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第9話:お着替えタイムと「温かい」食事


気絶した二人を馬車に乗せ、俺は急いでお屋敷へと戻った。


屋敷の玄関で、丸太のような両腕に女の子を一人ずつ抱えた俺を見て、親父は口をあんぐりと開けていた。


「ディ、ディエス……。お前、死にかけの子供を二人も連れてきてどうするつもりだ!?」


「治療して、俺の従者にします。お父様、お湯と清潔な布、それから一番いい食事を用意してください!」


俺は二人を自分の部屋のベッドに寝かせた。


黒髪の子はリナ、銀髪の子はエルザ。俺の記憶にある将来の強敵たちの名だ。


市場で奴隷商人が、薄笑いを浮かべながら言っていた言葉が耳に残っている。


『黒髪の方は「呪われた子」ですよ。魔力を暴走させて村を氷漬けにしやがった。銀髪の方は紛争地の「捨て駒」でね、仲間の盾にされて放り出された生き残りだ。どっちも心なんて壊れてる、ただのゴミですよ。ガハハ!』


「……ゴミなもんか。誰よりも過酷な場所で生き抜いてきた証じゃねぇか」


俺は茶髪をかき上げ、岩のような筋肉を震わせながら、真剣な顔でつぶやいた。


もちろん、ボロボロの服を脱がせて体を拭いてやる際の下心は120パーセントだがな。


(……くぅー! 痩せているけど、この骨格のライン、将来は間違いなく絶世の美女になるぞ。リナのこの肌の白さ、エルザのしなやかな脚の筋肉……。これを見逃す手はない!)


俺は鼻息を荒くしながら、丁寧に、かつ素早く二人のボロボロの布を脱がせていった。


女の子の柔らかい肌に触れるたび、俺の自慢の筋肉がドキドキと脈打つ。


「……う、ん……」


その時、二人がうっすらと目を開けた。


目の前には、自分たちの服を脱がせ、ニヤニヤしながら肌を凝視しているマッチョな少年。


「ひっ……! わたし、殺されるの……?」


リナがガタガタと震えながら、無意識に指先から冷気を漏らした。


村を凍らせ「化け物」と呼ばれた絶望が蘇っているのだろう。


一方のエルザは、感情の消えた目で俺を見つめた。「盾」として消費されてきた彼女は、新たな主人が自分をどう「使い潰す」のかを待っているかのようだった。


「安心しろ、二人とも。俺はディエス。今日からお前らのご主人様だ。……ほら、汚い体じゃ病気になるだろ? 綺麗にしてやるからな」


俺は優しく(でも目はギラギラさせながら)、温かいタオルで彼女たちの体を拭いてあげた。


リナの冷気を「夏場には最高だな!」と笑い飛ばし、エルザの体に刻まれた盾としての傷跡を「よく生き残った。


いい戦士の素質だ」と力強く肯定しながら。 その後、用意させていたふかふかの寝巻きを着せる。


「さあ、次はメシだ。俺特製の『魔獣肉スープ』を食え。栄養はバツグンだぞ」


俺が差し出したスープを、二人は恐る恐る口に運んだ。


これまで周囲を凍らせる「呪い」と忌まれ、あるいは戦場で「肉の壁」としか扱われなかった二人にとって、それは初めて自分のために用意された「温もり」だった。


「……温かい……。凍ってない……」


「……こんなに美味しいもの、食べていいんですか……?」


少し元気が出たのか、二人はじっと俺のことを見つめてきた。


「あの……ディエス様。どうして、わたしたちのような『呪われた子』や『使い捨ての盾』を助けたのですか?」


リナが震える声で聞いてきた。 俺は、はち切れそうな胸板をドンと叩いて笑った。


「呪いだの捨て駒だの、そんな下らねぇレッテルはあの商人の檻に置いてきた。俺の目には、将来俺の右腕と左腕になる最高の宝にしか見えねぇよ。それに……」


俺は二人の顔にぐっと近づき、ニヤリと笑った。


「お前らは俺の好みのタイプなんだよ。将来は俺のハーレムに入ってもらうからな。だから、しっかり食べて、俺のために一生尽くしてもらうぞ。……わかったな?」


「……変な人。でも……もう、怖くないかも」


リナとエルザは顔を真っ赤にして、戸惑いながらも、その瞳に初めて小さな希望の光を宿して頷いた。


こうして、最強の従者(候補)二人との、不条理でおかしな共同生活が始まった。

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