16冒険者の初仕事2
忽然と私の背後に揺れと共に土の壁が現れる。
アルはこれが合図だと言って言ってたな。
「はぁああ!」
私は剣を引っさげてコボルトの前に飛び出した。
当然コボルト達も突然現れた土の壁に驚いていたから、最初の数匹は一瞬で片がついた。
その後からはヒットアンドアウェイって感じ。攻撃は避けて、いなして、弱点をサクッと突く。
囲まれそうな時は魔法を使って切り抜ける。
はじめの印象よりは強くないかな?
アルはほっといても大丈夫だから、私は東よりに殲滅していけばいいんだよね?多分。
殲滅力はこの中だと私が一番無いと思うからそんなに頑張らなくてもいいと思う。
アルは無茶苦茶だし、クロも分身が使えるんだもん。
見た感じは数百匹だって思ったけど・・・
間違いなく500以上は居るよねこれ。
降ってくる棍棒を避けて足を切って首や心臓を一突き。
ここまできたら作業だよね。
何十匹倒したかな? ってくらいで3メートルのコボルトが現れた。
「でたな?エリーナ様が退治してやる!」
ーー
結果から言うと強い。
正直言って互角かコボルトの方が強い。振り下ろされた剣も重くて受け止められないし、いなす事も難しい。大きすぎて回り込むのも難しい。
正直手詰まり。
「こう言う時は・・・逃げるが勝ち!」
アルも言ってたもん!
無理はしちゃダメなんだ!
走る走る。
「ガロォオオ」
ズダン!ズダン!と脚を踏みしめる度に凶悪な音が鳴り響く。
「ちょっとぉー!」
諦めの悪いコボルトだなー!
小さい方のコボルトは基本無視。目の前の邪魔なコボルトだけ斬っていく。
あ!クロ!目の前にクロの姿が映る。
「クロー!助けてぇえええ!」
クロは3体に分身して小さいコボルトを倒していたみたいだけど粗方狩り切ったみたい。
「グルォ?」
驚いてる見たい。
私の背後の大きなコボルトを見たクロは分身を解いた。
クロの前まで辿り着いた私はクロと並んで大きなコボルトと対峙する。
「驚いた?クロと私が揃ったら無敵なんだから!」
「グルォウ!」
どうやって倒すか。
今、私の頭はそれだけ。
「クロ!気を付けて!アイツの剣には気を付けて!受けたら終わりだよ!そう思って行動して!」
「グルォウ!」
基本挟み込む形をとる様に陣取りコボルトの背後に位置する方が攻撃を仕掛ける。
今はこれしか思い付かない。
「クロ!挟み込むよ!」
後ろに回り込むクロに注意を引かれるコボルトに向かって突進!
飛び上がって頸辺りを目掛けて跳ぶ。
「はぁ!」
「ガルオ!」
振り向きながら剣を横へ一閃。
急いでガードを固めたけど大きく飛ばされてしまった。
〝ズドン〟
と言う音ともに大きな木にめり込む。
「ゴフッ」
肺の空気が押し出される。
「グルアアアアッ」
「だめ、クロ」
クロが怒りに任せて突進していく。
振り下ろされる剣。
私は目を瞑る。
〝ズシーーン〟
目を開けるとクロが首に噛み付いている。
「クロ!」
私は走り出す。
コボルトはクロの首を剣を持って居ない右手で掴んで引き離そうとしている。
あの大きなコボルトに攻撃を通す事が出来るのは今はクロしかいない!
私はコボルトの右側に回り込む。
さっきと同じ様に跳ぶ。
コボルトは右手で払う様に裏拳を払う。
掛かった!
「ベビーロック!ベビーロック!ベビーロックーーーーー!」
ヘビーロック土属性の魔法で、本来なら相手を岩で包み込んで行動不能にする魔法。
今は右手を重みで封じる事に使う。
〝ドシーンッ〟
「やった!」
コボルトは右手でを地面に落とし、右膝を着いた。
チャンスだ!
私は右のアキレス腱を何度も斬る。
5回目くらいで確かな感触を得て左側へ回り込んだ。
「ヘビーロック!」
剣の先端にヘビーロックをかける。
これでもう剣は振れない!
「ガル・・・ォッ」
「クロ!頑張って!これで決める!」
短い詠唱で風の魔法。ウィンドストームを掛けて自分の体を高く飛ばす。
「ヘビーロック!ヘビーロックゥ!」
剣の根元と柄に岩を固める。
「クロ!離れて!」
クロが飛び退く様に避難する。
「いっけぇええええ!」
〝ドッゴオオオオン〟
剣が完全にコボルトの頭部を貫通して地面にめり込む。
大丈夫、完全に首とか背骨もおかしな角度に曲がっていたから。倒したはず・・・
って・・・
「きゃあああ!」
風の魔法で着地しようと思ったのに魔力がーーー切れた!
「グルォウ!!」
クロがキャッチしてくれたみたい。
危なかった。もう無茶は控えよう・・・
ーーーーーーーーーーーー
「シャドウウィップ!」
器用に剣で弾いている。
ゴブリン・エンペラーめ。なかなかやりおるわ。
「シャドウボール」
闇の球をシャドウボールと名付けた。
この球をコボルトの半径180度に展開。
発射。
〝ズン〟
おお、見事なジャンプ力でシャドウボールを回避した。
ここで闇縛りでなかったらストーンボーンで串刺しにできたのに。あ、地面から大地の棘を、出す魔法だ。
着地地点にシャドウウィップの群れで待ち受ける。
が、着地と共に重力の力も使って大半のシャドウウィップが切断される。
ここでデーモンキングの使ってた空間ごと消せる魔法があったら・・・
あれは上級以上の魔法なのか俺には使えないみたいだ。
意外と機敏に動き回る様だな。
「シャドウロック!」
スキルを取ると不思議と魔法の使い方が分かるみたいだ。
これはエリーにも言えるみたいで、勝手に初級と中級をマスターさせたら新しい魔法がいくつか“分かる”と言っていた。
まぁ兎に角これで奴の動きは封じた事だし・・・
「シャドウボール」
胸にキレイな風穴を開ける。
「なかなか強かった」
これで何ランク位なんだろうか? 少なくともここまで粘れるんだからBくらいかな?
「とりあえず辺りにコボルト達の姿は見えなくなったな」
「あ!貴方様は・・・」
「ん?」
なにやら美少女が話しかけてくる・・・
ブラウンのロングヘアーに赤みがかったブラウンの瞳、頭の上にちょこんとと乗った可愛い耳。それにその綺麗な尻尾・・・
あ、狐の女の子・・・
「やっと、やっと会えましたです!」
何でこんなところにいるんだ?
もしかして、裸見たから怒ってる? それで俺に責任取れって斬りに来た!みたいな事とかある?
「ご、ごごごめんなさい!あの時は本当にどうかしてたって言うか何て言うかその・・・」
「どうかしてたですか?」
「そ、そうなんだよ」
「じゃあ私の事キレイと言ったのは嘘だったですか・・・」
やばい。なんかやばい。絶対怒ってる。
「それは本当だよ!本来なら直ぐに紳士的な態度で目を背けたり、しっかり謝るべきだったけど、それがあの時は動転してできなかった事がどうかしてたって意味で・・・」
「そうだったんですか?」
「うん!君がキレイだったから見惚れてしまって、それで恥ずかしくなってしまったんだ」
こう言う時は褒める。褒めて褒めて褒めて褒めちぎって有耶無耶にする。
女の子を誤魔化す時はこうするのが良いと雑誌で読んだことがある。
「その髪もキレイで君の可愛さを引き立てていて、その尻尾も立派で触ったらもふもふしてそうで」
「触りますか?」
「い、いいのかい?」
「はい・・・」
そう言って恥ずかしそうに近付いてきて尻尾を出してきた。
「こ、こうかな?」
「はっうぅ」
ちょ、変な声出さないでぇ。
「尻尾は敏感で・・・」
そ、そうなの? やっぱ動物的な感覚は残るのかな?
「ご、ごめんね?」
「大丈夫ですよぉもっと触ってください」
おかしい。何かおかしいぞ。
「・・・アル?何してるの?」
「グルルル」
あれ?エリー?クロ?
「や、やぁ無事だったかい?」
「こっちは死にそうになってまでコボルト達の退治してたってのに・・・アルったら・・・」
「グルルルルル」
クロまで真剣になっちゃって・・・ねぇ?
「違う、これはな?エリー聞いてくれ」
「知らない女とイチャイチャして!なによ!こっちは本当にヤバかったんだから!ねぇ?クロ!?」
「グルォウ!!」
そんなにあの3メートル級は強かったのか?
「ご、ごめんってな?本当にごめん」
「この女の子は誰、です?」
「へっ?」
お前もかブルータス。
「貴方こそ誰?」
「私はコアと申します」
「そう、私はエリーナよ」
「貴方はこの方のなんですか?」
「幼馴染よ。貴方は?」
なんか嫌ーな雰囲気だぞ?2人の後ろに龍と虎が見える。いや、九尾と鬼だ!
「私は、その、お、嫁、さん?」
「「はぁ!?」」
エリーと俺がハモる。
「どうして?いつのまに?」
「どう言うことよ。生まれてからずっと居た私に何を隠しているの!?」
「知らないよ俺に言われても!」
「さっき尻尾を撫でられました」
「そ、それが何か?」
「これは男性が女性にする場合。求婚の行動なのですよぉ」
何をくねくねしながら言っている。
「知りませんでした。ごめんなさい」
「もう、知らなかったでは通用しない仲じゃないですかぁ」
「どう言うこと?何をしたの?」
「何もしてません」
「したじゃないですか!何度も何度も!裸だってあんなに、舐める様に見たじゃないですかぁ!」
「ちょっと?」
「いやぁあああああ!」
俺は逃げたそれはもう全速力で。
クロでも追いつけない程に。
まてよウサギのお姉さんの尻尾も・・・いや、もう忘れよう。無かったことにするのだ。
逃げ続けた先であるものを見つけた。
洞穴? 兎に角地中へと続く穴を見つけた。
「あれ?これ何?」
そこで見つけたものの正体はーーー
なんとかもう1人のヒロイン候補に会わせることができました!
複数の視点で書いてみたり色々工夫してみましたが如何でしょうか?
楽しみなが読んでいただけたら幸いです。
今後は第2章へ行く予定ですが、その前に何話かショートストーリーを書いて行きたいので是非読んでみてください!
そこでしか語られない裏話もあるかも知れません・・・




