プロローグ5:黒ノ栖家
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「あの.....これが黒ノ栖さん.....じゃなかった父さんの家ですか?」
ここまで父さんと車で数時間走ってきたが、長い山道を抜けて開けた道まで出てしばらく走った後、遂に目の前に大きな塀に囲まれた大きな門の前までやってきてやっと着いたか?と思ったらそこからさらに15分程走った所に、目の前にそびえるヨーロッパにあるような城の前に来た。
(でも何かあれだな.....メルヘンチックというかお姫様が住んでそうな城だな)
そんなどこか父さんのイメージと違うなと思わせる目の前の城を見ながら俺は父さんを聞いた。
「そうだ。まあお前の言いたい事は分かる。俺には合わんと言うのだろう?確かに私はこじんまりとした武家屋敷の様な家がよかったのだがな.....妻の要望でな。今はあいつはもういないがどうしても取り壊して新しい家を建てる気にはなれなくてな.....」
そう言いながら父さんは寂しく笑った。
「だがお前の住む所はここじゃない。今日は他の子供達にお前が俺の新しい息子になったことを知らせるために、ここに来たがお前が普段生活する所は別にある。ほら呆けてないで行くぞ。時間は有限だからな」
「あ、はい」
そして慌てて父さんの後に付いて城の中に入ると、まず目に入ったのはズラリと並ぶメイド達だった。
「お帰りなさいませ!ご主人様!」
「うむ」
父さんは短くそう答えると、そのズラリと並び頭を下げているメイド達の間を歩いていく。そして俺はその後ろをオドオドしながら付いていき、自分の頭上に輝くバカでかいキラキラと輝くシャンデリアや、至るところに置かれている高そうな絵画などの美術品等を見ながら、
(本当にお姫様が住んでそうだな。父さんの奥さんは大分乙女チックだったのかな?何であんな堅物そうな父さんと結婚したんだろ?)
父さんに対して若干失礼な事を考えながら辺りを見回し、美術品等に目を奪われながら歩いていると、父さんの前に綺麗に横に整列して並んでいる人達が見えた。それは見ただけでざっと30人くらいはいた。そんな彼らを見ているとそのほとんどが俺と大体同じ年齢くらいだと思うが、肌や髪の色がバラバラで世界中からここに集まってきたような感じがした。そしてそんな色んな国から来ている彼らにも共通点があった。彼らを見ていると猛獣と一緒に檻に入れられたような気圧される感覚がした。何故なら皆の瞳が炎でメラメラと燃えるようにギラついていて凄い威圧感を感じたからだ。
(なんか皆凄い目でこっちのこと見てるな。俺あんまり歓迎されてないのかな?あれ?でも端っこにいる銀髪の2人はそんな感じじゃないな)
俺が皆を見てこれからのここでの生活に不安を感じていると、1人の青年が父さんに向かって話しかけた。
「お帰りなさい。父さんお待ちしていましたよ」
「ああ。今帰った」
父さんに向かって挨拶をしたのは黒のブレザーの学生服に身を包んだ青年だった。
「彼が真白君ですか?」
「そうだ」
そして彼は父さんへの挨拶を終えるとこちらを向き俺にも挨拶をしてくれた。
「初めまして真白君。僕の名前は黒ノ栖柊と言います。この黒ノ栖家の敷地内にある黒ノ栖学園の代表をしています。まぁ代表といってもそんな大層なものじゃなくて皆のまとめ役ってとこかな?まぁ学級委員長みたいなものと思ってくれたらいいよ」
「皆ってことはここにいる皆もやっぱり父さんの子供って事ですか?」
「そうだね。ここにいる皆は父さんに選ばれ、父さんの跡を継ぐ可能性を秘めた子供達だ。一応僕もだけどね」
そして柊さんは俺をみてニコリと笑う。
(柊さんと同じ制服を着ていたからそうじゃないかとは思ったけど、やっぱりみんな父さんの子供になった人達なのか。)
「それに学園って事は.....」
「父さんは学校も経営していてね。真白君にもこの黒ノ栖学園に入学してもらうよ。そして武道や勉学に励み、黒ノ栖カンパニーの指導者としての、人の上に立ち人を引っ張っていける資質があるかどうか強さがあるか。この学園で見極められるんだ。でいいんですよね?父さん?」
柊さんが話を終え、父さんの方を向くと父さんは頷いていた。
「そうだ。そして次期黒ノ栖カンパニー総帥に相応しい強さを私に見せる事ができる者が現れればそいつが我が黒ノ栖カンパニーの総帥となり世界を牽引していくのだ。 しかし人の上に立つ資質、資格もなく私に必要だとされなかった者はこの黒ノ栖家から去ってもらう。我が黒ノ栖家に弱き者は必要ないからな 。だがもし総帥になる資質がなかったとしても私に認められ、必要だと判断すれば黒ノ栖カンパニーでそれ相応のポストは用意してやる」
俺は父さんの話を聞いて初めは驚き目を大きく見開いたがすぐに考えを改めた。
(まあこの父さんならそれくらいの事はしそうだな。あんな百獣の王みたいな雰囲気を出してる人だからな。自分の子供を平気で千尋の谷に叩き落とすタイプだ。絶対)
「まあそうゆうことだね。僕達は父さんの跡を継ぐライバルでもあるけど将来会社を支える大切な仲間同士になるかもしれないんだ。だからお互いを高めあって良好な関係を築いて行こう」
そう言って柊さんは手を前に差し出し俺に握手を求めてきた。
「こちらこそよろしくお願いします」
俺が手を握り返すと柊さんは「うんよろしくね」と言って俺に笑顔を向けてくれた。だけど俺はその顔を見て何故だか分からないけど嫌な感じがした。顔は笑っているのに柊さんの瞳が、黒いストレートの左右の長さが異なった髪型で左目は隠れていていたけど、もう片方の見えている右目の瞳が、糸のように細く鋭い右目の瞳が俺を拒絶しているように感じた。
他の兄弟達には追々紹介していくという事でとりあえず今日から住む所に案内してくれる事になった。
「またこっちもさっきに負けず劣らずデカイですね。そしてこっちは確実に父さんの趣味ですね」
俺が案内されてきたその先には古風的で風格のある武家屋敷の様な屋敷が建っていた。
「そうですね。この屋敷は旦那様が考えられた屋敷であの人数の方が住まわれるということでこの大きさになりました」
そう淡々とした口調で俺をここまで案内してくれたメイドさんが説明してくれた。このメイドさんは父さんに長年仕えているメイド長をしている烏間さんという黒いおかっぱ頭のとても美人なメイドさんだ。だけど常に無表情で話すときはとても淡々と話すから感情のないロボットの様な冷たさを感じさせる人だった。
「はあ、そうですか」
俺がその屋敷を見ながら気のない返事をしていると、烏間さんが「では真白様のお部屋まで案内します」と俺を部屋まで案内してくれる事になった。
烏間さんに俺の部屋まで案内してくれるとその木の引戸の前でさっきのように烏間さんが淡々と明日からの事を説明してくれた。
「まずお食事ですが、この屋敷の北に位置する食堂で朝が5時~7時、昼が12時~13時、夜が17時~19時の時間帯でしていただきます。その時間を過ぎますと食堂での食事が出来ませんのでご注意下さい。次にお風呂の入浴ですが、この屋敷の西に位置する大浴場にて入浴していただきます。基本的にいつ入って頂いても構いませんが、15時~16時の間は清掃を行いますので入る事は出来ません。最後に明日からの事ですが、明日からは朝の8時までにこの屋敷の中央に位置する修練の間に来ていただき、そこで皆様と武道に勉学等の鍛練に励んで頂きます。必要最低限の説明は以上です。何かご質問はございますか?」
烏間さんは早口で説明を終えると俺に屋敷の地図を渡して、質問がないか聞いてきた。
(それにしてもこの屋敷でかすぎだろ?地図がいる家ってどんだけだよ.....)
この屋敷の凄さに半分驚きで半分は呆れながらも烏間さんに質問する事にした。
「まず武道や勉学を皆で励むと言ってましたけど皆一緒にするんですか?さっき見た感じ皆俺と同じくらいの年齢みたいですけどそれでも皆バラバラですよね?学年とかはないんですか?それに日本以外の国の子もたくさんいましたよね?言葉とかはどうしてるんです?」
「そうですね。皆さん一緒です。武道も勉学もそういった年齢で分けるような事はしておりません。言葉の方は基本的には皆さん日本語を話すようになっていますが、最終的には英語、フランス語、中国語、イタリア語、等の言語を10ヵ国語以上話すことは勿論読み書き出来るようになっていただきます。でないと世界を牽引する黒ノ栖カンパニーの総帥にはなることは叶いませんから」
(10ヵ国語!?無茶苦茶だな!)
俺は烏間さんの話を聞いて驚いた。何故ならあの中には俺より小さな小学生くらいな子もましてや女の子までいたのだ。まあ勉強の方は100歩譲って何とかなったとしても年の離れた男相手に格闘技で勝てる者なのかと。
俺の表情を見て烏間さんは俺が何を思っているのか分かったのだろう。烏間さんはさっきと同じ調子で淡々と答えてくれた。
「真白様の仰りたい事は分かります。ですがここではそれが出来なければ去るしかありません。皆さんそれを承知でここで鍛練を積まれ日々強さとは何かを考え必死に手にいれようとしておられます。真白様もその為にここまでこられたんですよね?強さとは何か?そしてその自分が追い求める強さを手にいれる為に」
「はい.....」
「でわ私はこれで。明日は遅れないようにお願い致します」
そう言うと烏間さんは1度丁寧なお辞儀をした後、この長い木目の廊下を音を立てる事もなく去っていった。
俺はそのメイドさんの後ろ姿を見ながら俺はすごい所に、すごい世界に来たんだなと痛感させられた。明らかに自分より小さな子供や女の子までがまあ色々事情はあるのかもしれないが、そうやって強さを求めて上を目指そうとしている。俺ももっと覚悟を決めてやっていかなければいかないと自分の心に活を入れ直した。
次回金曜日更新予定です