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SS奈々の気持ち


 私にはとても頼れない幼馴染がいる。

 でも知っている。誰よりも努力をする事を。


 私にはとても弱い幼馴染がいる。

 知っている。何をしても上手くいかない、それでも挫けたことがない事を。


 私には冴えない幼馴染がいる。

 知っている。誰よりも私の事を知っている事を。


 ほんの些細な変化でも彼は気付いてくれる。お母さんと喧嘩しちゃった時も、学校で上手く言ってなかった時も。


「どうしたの?大丈夫?」


 何も言わない私の隣で何時間も座っていてくれた。


 彼と喧嘩した時はいつも彼から謝るの。

 たとえ私が悪くても。どれだけ私が怒っていても、えへへって笑う彼を見るとなんだかどうでもよくなる。


 きっと他の誰かから見た彼は魅力的に映ることは無いと思う。


 それでも私は彼が好き。

 早乙女護が好き。


 ある日護が空手を始めた。どうしてそんなものを始めるの?痛そうだし、遊ぶ時間が減っちゃうじゃない!


 幼い私はそう思った。

 試合を見ても痛そうなだけ。すぐに鼻血なんか出しちゃって。


 私が守ってあげなくちゃ。

 一緒に練習だってできる。一緒に!


 初めは護も嫌がった。


「どうして空手始めちゃうんだよ」


「だって・・・」


 一緒に遊べなくなった分一緒にいる場所が欲しかったなんて言えないし、あの頃の私にはそんな事説明出来るほど語彙力はない。


 直ぐに型や技を覚えていく私に護が言ってくれた。


「凄い!」


 自分が練習してもできなかった事だから純粋に驚いてくれたみたい。


 私は調子に乗っていろんな事を練習した。


 だって護が褒めてくれるから。


 そしたら護ったら、週2回から4回に練習を増やしちゃうんだもの。


 あの時は分からなかった。

 どうして練習日を増やすの? 私と遊ぶ時間は?

 そう思った。


 今思えば悔しかったんだって分かる。

 初めは子供心に私ができた事を喜んでくれたと思う。でも小さくても男の子だもんね。


 自然と私も週に4日に増えていた。


 護もムキになって練習してた。

 私はその頃競争か何かだと思って私も必死になった。


 それでも護が私を遠ざける事がなかった事。諦める事なく、開き直る事もなく、自分を磨こうとした事。


 私はそんな護が好きなんだ。


 中学に入っても空手部。

 どんな時もいつも一緒だった。


 隣にいるのが当たり前だった。私は護と結婚するんだって漠然とそう信じてた。


「どうして彼氏を作らないの?彼氏の1人でも作ったら?」


 ある日、彼はそんな事を言った。

 どうして?私と一緒に居たくなくなったの?遠回しに来るなと言っているの?

 私はこんなに、こんなに護が好きなのに。護は同じ気持ちではなかったの?

 勝手にきっと同じ気持ちなんだって信じてた。


 私は無性に悲しくなった。

 今にも泣き出しそうになるのを堪えて。


「本当にいいんだ?」


 そんな訳ない。嫌だ。


「知らない」


 そう言って部屋を飛び出してしまった事もあった。


 もう私達も中学3年生、もうすぐ高校生になっちゃうし、護の魅力に誰かが気付いちゃうかも知れない。


 そんなの絶対にダメだわ!


 護の15歳の誕生日。

 告白する事にするわ!




 私は護が好き。



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