プロローグ6:レビィとリリィ
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「あなたは確か真白さんでしたよね?」
俺が自分の部屋の前でこの黒ノ栖家で、頑張ってやっていこうと気持ちを引き締め直しているところに後ろから声を掛けられ振り返ってみると、2人の銀髪の少年と少女が立っていた。
女の子の方はサラサラのストレートに肩ぐらいまで垂らした銀髪に白く透き通った肌をしたまるでフランス人形のような愛らしさをまとった少女だった。
少年の方は髪は少女と同じで銀髪のサラサラしたストレートで前髪はきっちり切り揃えられ物語の王子様のような気品を感じる少年で二人とも将来美男美女になるのが決定しているような容姿だった。
「そうだけど君たちは確か父さんの子供の.....」
「僕はレビィ黒ノ栖といいます。こっちがリリィ黒ノ栖。僕の妹です。こんな言い方をするのは変ですが本当の兄弟です。血の繋がったね。」
「わ、わたしはリリィ黒ノ栖です.....」
レビィの方は風が靡くように華麗にお辞儀を、リリィの方はレビィの後ろに隠れてコクンと頭を下げてお辞儀をして挨拶してくれた。
「まさかあの有名な真白さんが僕達の部屋の隣なんて、これからどうぞよろしくお願いします。というか真白さんなんてよそよそしいですね。もう僕らは家族なんですから。確か真白さんは今年で13歳になるんでしたよね?じゃあ僕より1つ上でリリィの2つ上ですから真白さんは僕らのお兄さんになりますね。なので僕達の事もレビィ、リリィと呼んでくれてかまいません。いいよね?リリィ?」
「は、はいよろしくです。真白お兄ちゃん」
「う、うんよろしくレビィ、リリィ」
いきなりの展開に困惑した俺だったけどよく考えてみると確かに皆父さんの子供なわけで、皆兄弟になったわけだ。だから俺には1度に凄い数の兄弟ができた事になる。そんな事に今更ながらに気づいた。そんなマヌケ面を晒していたであろう俺をリリィが心配してくれた。
「真白お兄ちゃんどうしたんですか?」
そう言って恐る恐るといった感じでリリィがその宝石のような赤い瞳で俺の顔を覗きこんできた。俺はそんな人形の様に整った顔のリリィに近づかれて思わず動揺してしまい瞳の色を変化させてしまう。
「わぁ!真白お兄ちゃんの瞳凄いですねぇ!色々な色に変わりました!手品ですかぁ?」
「本当に凄いですね。どんなトリックですか?」
そういってリリィは小さな手をパチパチさせながら誉めてくれて、レビィは素直に驚いていた。
「違うんだ。俺ちょっと変な体質でね。気持ちが昂ったり落ち込んだりすると目の色が変わっちゃうんだ。気持ち悪かったよね?」
俺はさっそくやってしまったと苦笑いしながら頭をかいた。だけど2人の反応は俺が思っていたものじゃなかった。
「全然そんな事ないですよ。確かに驚きはしましたが」
「そうですよ!お空に出る虹みたいでとても綺麗でした!」
俺はリリィにそう言われて少し驚いた後、つい笑ってしまった。それを見たリリィが涙目になって怒ってきた。
「どうして笑うんですか!?本当に凄いと思ったんですから!」
「あははごめんねリリィ。いや、昔君と同じ事を言った奴がいてさ.....それで嬉しかったんだ。ありがとね」
そういって俺はリリィの頭を優しく撫でてあげた。
「ふにゅ~」
すると撫でられたリリィは一瞬でリンゴのように真っ赤になってその場に座りこんでしまった。
「うわ!?大丈夫!?リリィ!?」
「あははは。大丈夫ですよ真白兄さん。リリィはちょっと恥ずかしがりやで僕以外の兄弟、というか男の人とあまりうまく喋れないんで僕も困っていたんですが、真白兄さんにはそんな事ないみたいですね」
「もうレビィ余計な事言わなくていいよ~!」
そう言うとリリィはこれ以上赤くなると爆発してしまうんじゃないかというくらい顔を赤くさせて、口に手を当てて笑っているレビィをポカポカ叩き出した。俺はその光景をこの2人は仲が悪いのかな?と思ったけど2人を見ていると仔犬同士かじゃれあってるみたいで心がホッコリした。俺はそんな光景を微笑ましく見ながらも、こんなに小さくて可愛い子が男に混じって武道の鍛練をやっていけるのか疑問に思った。
「でもさリリィも皆と一緒に父さんの跡取りを目指してるの?だって武術の鍛練とかもあるんだよね?」
それを聞いたリリィはさっきまで顔を真っ赤にして怒っていたのが急に風船が萎んだ様に元気がなくなった。
「それが勉学の方はなんとかついていけてるんですけど武術の方が全然上達しなくて..... レビィに一緒に鍛練したりしてるんですが.....レビィは教え方がヘタで.....だから位もまだ鹿の位のままで.....私はそこまでパパの後継者になりたいとは思ってないですけど頑張らないとここにいれないですから.....」
リリィは自分で言っているうちに段々と元気がなくなりシュンと下を向いて俯いてしまった。そしてそれを聞いたレビィはリリィに言い返していた。
「失礼だな!僕の教え方は完璧だよ!ただリリィが僕の完璧な指導についていけてないだけだよ!」
そう言うと2人はまた喧嘩始めてしまった。
(本当に仲が悪いな。まあ喧嘩するほど仲がいいってやつかな?それだけお互い心を開いてるってことだと思うし。他の兄弟の皆はあまり仲良さそうには見えなかったけど)
そんな事を思いつつ1つ気になった事があったので2人に聞いてみた。
「ごめん取り込み中の所悪いけどちょっと聞いていいかな?位って何?」
それを聞いた2人の動きがピタッと止まって俺の方を見て目を大きく広げて驚いてた。
「え?真白兄さん聞いてないんですか?」
「うん.....」
俺が申し訳なさそうに言うとレビィは、
「結構重要な事なんだけどな。またあの烏間さん最低限の事しか説明してないな」
そう苦笑しつつ説明してくれた。
「この黒ノ栖学園には階位制度があって1番下から鹿の位、鷹の位、獅子の位というのがあって、半年に1度昇位試験というのがあり、その試験で認められると1つ位が上がり逆に結果が良くないと下位してしまうんです。そして18歳を迎えるまでに最低でも鷹の位にまで昇位していないと黒ノ栖家にいる資格無しと判断され、家を追い出されてしまうんです。そしてその位に応じてお小遣いがもらえます。まあ.....お小遣いって金額ではないんですが.....中にはそのお金を元手に自分で会社を立ち上げたりする人もいるみたいですね。そしてこれは1週間前に父さんが皆を集めて開いた食事会の席で明言されたんですが、父さんの後継者は今から3年後、その時に獅子の位にいたものの中から選ばれるそうです。あ、因みに僕は今は鷹の位です」
そう言いながらレビィは誇らしげに胸を張りながら説明してくれた。
「へ~そうなんだ。なるほどね。じゃあ俺も頑張って鷹の位にまでならないとな。せっかく父さんに選ばれてここまで来てすぐに追い出されたらカッコつかないしな。それともう1つ聞きたいんだけど、俺の事有名だって最初に言ってたけどどうして?俺別に有名になるような事したつもり無いんだけど?」
そこでレビィは真剣な表情になり話始めた。
「それはですね真白兄さん。あなたで最後だからですよ」
「最後?」
「そうです。最後です。真白兄さんは黒ノ栖家の最後に選ばれた子供なんです。この話も食事会の時に言っていたんです。次に連れてくるのが俺の最後の子供だと。そしてその今まで集めた子供達の中から後継者を決めると。あの時は皆興奮していましたね。今まで詳細が分からなかった父さんの後継者への道が明確になりましたから。そして皆の興奮が落ち着いてきた頃に話題はその最後の子供、真白兄さんの話になったんです。最後の子供というからには父さんはよく吟味して決めた筈だとね。それで有名になったんですよ真白兄さんは。」
(なるほどな。それで皆あんなに目がギラついていたのか。だけど別に俺は全然対した事ないんだけどな。あんなに敵対心を剥き出しにした皆と仲よくやっていけるかな?)
俺はこれから先の兄弟達との関係に不安を覚えながらも有名になった理由に納得していると、ふと新たな疑問が涌き出てきた。今俺の目の前の2人、レビィとリリィからはそんな感じはしなかった。あの皆の猛獣の様な威圧感を感じなかったのだ。2人は珍しい銀髪だったのであの兄弟達の中でよく目立っていたから覚えている。
「そうなんだ。なるほどね。でもレビィとリリィはそんなに俺に親切にしてていいの?ライバルなわけでしょ?まあ俺自身本当に大した事なくて皆の買い被りなんだけどさ」
そう言いながら俺は、はははと乾いた笑みをしていると、レビィが優しい表情になりリリィの頭にポンと置いて理由を話してくれた。
「まあ僕達は2人で生きていける程のお金が、生きていく術さえ身につける事ができればいいんです。そりゃ父さんの跡を継げれば1番いいですけどね.....父さんには恩も感じてますし。父さんはアメリカのスラム街で途方にくれている僕達を助けてくれて、しかも自分の子供にまでしてくれた。だから父さんの跡を継いで父さんの力になれれば1番いいんですけど。リリィがねえ」
そう言ってレビィはリリィにジト目を向ける。
「む~分かってるよリリィがレビィの足引っ張ってるのは.....」
そういってリリィは声が段々小さくなり目に涙を溜めて唸っていた。
「冗談だって!冗談!俺達は2人で生きていくって決めたんだから2人で一緒じゃないと意味ないだろ?だからもしリリィがダメだったら僕もここを出ていくよ。だから泣くなよ?な?」
そういってレビィはくしゃくしゃっとリリィの頭を撫でる。
「レビィ頭撫でるの乱暴.....ヘタ.....真白お兄ちゃんと全然違う」
「へえ~そういうこと言うんだあ~なるほどね~」
レビィはリリィの言葉を聞いて頬をピクピクさせながらリリィの後ろに瞬時に周りこんだ。
「ちょっ!レビィ何するの!?」
レビィはリリィの両脇に手を入れてヒョイと持ち上げると、俺の方に向かって歩いてきた。そしてリリィは離して欲しいのか手足をジタバタさせながら暴れていたけど、俺の前に来るとレビィはリリィをスッと離してリリィは尻餅をついておしりを擦っていた。
「痛いよ!レビィ!一体何なの!?」
「え~だってリリィは僕みたいな乱暴でカッコ悪い妹の気持ちが分からない奴に頭撫でてもらうより優しくてカッコよくてリリィの気持ちのよく分かる真白お兄ちゃんに頭撫でて欲しいんでしょ?だから恥ずかしがり屋のリリィに変わって僕がお願いしてあげるんじゃないか?ということでお願い出来ますか?真白お兄ちゃん?」
「うぅそこまで言ってないよ.....」
そう言ってリリィは小声で呟きながらも頬をピンクに染めてその瞳を潤ませながら上目遣いで俺を見てきた。
(そんな顔されたらしないわけいかないじゃないか。ってかレビィめちゃめちゃ気にしてんな)
とか思いつつもリリィの頭を撫でてあげる。
「みゆ~」
するとリリィは猫のように目を細め、とても気持ち良さそうにしていた。
「真白お兄ちゃんに頭撫でてもらうと何だか胸の中がふわぁってなって、何だか温かい気持ちになります。どうしてなんですか?やっぱりレビィとは大違いですね~」
とリリィは綺麗な歯の間から小さな舌をペロッっと出してレビィにベーっとしてレビィはこいつ!とまた怒りだしまた喧嘩を始めてしまった。俺はどうしてって言われてもなあと頬をポリポリかいた。
「昔....ね俺がもっとちっちゃい頃にそうやっていつも頭を撫でてくれた奴がいたんだ.....そいつに撫でられると今のリリィみたいに心に灯りが灯るっていうか、ひだまりの中にいるような気分にさせてくれたんだよ。でもそいつバカでさ。いっつも人の心配ばっかして、夜1人になるとこっそり泣いてたんだ。自分だって辛い事があったくせにさ.....だからかな。俺はそいつに泣き止んで欲しくて、ずっとあのヒマワリが咲いたような満面の笑みを見せて欲しくて、そいつみたいに頭を撫でたんだ。じゃあそいつはまた笑顔を見せてくれて.....それからかな?俺もそいつにずっと笑顔でいてほしかったから、何かある度いつも撫でてたんだ。だからかな。どうゆう風に撫でてあげたら相手が喜ぶか、大体分かるようになったんだ。それである時に思ったんだ。俺は弱虫で泣き虫だったからこいつがずっと笑顔でいられるように心配かけないように、辛いとき支えられるように強くならなきゃいけないってさ。それで俺はここに来たんだ強くなるために、そいつを、そいつの笑顔を守れるように。まあまだまだダメダメだけどね。ここに来て右も左も分かんないし」
俺はそう言いながらはははと今の恥ずかしい感情をごまかすように笑った。
「そんなことありません!」
するとリリィは大声で俺の笑いをかき消した。俺は驚いてリリィを見た。
「真白お兄ちゃんがその人の為に一生懸命頑張ってくれて真白お兄ちゃんの気持ちに、心に、救われてると思います!そんな真白お兄ちゃんがダメダメな訳ありません!」
そしてリリィは小さな手で握り拳を作り、スッとして整った鼻から闘牛のようにフーっ!と鼻息を出して興奮していた。だが次第にその元気がなくなりさっきまで握り拳をしていた両手は開かれ、お互いの人差し指同士を何回もチョンチョンしながら恐る恐る聞いてきた。
「あのぉ所でその人は女の人ですよね?」
「うんそうだけどよくわかったね。日向って言うんだ」
「あ、はい何となく。ところでその日向さんはその.....真白お兄ちゃんの恋人さんですか?」
「恋人!?いや違う違う!うーんそうだなあ強いて言えば.....家族かな?まあ俺は黒ノ栖家の人間になったから変な話かもしれないけど」
「そうですか!家族ですか!じゃあじゃあ私と真白お兄ちゃんも兄弟になったから家族ですよね!?日向さんと同じですよね!?」
「う、うんそうだね」
何がどう同じかよくわからなかったがリリィの迫力がすごかったのでつい頷いてしまった。まあリリィが嬉しそうなのでいいだろうとあまり深く考えないことにした。
「所でレビィさっきから1人で何笑ってるの?」
「はははいや何でもないよまあ何はともあれ真白兄さんこれからよろしくお願いします」
「お願いします!真白お兄ちゃん♪」
「こちらこそよろしくね。レビィ。リリィ」
そして俺にはしっかりものの弟と可愛い妹が一気に出来た。
だけど俺はこの時まさかあんな事になるなんて思いもしなかった.....
次回金曜日更新予定です