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藤正治専用執筆術  作者: 藤正治@
7/7

冒険者ギルド

時代小説という分野がある。

自分なりの解釈だと、過去の歴史を舞台設定とした娯楽小説である。

登場人物は、実在・架空を問わない。

現代とは異なる価値観や風俗を背景に、登場人物が活躍する。

そんな認識である。

時代小説を手掛けたことはないが、きっと時代考証で苦労するはずだ。

でも楽ではないが、資料や文献などで調べることはできるだろう。


ファンタジーには、架空の世界を舞台にする物語が数多くある。

その世界観は千差万別、作品群ごとに存在するといっても過言ではない。

世界観を設定するのがファンタジーを執筆する醍醐味であるが、同時に困難な作業でもある。

一人の人間の想像力と創造力には限界がある。

だから、他の作品の設定を取り入れ、自分の作品で活かす。

その設定の認知度や魅力、汎用性次第で、大勢の作者にインスパイアされる。


例えば、エルフとか。


美しく長命な種族という設定は、ファンタジー界隈では常識の類である。

そこをあえて崩して工夫する作者もいるが、大方の読者の認識は覆らないと思う。


こうした《常識》を、自分の作品に取り入れるメリットは大きい。

エルフならば、その存在に説得力を持たせるための文章が節約できる。

ゴブリンとはオークとか、改めて敵役のアイディアを捻り出さないで済む。

ファンタジーに馴染んだ読者の方にもメリットがある。

あらかじめイメージがあるので、理解しやすく読みやすい。

多少の陳腐化はあるだろうが、些細な問題だと思う。

時代小説の悪代官、悪徳商人、無頼の浪人などと一緒である。

繰り返し登場しようが、苦情を言う人はいない。


前置きが長い。

要するに、自作品をどうするかという話なのである。

1.「〇から転生」 ファンタジー:コミカル80%

2.「仔育て日記」 ファンタジー:コミカル30% ほのぼの60%

3.「パーティー参観」 ファンタジー:コミカル60% シリアス30%


問題となるのは三番目の、「パーティー参観」である。

他の二作品とも冒険者が登場するので、この作品ぐらいは新しい設定を挑もうか。

まず冒険者ギルドに代わる組織を、ちょっと考えてみようと思った。

無謀な試みであることは、すぐに判明した。


亜大陸反攻作戦狩猟群【レコンキスタ】

考えた結果が、この意味不明な団体である。


…………冒険者ギルドという設定は、偉大な発明だと思う。

主人公に生活の基盤を与え、依頼を通して様々な事件や活躍の機会をもたらしてくれる。

主人公だけでなく、作者にとっても役に立つ組織だ。

冒険者ギルドがあれば、こまごまとした設定に頭を悩ませることなく、ストーリーの展開に専念できる。

自分で新たな組織を立ち上げるには、設立の目的から存在意義、舞台背景まで考えなくてはならない。


なんだこの、亜大陸反攻作戦狩猟群【レコンキスタ】というのは。

異界化した亜大陸から溢れる魔獣を迎え撃ち、逆進攻して奪還を目的とする、国家連合支援の団体?

精霊帝国の陰謀? 「パーティー参観」はコメディタッチのお話なんだけど?

やることは同じなんだ。いいじゃないか、冒険者ギルドで。


そんなことで悩みながら、新作の準備を続けている。

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