第20話:地獄のコンバート・トレーニング
俺たちはハーピィ討伐で手に入れたアーティファクトを握りしめ、そのまま山奥の演習場へと向かった。
目的は、拾った「防御変換の指輪」の性能実験だ。
「よし、準備はいいかリナ! 俺の胸板を目がけて、お前の最大火力の氷結魔法をぶち込め!」
俺は制服を脱ぎ捨て、岩石のように盛り上がった上半身をさらけ出して仁王立ちした。
山の中の冷気が俺の熱い筋肉に触れて、うっすらと蒸気が上がっている。
「……はぁ? 嫌ですよ。なんで私が、大好きなご主人様を凍らせなきゃいけないんですか。いくら指輪の実験だからって、無抵抗のディエス様に魔法を撃つなんて、そんなの間違ってます!」
リナが杖を握りしめ、涙目で抗議してくる。
常識人の彼女からすれば、主を的にするのは苦痛でしかないんだろう。
だが、俺はニヤリと笑って、はち切れんばかりの大胸筋をピクピクと動かした。
「いいから撃て! この指輪は、俺の自慢の『筋肉の硬度』を魔防へコンバートするんだ。お前の精密な魔法じゃないと、細かい調整ができない。ほら、次はケツの筋肉で冷気を吸収する練習もするぞ!」
「何を言ってるんですか、この変態!! さっきの感動的な『君たちを守るための筋肉』発言を返してください!!」
リナのツッコミとともに、彼女の魔力がフル回転を始める。
「もうっ……分かりましたよ! 凍りついても知りませんからね! 氷結破砕!」
ドォォォォォン!!
猛烈な冷気の奔流が、俺の胸板に直撃した。
本来なら一瞬で心臓まで凍りつく威力だが、着弾の瞬間、俺は指輪を通じて筋肉の防御力を魔法防御力へ一気に転換する!
「ぐっ……おおおおお! 効くぜ、いい刺激だ!!」
「ディエス様……すごい。魔法を……弾いてる……」
傍らで控えていたエルザが、トロンとした目で俺の肉体を見つめている。
彼女は俺の「暴力的なまでの頑強さ」に恍惚としていた。
「よし、今の着弾で感覚を掴んだぞ! リナ、次はもっと連射だ! 筋肉の部位ごとに変換効率を変える練習をする。右の上腕二頭筋、次は腹筋だ!」
「……三日間、一睡もさせずに魔法を撃たせ続けたのはどこのどなたですか?」と後にリナにキレられることになる地獄の特訓は、こうして幕を開けた。
「次はケツだ! プリケツに冷気を叩き込めぇぇ!!」
「いい加減にしろぉぉぉ! 氷塊に閉じ込められて反省しなさい!!」
山中にリナの絶叫と、爆発的な氷結音が響き渡り、俺の肉体は更なる高みへとパンプアップしていった。




