第15話:将来のゆめと一生のちかい
入学試験を筋肉でごり押しして合格した俺は、学園のテラスでリナとエルザをとなりに、昼ごはんを食べていた。
もちろん、俺のメニューは特製の赤身肉1キロと、生卵を10個ぶちこんだ栄養ドリンクだ。
「ぷはぁ! やっぱりしゅぎょうの後のメシは最高だな」
俺がはち切れそうなシャツのボタンを一つ外すと、となりにいたリナがすぐにお口をふいてくれる。
「ディエス様、はしたないですよ。でも……そのたくましい首筋、今日も素敵です」
黒髪のリナがうっとりした目で見つめてくる。
エルザも、俺の丸太のような二の腕にそっと自分の細い指を重ねてきた。
「ディエス様……学園を卒業したら、わたしたちはどうなるのですか?」
二人の不安そうな問いかけに、俺はニヤリと笑って、自分の野望を語り始めた。
「決まってるだろ。俺は学園を卒業したら、正規軍の騎士に入る。そこで適当に暴れて手柄を立てて、あの『返上された不毛の地』をごほうびにもらうんだ。そこで開拓地を作って、死ぬまでゴロゴロして暮らすのさ」
俺は、遠くの空を見上げて言い放った。
「魔法使いのエリートたちが逃げ出した場所を、俺の筋肉で最高の楽園に変える。そこが俺のハーレムだ」
あまりに堂々とした「ぐうたら宣言」に、通りかかった生徒たちが「あんなにゴツいのに、考えてることはニートかよ……」とあきれ顔で通り過ぎていく。
俺は、となりに座る二人の目を見つめた。
「リナ、エルザ。君たちも、もし将来やりたいことができたら、いつでも言っていいぞ。ずっと俺に縛られる必要はないからな」
一瞬、しん……と静まり返った。 すると、リナとエルザが、俺の厚い胸板に左右からギュッとしがみついてきた。
「……嫌です。わたしは、ディエス様がいない世界なんて考えられません。一生、おそばに置いてください」
黒髪を揺らしてリナが訴える。エルザも、俺の腕を離そうとしない。
「わたしもです……。開拓地を獲るまではもちろん、獲った後も、死ぬまでお仕えします。……夜も、ですよね?」
二人の顔はリンゴのように真っ赤だ。でも、その目は真剣そのものだった。
「一生、ディエス様だけに仕えたいんです!」
(……くぅ?! 泣かせることを言ってくれるじゃないか)
俺は、二人の華奢な肩を、岩石のような太い腕で力いっぱい抱き寄せた。
「ガハハハ! わかった、わかったよ。だったら、一生俺のために尽くしてもらうぞ。開拓地のベッドは、最高にデカい特注品を作らなきゃな!」
俺がニヤニヤしながら言うと、二人は幸せそうに俺の筋肉に顔をうずめた。
こうして、俺の学園生活が幕を開けた。 最強の筋肉、最高の従者、そして「働かないための努力」という矛盾した夢を抱えて、俺は突き進む。
まずは、目の前で俺をライバル視しているボリスとかいう、ひょろひょろの公爵令息を、どうやって筋肉で分からせるかだな!




