表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/74

第3話:お坊ちゃんの「おかしなしゅぎょう」


俺が10歳のたんじょう日に前世を思いだしてから、数日がたった。


やるべきことは決まっている。


魔法の練習なんて全部すてて、この**「ひょろひょろのお坊ちゃん」**の体を、最強の筋肉でつつみこむことだ。


まずは、お屋敷の図書室にある本をよみあさって、方針を決めた。


「……よし、決まった。魔法はあきらめて、ひたすら体をデカくする。それが生き残るための最短ルートだ。それに、男は中身よりも結局、強くてデカい筋肉……そしてかわいい女だろ!」


そう、ぼくは筋肉も大好きだが、それ以上に女好きだった。この世界なら強ければモテる。


強くなって、「かませ犬ルート」をぶっつぶし、美女をはべらせて自由に生きる。これこそが俺の「理想のスローライフ」だ。


翌日から、俺はさっそく「修行」を開始した。

朝、お屋敷の庭。


そこには、茶髪をなびかせ、ひょろひょろの腕で、庭にある大きな「漬物石」を何度も持ちあげる10歳の姿があった。


「ふんっ! ぬんっ! ……よし、いい刺激だ!」

1回、2回と石を上げるたびに、細い腕がプルプルとふるえる。


そんな俺を、メイドさんたちが遠くからヒソヒソと話しながら見ている。


俺は、彼女たちの姿が見えるたびに、顔をニヤつかせながらじーっと見つめた。

(……ほう、あのメイドさんのふくらはぎ、いい筋肉だなぁ。それに、あの揺れるスカート……最高だ。やっぱり女の子はいい。あのかわいい子たちを守るためにも、もっとデカくならなきゃな!)


俺は、しゅぎょうをしながら、メイドさんたちをなめるように凝視した。


「筋肉のつき方」をチェックしつつ、下心まるだしの「エロい目」で見ていたのだ。ハタから見れば、ただの**「お姉さんをいやらしい目で見る、むっつりスケベなガキ」**である。


「……ねえ、ディエス様、どうしちゃったのかしら。急に石を持ち上げ始めたと思ったら、今度はこっちをすごく変な目で見てくるわ」


「本当ね……あんなに可愛らしいお顔なのに、目つきだけがエロい大人みたいで怖いわ」


メイドさんたちが、ひいた目で体を抱きしめて去っていく。


「ディエス! 何をしているんだそれは!」


そこにお父様がすっ飛んできた。


ぼくは地面に石をドスンと置いて、さわやかに、でも目はニヤついたまま汗をふいた。


「しゅぎょうですよ、お父様。女の子を……いや、あのメイドさんの筋肉を参考に、ぼくも体を鍛えることにしたんです」


「筋肉を参考だと……!? 魔法は? それに、なんだそのニヤニヤした顔は! はしたない真似はやめなさい!」


お父様はあわを吹いて倒れそうになっていたが、そこへ一人の少年がやってきた。


俺の兄、カインだ。兄様は王国でも天才といわれる魔法使いだけど、俺にはいつも優しい。


「父上、いいじゃないですか。ディエスにも、ようやく何かに夢中になれることが見つかったみたいですよ」


金髪で優雅な兄様は、ぼくが泥だらけで石を持っている姿を見て、まぶしい笑顔をむけてくれた。


(兄様……。ぼくが『しゅぎょうのついでに、美女を見てニヤニヤしてる』なんて、夢にも思ってないんだろうな……)


「そうか……カインがそう言うなら……。だが、ほどほどにするんだぞ」


親父はまだ困った顔をしていたけど、兄様に言われてしぶしぶ納得したみたいだ。


周囲に何を言われても関係ない。


ぼくは、このひょろひょろの体を最強の「筋肉のよろい」に変え、いつか最高のハーレムを作ってやるんだ!


メイドさんたちの冷たい視線なんてごほうびだと言わんばかりに、俺はもっと重い石をさがして走り出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ