7話:じゅうしゃを買いにいこう!
はじめての狩りから数日。俺がしとめたイノシシの肉をムシャムシャ食べていると、お父様が真剣な顔で俺の前にすわった。
「ディエス、お前のその……『野生のパワー』は認めることにした。だが、公爵家の次男として、身の回りの世話や戦いをサポートする者がいないのは問題だ」
「世話係ですか? 俺は筋肉があれば一人で生きていけますよ」
俺は、丸太のような腕で肉をかじりながら答えた。
今の俺、体つきはもはや岩石だ。正直、自分で何でもできる。
「だめだ! お前があまりにムキムキで野蛮だから、屋敷のメイドたちが怖がって近寄らないんだ! このままでは、お前の部屋の掃除をする者すらいなくなるぞ!」
親父は悲しそうに叫んだ。
たしかに、俺がトレーニングをしていると、メイドさんたちは「ヒッ……!」と短い悲鳴をあげて逃げていく。
俺はただ、彼女たちのかわいい顔と美しい体をながめていただけなのに。
「……というわけで、ディエス。お前専用の従者を奴隷市場で買ってきなさい。お前の奇行を許し、一生ついてきてくれる忠実な奴をな」
お父様はそう言って、ずっしりと重い金貨の袋をぼくにわたした。
「奴隷市場、か……」
ぼくの頭の中にあるゲーム知識がピコンと反応した。
(そういえば、あの市場には、ゲームの後半でめちゃくちゃ強くなる隠れキャラがいたはずだ……)
普通の貴族なら、重い荷物を持たせるためにガタイのいい男の奴隷を買うところだろう。
でも俺くの目的はちがう。
強くて、かわいくて、ぼくの筋肉を見ても逃げない「最高の美女のたまご」を見つけ出すことだ。
「わかったよ、親父。俺の理想のパートナーを見つけてくるよ」
「……ああ。くれぐれも、見た目が怖くない子にしてくれよ。これ以上、屋敷に荒々しい空気を持ち込まないでくれ」
親父は祈るように手を合わせた。
なんだか可哀想になってきた。また肩を叩いて親孝行するとしよう。
翌日、俺ははち切れそうな服を無理やり着て、馬車にゆられて町へと向かった。
(最強の筋肉と、最高の美女。これぞバーバリアン・スタイルの完成形だ。よし、ゲーム知識を使って、最高のお宝を見つけてやるぜ!)
俺は市場の入り口に立つと、ニヤリと笑った。
その顔があまりに肉食系すぎて、近くを通りかかった町の娘さんが震えながら道を開けてくれた。




