14ネット市3
虎君の紹介ですんなり冒険者登録を終えた。
書類にサインしただけで終わった。勿論、エリーも一緒だ。
冒険者になる時にもステータス測定してランクが決まるのかと思ったら、俺達はサインだけしてHランクからの冒険者になった。
虎君に聞いたらそう言うルールなのだそうだ。でも実力があるから直ぐに上がるだろうと教えてくれた。
冒険者になると冒険者バッチが貰えて、ランクが上がるごとに一個ずつ増える。
Dランク数字で言うと5番目になると大きな冒険者バッチが一個になり、以降また1つずつ小さいのが増えるそうだ。
SSになると大きいバッチが2つなのだそうだ。
因みに冒険者バッチは星型だ。
「アル〜やったね!夢の冒険者になったよ!」
「そうだな、でもこれはあくまで今は手段であって目的でないからね?」
「ん?」
「ダンジョンを探すために冒険者になったんだからね?」
「あ、そうだね!」
忘れてなかったか?今この人、目的の事忘れてたよね?
「クロも、これからも宜しくね。クロだけ何にもできないみたいでごめんよ」
「うぉん!」
従魔だから冒険者に成れない。だから扱いもどれだけ強くても従魔は従魔なのだ。
そもそもテイムは自分よりも劣る魔物と言う事だし、このスキルの保持者自体が少なそうなので、そこまで強い従魔はいないのかもしれない。
「先ずは情報を集めながら、装備品を買うお金を貯めよう」
お金はあって損は無い。
取り敢えずボロボロになった服は虎君が新しいのを買ってくれた為、今は普通の服を着て居る。
目ぼしい依頼がないか依頼板を眺める・・・
「アル!これなんか怪しそうだよ?」
「ん?北の林でコボルトの群れが現れた。討伐依頼か」
依頼書を読み進めて行くと、最近魔物がこの辺りに増えてきて、調査をしていたら北の方に出没することが多いと判明し、北の調査を始めるとコボルトの大規模な群れを見つけた。と言う事らしい。
大規模な群れと言っても一体辺りがGランクの群れなのでFランクで依頼書が出ている。報酬は銀貨3枚だった。
依頼は自分のランクの2つ上までしか受けられないそうなので丁度受けられる最高ランクだ。
「そうだな、調査の延長みたいな依頼だし・・・何かわかるかもしれない」
「これだけでも北が怪しいって事は分かるもんね」
「うぉん!」
俺は依頼書を持って依頼板の横に立ってる人に提出する。
「こちらをお受けになって頂けるのですね?」
そこに立ってたのはウサギの亜人だ。
白くて長い耳にスカートタイプのスーツと尻尾がちょこんと可愛くくっついてる。
「きゃっ」
しまったつい尻尾を・・・
もふもふしたものを触ってしまうのは人として本能だろう。
他意はない。無いのだ。
「アル?」
怖い、怖いよ。エリー。
この街の人達は見る人見る人、殆どが亜人だった。多分2:8か1:9で人間と亜人だろう。
「こっこちらの依頼はFランクになってますがよろしいですかっ?」
〝キッ〟と効果音が出そうな位に、少し怒った感じが伝わってくる。
「す、すみません。はい、大丈夫です」
「この依頼書はまだ出たばかりで暫定的なものですので、あなた方が出発なされた後に更新されてランクが上がる事もあります。その場合依頼受諾のランク制限無しで、そのまま継続で受けていただく形になりますがよろしいですね?」
そんなにいけない事なのだろうか?
尻尾モフる事ってそんなにいけない事なんですか?
「大丈夫です!ね!くろ?」
「うぉん!」
あれ? エリーもまだ怒ってる?
クロなんかなんかにやにやしてる?
気のせいだよね。楽しんでなんか無いよね?
「では、後の処理はこちらで行います。お名前とパーティー名をお願いします」
「パーティー名?」
「皆様はパーティーでは無いのですか? 個人で受けることもできますが、受けられた方以外、ランク昇進の査定に入りませんよ?」
と言う事らしいので、パーティー登録をさせて貰う事にする。
一枚の紙を渡される。
「パーティー登録って、ここにサインすれば良いの?」
リーダーの欄に俺の名を2つ目の欄にエリーの名を。
従魔の欄はなかった。
「パーティー名ってどうする?」
「アルと〜クロと〜私でんー」
嫌な予感がする。
「アクロリーナとか!」
その名前を連ねただけってのはどうなんだ?
まだ分からないけどもしこれが家名になる。とか言われたらどーするんだ。
格好悪いのは嫌だなぁ。
明らかにこの世界っぽく無い名前を付けて目立つと良く無いな。
魔神やSSランクに俺達の存在が邪魔な奴らだと思われると良くない。
もっと強くなっていつでも来い。って状態になってからで無いと。
「どんなものがあるんですか?」
ウサギのお姉さんに聞いてみる。
「そうですね、色々ありますけど。冒険者様の目的地を指すものが多かったり。他のパーティーに舐められない様にと言った意味で大袈裟なものだったりです」
「なるほど」
「通常は直ぐにパーティーは解散される事が多いので皆様結構、依頼などの目的にしてみたり、適当ですよ?」
それなら良かった。家名になるとかだったら真剣に考えなきゃいけないところだった。
俺達は直ぐに解散したりするつもりはないし、依頼は無いな。
ふむ、目的であり舐められない様な大袈裟な名前ね。エリーはこんな目的は無いけど・・・
あーでもないこーでもないとぐるぐるぐるぐる頭の中を回る。
ーー
「あーもう面倒くさい、決めた。ゴッドスレイヤー」
「・・・それは大袈裟好きじゃ無いですか?」
「アル、本気?」
「だめ? 目立ちそうですか?」
「いえ、大袈裟な名前は少なくありませんが、神となると・・・笑われてしまいそうな」
「笑われるのは嫌だよアル〜」
「実力が伴ってこれば良いですよね?」
「まぁ・・・そうですが・・・」
ウサギのお姉さんは本気で【ゴッドスレイヤー】にしようとしている俺に引き気味
になりつつある、
ファンタジーの世界は神を信仰していたりするから、怒られるかと思ったよ。
「神を信仰している国だったりすると良くない。みたいなのありますか?」
「いえ、神は基本『神』とは呼ばれていませんので大丈夫です。神々にも個々に名前があるので」
神々に名前か。人神にもあるのかな?
「ちなみに基本的に亜人は神を信じているものは少ないですので、間違いなくこの街では問題ないです」
「よし、じゃあゴッドスレイヤーで行こう」
「・・・畏まりました」
「本当にするの!?」
「くぅ〜ん」
そんなに嫌か?
アクロリーナもかっこいい気もしなくはないけど、名前合体してるだけとか格好悪いじゃん。
・・・あ、俺もエリーも親の名前合体させてるよ。
この世界では基本がそれなのか?
いや、これで良い。もし他に仲間なんか増えたらパーティー名に入れてあげなくなる訳で・・・
増えれば増えるほど長くなっていくのは困る。
登録用紙にゴッドスレイヤーと書き込んだ。
「これで、大丈夫です」
ウサギのお姉さんが後はやっておくからコボルトのクエストを行ってきても良いと言ってくれる。
「ありがとうございました。よろしくお願いします」
「よろしくお願いします!」
「わん!」
まぁ、なんと言っても初めての冒険だ。期待に胸膨らまない訳が無い!!
色々あったが悪い事ってのは人は忘れていくものだ。
どれだけ辛くても、時間が大体の事は解決してくれる。
「冒険よ!アル!クロ!う〜っ!ずっと・・・夢だった事が、叶った〜!」
「ウワォウオウオウオウオーッ」
テンションの高い2人を連れてネットの街を出る。
「アルディ様!」
「やぁ!虎君」
なぜかワニがボコボコに・・・
何があったんだ? まぁワニの事なんかどうでも良いか。
虎君と喧嘩でもしたんだろう。
「冒険者になられる事ができたのですね!ここへ帰ってくる時に魔核か魔物の部位などを持ってきて頂ければ、入市税をそれで払えます!」
基本どの国も同じなので覚えておくと良いそうだ。
初めからそれを教えてほしかったよ。
「ありがとう」
「ありがと、虎さん!」
「うぉん!」
手を振った後にエリーは俺の方を見て言った。
「最初から教えてくれたらあんなに苦労することもなかったし、虎さん達も怖い目に遭わずに済んだのに・・・ね?」
「くぅ〜」
クロまでやれやれと言ったような反応をしている。
そして俺達は北の林、コボルトの群れを狩りに向かった。
ーーーーーーーーー
「大変だ大変だ大変だー!」
1人の事務員である男が叫びながら裏の事務室から飛び出て来て、びっくりしましたぁ。
「どうしたんですか?」
スーツを着たウサギの亜人さんが驚いたように質問してました。
私はあの人を探してこの街までやってきたのです。
「おっ可愛いねぇ君。僕のパーティーに入らないかい?」
「・・・」
「聞いてんのか? おい!」
犬の亜人は私の体に触れようとしたところ一瞬で逆さまになって首から落ちます。
「うるせぇです」
そんな事よりギルドが騒がしいのが気になります。
「あれ?コボルトの群れの依頼書はどうした!」
事務員の男の人が言います。
「もうHランクの冒険者さん達のパーティーが持って行きましたよ?」
ウサギのお姉さんが言います。
「な、な、え、ええええいちぃい?」
「だから!どうしたんですか?」
ウサギさんも怒ってます。私も早く気になるのでまどろっこしいです。
「コボルトの群れなんだが・・・コボルト・エンペラーとコボルト・キングの群れだったんだよ!」
「えぇえええ?」
「調査隊の見間違いだったようで、ちらっとコボルトっぽいのが見えたからコボルトの群れだと思ったって」
「どうするんですか!?Hランクの冒険者さんが・・・」
「いつ出たんだ!」
「つい先程ですが・・・」
「誰か止めに向かわせろ!」
「はい!」
エンペラー。魔物には突然変異が有ります。理由は分かりません。
突然変異による強さの違いで、エンペラー・キング・将軍という名前が付くと聞きますです。
コボルトはGランクの魔物ですけど、エンペラーともなるとAランクですね。
これはこの街の冒険者全員で討伐に掛かるようなレベルです。
そんな所にHランクの冒険者さんが・・・
ごめんなさい。私はあなたの事を探しています。
でも簡単に人を見捨てる事は出来ないのです!!
Hランクの冒険者さんを助けたら必ず探しますから。
待っていて下さいです〜!!




