温くなったコーヒー
掲載日:2026/02/15
温くなったコーヒーは不味い。
電気ポットが壊れたために、いつもこんなものばかり口にしていた。
買い換えようか、と持ちかけると
「猫舌な貴方には、火傷しないくらいで丁度いいじゃない?」
彼女はいつもそう返し、私に温いコーヒーを淹れた。
そうやってできたコーヒーは、温いはずなのに暖かった。
いつだったか、電気ポットは買い替えた。
温くなったコーヒーは不味い。
自分で淹れたコーヒーを、わざと時間を置いてから口に含む。
あの舌触りを感じることはできなかった。
私に焼き付いていたのは、コーヒーの舌触りではなかった。




