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ひとつめの要求(終)
「かくかくしかじかと言うわけで、君の要求は通りました。」
『そうか。オレは特に質問は無いが。』
「じゃあ、こっちから。
君の将来の夢はなにかな?」
『小中学生に聞くような質問を、わざわざ聞く必要があるのか?』
「なんとなく。
そりゃあ、君はれっきとした犯罪者だよ?
犯罪したからといって夢を持ってはいけない事にはならないはずだから。」
『考え方が珍しいな。
警察なんていったら犯罪者は罪滅ぼしのことだけを考えて生きていけ、
なんていうバカなことをいうと思ったんだが。』
「警察にも色々な人がいるからね。
で、実際のところは?」
『ないな。』
え?
ない?
俺の予想が正しければ中高生だ。
そして、中高生ならば夢を何がしか持っていると思ったんだが。
俺の予想は、間違っているのか・・・?
『自分で言うのもあれだが・・・。
きちんとした夢を持っているならこんなバカげたことはやらないだろう?』
「・・・確かに。」
『質問はそれだけか?』
「今回はもういいよ。」
『そうか。
では、次の要求をしようか。』
・・・忘れてた。
こいつ、今日も要求を話しに来てたんだ。