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第16話:学園登校初日と、いつもの奇行


俺たちはついに王立エターナル学園の初登校日を迎えた。


朝の清々しい空気のなか、俺は髪を短く整え、筋肉ではち切れそうな制服に身を包んで正門をくぐる。


だが、俺のスタイルは普通じゃない。


両脇に、リナとエルザを抱え込むように密着させて歩いていた。


「おい見ろよ、あの新入生……。朝から女子二人を侍らせて、どんな贅沢だよ」


「というか、制服が可哀想なことになってるわね。あの背中の筋肉、生地を突き破りそうよ」


周囲の視線は痛いほど突き刺さるが、俺には関係ない。


俺はニヤニヤしながら、腕のなかの柔らかな感触を楽しんでいた。


「ふふ、やっぱり朝のプロテイン代わりに、こうして美少女の体温を摂取するのは最高だな。リナ、エルザ。今日もいい弾力だぞ」


すると、俺の胸板に顔を押し付けていたリナが、ガバッと顔を上げた。


「ディエス様! さらっと変態なことを言わないでください! 『体温を摂取』って何ですか! 怖いですよ!」


「なんだ、リナ。野営の時はあんなに素直に甘えてたじゃないか。筋肉の愛が足りないのか?」


「それはそれ、これはこれです! そもそも、なんで登校中までこんなに密着して歩かなきゃいけないんですか! 注目されすぎて、私、恥ずかしくて魔法が暴発しそうです!」


リナのツッコミが冴え渡る。一方、エルザは俺の太い上腕二頭筋に頬をすり寄せ、うっとりとしていた。


「……私は……このままでも、いい。ディエス様の筋肉……朝から、元気……」


「エルザも甘やかさないで! ほら、ディエス様! 前を見てください。変な目つきで女子生徒のふくらはぎを鑑定するのもやめてください!」


「人聞きの悪いことを言うな。俺は将来の領民の健康状態をチェックしているだけだ」


俺が鼻の下を伸ばしながら周囲を物色していると、前方から見覚えのある「ひょろひょろ」が現れた。


ボリス・フォン・カトラスだ。


「……貴様、ディエス・フォン・バルカスだな。学園の門をそんな破廉恥な姿でくぐるとは、貴族の面汚しめ」


ボリスが眉をひそめて俺を指差す。


俺はリナの肩に腕を回したまま、ニヤリと笑い飛ばした。


「よお、ボリス。お前も筋肉が足りなくて顔色が悪いぞ。どうだ、俺が特製プロテインを飲ませてやろうか?」


「ふん、筋肉などという野蛮な力に頼る者に、魔法の深淵は理解できまい。……おい、女。そんな男に見切りをつけて、僕のところに来ないか?」


ボリスが気取ったポーズで誘いをかける。その瞬間、リナの目が氷のように冷たくなった。


「は? ボリス様……でしたっけ。ディエス様のこの芸術的な大胸筋を差し置いて、その細い腕に何の魅力があるんですか? 出直してきてください(真顔)」


「……ディエス様を侮辱するなら……ここで、斬る……」


エルザの殺気が膨れ上がる。


リナも「さっさと消えないと、凍らせますよ?」と、さっきまでのツッコミ役が嘘のような迫力で杖を構えた。


「……くっ、狂っている。主も従者も、揃いも揃って狂人か!」


ボリスは捨て台詞を残して、足早に立ち去っていった。


「あーあ、行っちゃいましたね。……で、ディエス様! ボリス様を追い払ったからって、どさくさに紛れてお尻を触らないでください!!」


「おっと、手が滑った。リナ、いいツッコミだ。大殿筋だいでんきんの張りも合格だぞ」


「もうっ! 学園生活、先が思いやられます……!」


リナの怒鳴り声が響くなか、俺は満足げに笑いながら校舎へと進んだ。


最強の筋肉と、最高の美女二人。俺の学園スローライフ(仮)は、前途多難だが最高に楽しそうだ。

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