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小説投稿講座 キャラ名づけの話。

作者: とびらの

 こんにちは。はじめまして。


 当方、名をとびらのと申します。

 先にきっぱりと自己紹介しておきますと、ただの底辺作家でございます。


 実績ゼロのわたしが「小説の書き方」なんて語ったところで一ミリの説得力も無く、言うとおりにしたところで、別にご自身のブクマが上がるってことはないでしょう。


 しかしこうしておこがましくもノウハウ系エッセイを投稿いたしました真意は、「先輩作者としてのご教示」なんぞというものではなく、イチ読者として、なろう作家のみなさまがたに、ちょいとお願い事があってのことでございます。


 以降、「-したほうがいいよ」と上から作家様口調で書き綴りますが、「おばちゃんそうしてくれないとよみにくいんだよう」という、読者側の見解としてお読みください。



 なろうサイト内作品を読んでいて、ちょいちょい気になることがありました。

 キャラクターのネーミング、でございます。


 作家としてのわたしは、もともとネーミングがちょっと苦手。

 苦手と言うか、凝ったネーミング設定に興味がないというか。

 基本、個体識別が付けばなんでもいいと思っております。


 そう、「個体識別が付けば」、なんでもいい。


 ところが近年ライトノベルでは、その目的と手段がクルリと入れ替わっているように思うのです。


 あ、もちろん、ネーミングに凝ること自体はよいのですよ。既存キャラとカブるのもよくないですしね。


 しかし作者が凝ることに意義があり、読者による個体識別は二の次三の次。

 ゆえに、読者は混乱し、話が佳境にはいるころ、冒頭にある「キャラクター紹介」なんてものを見に行かないと、キャラがだれがだれだかわからなくなってしまう……


 かようなことが頻発しているようないないような。


 先に、「なんでもいい」と言いましたが、それは決してテキトーにやっつけろと言っているのではないのです。


 『凝る』べきポイントを、いまいちど見つめ直しましょうという提案です。



 さてここから、わたくし語りをごめんください。


 拙作に、この地球を舞台に潜入している宇宙人たちを主役にした、愛と友情のSFラブコメがございます。

 宇宙人である彼らの名前は、みな、謎のカタカナではなく、動物。

 「猪」とか「鹿」とか、そのまんまそのように名乗っています。


 容姿や性格は「名を体を表す」を土台に考えて、その動物、字面の印象から、キャラクターの容姿・イメージを合わせて思い浮かべられるようになっています。


 その名前で、思い浮かべた動物たち、その印象を擬人化すればだいたい作中に近い人物像が浮かんでいるでしょう。


 ……現代SFというニッチなジャンルに、雌雄同体ヒロインとの純愛なんていうわかりにくすぎる設定の物語を、それでもなんとか読みやすく入ってもらえるよう、作者の精一杯の工夫ですが……


 人気ジャンルの洋風名前であっても、基本、その工夫はするべきだと私は思います。



 名前は、挿絵のない小説のなかで読者に強烈な造形想像をさせかねません。

 なので基本的には「名は体を表す」を前提に考えるべきなのです。


 あえての例外、逆方向への印象操作を狙ってつける場合はもちろん別。

 コメディにおいて、大魔王リンリンなんてのが出てきたらまあとりあえず一回笑います。


 基本のキ。


 可愛いキャラには、可愛い名前を。

 冷酷な外道にはそれなりの語感のものを。

 年齢も考慮すべきでしょう。読者にキャラ年齢を覚えてもらうために、です。

 現実世界ではもちろん人間は年を取っていくけども、創作キャラクターは年を取りません。

作中で年月がたち、成長する場合は、初登場時にあわせます。


 つまりですね。

 リリアという名の中年女、サフィリエルという名のブス、マイケルという名の帝王、グヴァルナという名のモブがいてはいけないのです。


 ……いやだってほら、「○○語で、××という意味」なんて、読者的にはそんなの言われなきゃわからないし(笑)

 ネーミング辞典とかウェブとかさ、そこから探すとき、とりあえず意味から引いてみるのはよいけども、決定するさいには客観的に語感ってもんを考えてほしいのですよ。

 深意よりも第一印象。語感、リズム、インスピレーション。 



 あのね、イタリア語でつぼみをあらわすんだよと言われても、ボッチョーロって名前の妹キャラは愛せないよ!? ギリシャ語で紫陽花を意味するイドランギオンは、ヒロインじゃなくてラスボスでしょ!?


 どうもね、そのネーミング辞典のせいか、そういったキャラクターを多く見かけるんだよなあ。

 ねえ?(笑)



 さて、ここで実例。


 こちら、モデルにさせていただいたのはランキング上位の作品で、わたくしのようなド底辺作家が物申すのはおこがましいことこの上なし。ゆえに単なるいち読者としての感想であると明記して、ガッツリ批判させていただきます。


(以下すべてフェイク設定、仮名)


 主人公 軒坂下率一(のさかげ・りいち) なんら特技のない「普通の少年」。

 メインヒロイン メイリル (25歳クール系美女)

 ハーレム要員 アリエル(ギルドの経営者28歳癒し系)、フィリエル(アリエルの実妹、ツンデレ14歳)、マリル(中盤のダンジョンで出会う女戦士)、ヒミコ(マリルのパートナーの魔法使い)。

 モブ リイネ(宿屋の息子)、アンリ(パン屋の少女)

 女皇帝 ウェルネスル(美女)

 宿敵魔王 ズィールフグリード(男)


 さあみなさん、ここで三秒間目を閉じて!

 開けたところでクイズです。


 主人公の名前は? 漢字は? その読み方は?

 アリエル・マリル・メイリル。ヒミコの冒険パートナーは誰?一番年上なのは誰?

 上記のキャラクター名を見て、男女それぞれに分けなさい。

 全キャラクターで殴り合い! 誰が一番腕力が強そう?


 ……な。どうだ。わかんないだろ?


 これがブクマの数や作品そのもののおもしろさに比例せず、数多くの作品で散見されるのである。


 もうね、おばちゃんわかんないよ!!


 まず主人公! 凡人キャラなら凡人らしく島田康介とかでいいじゃないか。あるいは一周回って羅生門海老蔵。「ものすごく名前負け」という、ひとつの特徴として記憶できる。率一なんて名前をつけるなら、数学にやたらとつよい頭脳派であるだとか、麻雀カードを武器に戦うくらいのスキルを持ってほしいものだ。キャラの特徴にあっておらず中途半端にフシギ名前でしかも当て字、もう全然印象に残らないよ!? 完結まで読んだのに忘れたからね!(マジ)


 メインヒロインとハーレム要員で、名前の気合度に差をつけて!

 全員語感が似ております! ラリルレロ使いすぎ! 作者さん、女性名のストックすくなすぎ! 誰が誰やらわかりません!


 たくさんのキャラクターが入り乱れるような長編の場合、語感や名前の種類、「名前の世界観」を、同組織メンバーごとに分け、おそろいにしてつけていくと良いと思います。



 以下、設定変更のご提案。わたしならこうする(こうであったら読みやすい)。



 普通に考えて、メインヒロインがヒミコでしょ。ひとり飛びぬけて印象強い名前だもの。

 姉妹の名前がマリルとミリル。「まみむめも」の順で年齢がわかる。

 中盤で出会う女戦士二人はフレアとウィンディ。それぞれの髪や瞳の色と印象をそろえればなおよし。

モブはもう、アリスとかマイクとかでいいんじゃん?あるいはいっそ、マールとかサンクとかシッカとかバッツとか。とりあえず年齢と性別、そして職業の印象とあわせようかな。


 王族やラスボスは、庶民とは一線を画す名前にしたい。文字数が多く小難しいカンジになるのは致し方ないところだが、最後の砦として、「覚えられる」は失くさないように。既存によく似た有名単語があるときは要注意。武器のハルベルトをモジってファルバルトにしてみても、読者の脳内ではファルベルトになっちゃいます(笑)


 女皇帝はヴェルネス、魔王はジルグリードくらいで十分だ。

 なんか魔女っぽいコワイ女傑と、黒騎士タイプのカッコイイ魔王像が伝わるでしょう。


 重要キャラは、できるだけ一文字目と最後の文字を、他キャラクター名とかぶらせないよう注意して。


 ヒトは文字列を最初と最後の字だけでオブジェクト的に認識したり理解しているといわれている。

 バンコランとバルトレンとバイトマンは、区別が出来ないようになっているのです。

 兄弟などでそろえるならば、アイウエオや同種のナニカで関連付いてるととてもいい。


 全部決めたら、一度口に出して読んでみて。

 舌と唇がキモチイイ、あるいはキモチワルイ名前があるはずだ。


 他作品とかぶらないよう、字面を複雑にし、まったく語学をしてないどっかの国の言葉をひっぱって、作者も「えーっと」となったなら即、捨てるべし。



 結論!


 主人公の名前は、山田一郎でいいと思うよ!


 以上!!



 おそまつさまでした。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 分かりやすい名前なら、久しぶりに登場した時でも「あーあいつか」ってなれますね。小説においてかなり重要なことが書かれていて参考になります! [一言] このエッセイのおかげで一番重要なことを思…
[良い点] 具体例が具体的過ぎて笑ってしまったこと。 造語の場合は声に出してみるのが必須ですね。 今度やってみます。 たいへん参考になりました。 [一言] ネーミング辞典ってなんぞや?と思ったので調べ…
[良い点] やはりキャラそれぞれに合った名前をつけるべきだな〜ということがよくわかりました。 具体例を使った説明がとくにわかりやすかったですね。 [一言] 僕はよくTRPGのリプレイを投稿しているので…
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