎてしまっていると考えているからだ。
俺は魔神を倒さなければならないのだ。
勿論、危なければ彼女達は先に帰すなり攻め方は色々変えるつもりだ。
まぁ難しい話はいいだろう。今は観光を楽しもう。持ち金も2割切ってきたしね。




