2いざダンジョンへ2
滅茶苦茶噛みながら現れたのは兎のお姉さんだ。
「落ち着いてください」
「た、たしかに、か、確認しました! 今から上のものが参りますので……」
〝ダンッ〟
〝ダダダダッ
「あなた達ですか! あの依頼をやったと言うのは!」
「はい、そうですが……」
「ささ、こちらへどうぞ」
いきなり現れたその男はこの領内には珍しく、人間だ。
凄まじい勢いで掴み掛かってくるかと思う程だ。掴み掛かられる事はなく、ギルドの奥へと促される。
言われるがままに奥へ入っていく。
〝バタン〟
「どうぞお掛けください」
「失礼します」
それぞれがソファに腰掛ける。
「失礼致します」
兎のお姉さんがお茶を置いていってくれる。
「ありがとうございますぅ」
「ありがとう」
「ありがとうございます」
「うぉん!」
クロにまで水を出していた。
早々に口火を切ったのはギルド員の男だ。
どうだろう50過ぎ位のベテラン事務員の様だ。初老と言いたくなるような人だ。小柄で白髪頭。
「早速ですが、あなた方は一体何者でいらっしゃいますでしょうか?」
「何者、と言われましても……俺と彼女とコイツはシーネ村に住んでおりましたが、村がこの度の異常に巻き込まれて強大な魔物に壊滅されてしまったので、その魔物を探す旅をしている次第でございます」
「なんと、シーネ村が!?」
「本当です。壊滅って言うより、消滅って言った方がいいと思います」
「そんな強大な魔物が……シーネ村で生まれシーネ村で育ったと言う事ですかな?」
「はい」
「ではそちらの女性は2年ほど前に噂されていた勇者の称号持ち。という事でよろしいかな?」
そう言えばなんたら学園とやらから招待が来ていたくらいだから、この人のような人物ならばエリーの事を知っていてもおかしくない。
「はい、そうです。私は確かに勇者の称号を持っています」
「失礼ですがステータスプレートの確認をしても?」
「いいですよ」
そう言ってステータスプレートを差し出す。
【名前】エリー
【種族】ヒューマン
【年齢】12
【性別】女
【ステータス】レベル70
HP:1853
MP:2086
筋力:1030
敏捷:1160
魔力:1230
耐性:1200
運気:80
【スキル】333
逆境……5
剣術初級……MAX
剣術中級……4
体術初級……MAX
体術中級……2
炎初級……MAX
炎中級……2
水初級……MAX
水中級……MAX
風初級……MAX
風中級……MAX
土初級……MAX
土中級……5
雷初級……MAX
雷中級……MAX
光初級……MAX
光中級……1
【称号】
勇者……レベルUP毎×5パラメータプラス
【逆境】
ピンチになればなるほどステータスを増していく。最大3倍。
後で確認した事だが色々スキルが増えてる事がわかった。すぐにマスターさせよう。
それにしてもまさに勇者みたいなスキルだな。
「なんと、確かに凄い。しかしこれではコボルトエンペラーまでは……」
「私よりもクロ方が強いんです」
「従魔の方が強い事などあり得ませんぞ?」
「従魔のと言うより、幼き頃から一緒に育ってますから、相棒、親友、幼馴染と言った表現のが私どもには合った呼び名かと思います」
「成る程、かなり賢い魔物の様ですしそう言った事もあるのですなぁ」
この世界に魔物のステータスを測る事ができる者はそうはいないのだろう。そこまで言ってもクロのステータスを測ろうとはしなかった。
「まだ、ですよ? これからが本番です。この人のステータスプレートを確認してみて下さい。きっと化け物じみた数字に違いないと思いますですよ?」
「ほぅ、宜しければ確認させて頂いても?」
「構いませんよ」
俺のステータスはまだ更新していないがスキルは増えている。
名前】アルディ
【種族】ヒューマン
【年齢】12
【性別】男
【ステータス】レベル78
HP:10000
MP:13053
筋力:3250
敏捷:4007
魔力:4321
耐性:2947
運気:1000
【スキル】
記憶……MAX
パラメータ……MAX
習得……MAX
ゴットラック……???
魔力操作……MAX
性質変化……MAX
テイム……MAX
危機感知……MAX
剣術初級……MAX
剣術中級……MAX
体術初級……MAX
体術中級……MAX
炎初級……MAX
炎中級……MAX
水初級……MAX
水中級……MAX
風初級……MAX
風中級……MAX
土初級……MAX
土中級……MAX
雷初級……MAX
雷中級……MAX
光初級……MAX
光中級……MAX
闇初級……MAX
闇中級……MAX
闇上級……MAX
炎耐性……MAX
水耐性……MAX
風耐性……MAX
土耐性……MAX
雷耐性……MAX
闇耐性……MAX
恐怖耐性……MAX
「……」
「……」
「今まで何処で何をしていらっしゃったのでしょうか? 貴方程の力があってぼうけん者でもなく、名も知れていない。それはあり得ないと思うのですが」
「村、破壊、強く、なった」
「彼、居て、村、破壊?」
なんてノリがいいんだ。エリーのおふざけに完全に乗ってきた。
俺はそんな事務員の男を完全に無視して話を続けた。
「信じて頂けないかもしれませんが、ほんの数日前までレベル1でしたので」
「レベル1、ですか。ステータスプレートの履歴を見ると、魔物の討伐も最近の物ばかりですし、納得できなくはないですが……」
ステータスプレートにそんな機能があっとは……
依頼の確認でステータスプレートを回収する所からして何かあるとは思ったけどそう言うことらしい。
「まぁ、確かに絶望の淵に立たされ爆発的に強くなったと言う話も伝説上は在りますがね。あくまで伝説としてですが」
事務員の男が渋々納得するよと言う態度が見て取れる。
これ以上追求しても何も得られないと悟ったのだろう。
「ではこちらを」
事務員の男が兎のお姉さんに何かを促す。
兎のお姉さんが布袋を大事そうに持ってきた。
「こちらが今回の報酬になります」
布袋の中に金貨が詰まっていた。
「金貨10枚でございます」
「き、金貨……10……」
エリーナが口をパクパクさせて驚いている。
先程のコアの説明からしてネット市が王国へ軍の派遣を依頼したり討伐隊への報酬を支払ったりと考えると、逆に少ないくらいだと思うが、1つのパーティーに支払うレベルではこれが妥当なのかもしれない。
「それと、アルディ様をAランク冒険者、エリーナ様はBランク冒険者まで昇格しようと思います。しかしAランク以上は権力が伴いますので……」
少し野間の後また語り始める。
「上に確認しなければなりません。その為一度Bランクとさせて頂きたいと思いますがよろしいですかな?」
「とりあえずは妥当な判断ですね。いきなりSランクにはならないと思ってましたし」
コアは経験からかある程度予測がついていたようだ。
「構いませんよ。それとこっちの彼女を僕達のパーティーに加入させたいと思うのですが……」
「アル〜」
「まぁ色々理由があるんだ。今は納得してくれないか?」
「ん〜」
とりあえず納得はしてくれたようだ。
「ふふふ、アル様とパーティーですね」
「仲間になるんだから様はやめてくれないか?」
「ではアルさんと呼ばせて頂きますね?」
なんだかんだ嬉しそうなので良しとする。
「それにしても狐人とは珍しいですね?」
「そうなんですか?」
俺は生まれてから人間しかいないシーネ村で育ったからそう言った事情は知らない。
「いえ、以前はよく見かけたものですよ。この領地には亜人が多いのはもうご存知かと思います。故に亜人が自然と集まる街なのです。数年前まではちらほら見かけたものですがここ最近ではめっきり……今日彼女を見るまで気になりませんでしたがね、ふと気になりまして」
「そうですね〜。私も不思議に思ってます。最近ではお仲間さんを見かけなくなって、不思議に思ってたんです」
「偶々だったらいいんですがね? 何もないといいですが……」
「大丈夫です! きっと何処かで元気にしてますよ!」
因みに彼女をパーティーに入れたのは変わった称号があったから。もしかしたら魔神の情報でも得られるかも知れないと思ったから。と言うこともある。
当然そんな事は言えないのでエリーにはまだ言うつもりはない。
巻き込みたくはないからね。神との闘いなんて。
勿論アイテムボックスが便利だからと言う理由もある。
「では、私どもはこれで……」
「すみません、冒険者バッジも受け取って頂けますかな?」
そう言って星型のバッジを1人ずつ大きいのを1つと小さいのを1つ貰った。既に1つは付けてあるので、付け足しで使えば丁度Bランクだ。
「コボルト・エンペラーを筆頭に討伐感謝致します。では、お気をつけて」
そして俺達はギルドを後にする。
「よし、じゃあ街の隅々まで散策しよう!」
「やったぁ!!」
「お買い物なんて久し振りです!」
「うぉん!」
先ずは装備を整えて、ダンジョンでもある程度生活出来るように食料やらも必要だな。
ダンジョンがどれ位の規模からなるのか不明な訳で、備えあれば憂いなしだ。




