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第26.5話:道がないなら、作ればいいじゃない


「リナ、エルザ。準備しろ。既存の道が使えないなら、俺たちが新しい道――『バルカス・マッスル・ハイウェイ』をぶち抜くぞ!」


「マッスル……何ですって? ディエス様、ここは険しい山脈地帯ですよ! 隧道トンネル一つ掘るのにどれほどの人手と年月が必要だと思ってるんですか!」


リナが目を丸くして抗議する。


だが、俺は制服のシャツを力任せに脱ぎ捨て、岩壁のように盛り上がった上半身をさらけ出した。


「道具がないなら、俺が道具になればいい。山が邪魔なら動かし、巨岩が塞ぐなら砕く。それがバルカス流の開拓術だ!」


翌朝、俺たちは人跡未踏の険しい裏山に立っていた。


俺は拾った指輪を輝かせ、全身の筋肉を「地形の再構築」へと特化させる。


「リナ! お前の鋭い感覚で、最短で王都へ抜ける地盤の硬いルートを見極めろ! エルザは俺がなぎ倒した残骸を細かく刻んで路盤を作れ!」


「……もうっ、やけくそです! 北北西、斜度十五度、その先の岩盤を砕けば直線距離で大幅に短縮できます! いけます、ディエス様!」


「了解。……ディエス様の道……邪魔なものは……全部切り裂く……」


「よし……ふんぬぅぅぅっ!!」


俺は大地を蹴り、弾丸となって山肌へ突っ込んだ。突き出した拳が、見上げるほどの巨岩を**『剛力・爆裂破』**の衝撃で粉々に粉砕する。邪魔な巨木は根こそぎ引き抜き、肩に担いでまとめて放り投げた。


「肉体奥義・山脈開墾マッスル・ブルドーザー!!」


俺が走り抜けた後には、不思議と平坦にならされた地面が広がる。


俺の分厚い足の裏が、一歩踏み出すたびに地盤をガチガチに固める「生きた圧雪車」と化しているからだ。


「は、速すぎる……! 普通の工事の何千倍の速度で道が出来ていく……。これが……たった一人の筋力でやっていいことなんですか!?」


リナが絶叫しながら、魔法で飛散する土砂を防ぐ障壁を張る。


背後ではエルザが、俺が砕き残した鋭い岩片を、目にも止まらぬ剣技で砂利に変えて道を整えていく。


三日三晩、俺は栄養価の高い干し肉と特製スープだけで突き進んだ。一度も止まることなく、己の限界を更新し続ける。


そしてついに、俺の拳が最後の絶壁を突き破った瞬間、目の前には王都へと続く平原が広がっていた。


「……ふぅ。いいパンプアップになったぜ」


俺は額の汗を**隆起した前鋸筋ぜんきょきん**で拭いながら、振り返った。


そこには、将来のライバルが築こうとした封鎖地点を完全に無視して繋がった、真っ新な「新道」が完成していた。


「ディエス様……貴方という人は……。政治的な嫌がらせを、ただの地力フィジカルで真っ向から無効化するなんて……」


リナが呆然と腰を抜かして座り込む。


権力の壁がどれほど高くとも、俺の筋肉はそれを「障害物競走のハードル」程度にしか思っていなかった。

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