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第46話:軍服と筋肉、死闘の始まり(と従者の同行)


学園を卒業し、俺とリナ、エルザは王国魔法軍への入隊手続きのため、王都の中心にある軍本部へとやってきました。


「ディエス様、いいですか? 王国魔法軍には、優秀な魔法使いの従者は特別に同行を許されるという規定があります。くれぐれも粗相のないように」


黒髪のリナが、いつになく真剣な顔で俺に注意しました。その横で銀髪のエルザは、すでにいつでも剣を抜けるように警戒しています。


「ガハハ! 任せとけ。俺の筋肉が暴走することはねぇさ!」


俺は岩石のような大胸筋をドンと叩き、余裕の笑みを浮かべました。


しかし、その余裕は、支給された軍服を前に一瞬で消し飛ぶことになります。


「こちらが、ディエス・フォン・バルカス殿の軍服です。一応一番大きなサイズで用意したんですけど、、」


魔法軍の女性担当官が不安そうに差し出したのは、魔法使い用に仕立てられた、細身でスマートなデザインの軍服でした。


色は深みのある紺色で、金色の飾りが施されています。


「……ふむ。悪くねぇな。だが、これは俺の筋肉が可哀想だ」


俺は制服を受け取り、試着室へと向かいました。


数分後、試着室から出てきた俺の姿に、リナは思わず絶句し、エルザは目を丸くしました。


「……ッ、ディエス様ぁあああ!!」


軍服は、俺の丸太のように太い腕や、はち切れそうな胸板に限界まで生地が引き伸ばされ、今にも破裂寸前の状態です。


ボタンはちぎれんばかりに糸が食い込み、背中の縫い目は悲鳴を上げていました。


「おい、担当官! これじゃ呼吸を止めてないと爆発するぞ! 俺の広背筋が可哀想だ!」


俺が大きく息を吸い込むと、「ビリッ!」と音を立てて肩の部分が少し裂けました。


「ディエス様! だから言ったでしょう、広背筋を意識して歩かないでと! ああ卒業式のときの苦労がよみがえってくる!」


リナがキレながら、再びメジャーを取り出して俺の巨大な二頭筋を測り始めます。


「魔法軍の制服は、魔法使いが動きやすいように作られているんです! ディエス様のようなバーバリアン(野人)が着ることを想定していません!」


「ガハハ! 野人とはひどいな。筋肉の塊と呼んでくれ!」 


「どっちでもいいです! これでは任務中に制服が破れて、品位ひんいを損ねます! しかも、これじゃあ私がまた徹夜で縫い直すことになるじゃないですか!」


リナは、採寸のたびに俺の筋肉がさらに成長していることに、もはや怒りを通り越して半泣き状態です。


その横で、銀髪のエルザは、俺の裂けた軍服を複雑な表情で見上げていました。


「……ディエス様の筋肉……最強。……でも、制服……悲しい。……私が、もっと、強い糸……探す」


エルザは、まるで「布」を慰めるかのように、破れた部分にそっと手を触れていました。


担当官は、俺の異常な体格と、リナの迫力に完全に怯えきっています。


「あ、あの……バルカス殿。その、特例で……軍服は諦めて、ご自身の動きやすい格好で勤務していただいても……」


「なに!? 馬鹿なことを言うな! 制服を着ないでどうやって魔法軍の人間だとアピールするんだ! リナ、この軍服を完璧に仕上げろ! 俺の筋肉が、この軍服を真の『最強の鎧』に変えてやる!」


「無理です! 裁縫スキルが限界です! 私の魔法は生産系じゃないんですから!」


こうして、俺の魔法軍での初仕事は、支給された軍服との「死闘」から始まることになったのでした。

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