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Rank.3 『補習と1位と地下校舎』

そういえば言い忘れてたんですけど、

順位ってのはランキングって読んでくれたほうがいいです。

 キーンコーンカーンカーン

 チャイムが鳴る。

 このチャイムは補習の終わりを告げる音色であり、完全下校を示す最後の合図でもあった。


「よーし、補習終了だ。今日配ったプリントは来週までに仕上げて先生の所まで持ってくるように」

「へーい」


 適当に生返事をして席を立つ。

 いつも通りといったところか、近くにいた瀬田が最麻に声をかけた。


「いやー、全教科補習とかやってらんねーよな最麻ー」

「僕は全教科じゃねーし、数学は補習してないから」

「……5教科も4教科もいっしょじゃね? つーか最麻って英語は俺に負けてるよなぶゴォあ!!」


 本日二回目の肘打ち。

 うずくまる瀬田を置いて最麻は教室を出る。


「ったく……、確か6時だったよな。まだ時間はあるか……適当にぶらつきながら行こうかねー」


 そんな感じで校舎内をぶらぶら歩いて時間を稼ぐことにする。

 校舎は4階建てで割と広いのだが最麻はやはり習性なのか迷う事無く1階まで階段を下りていった。

 午前に来た時はここに芹菜が現れたはずだ。

 しかし、午後に来た時……つまり今この瞬間に現れたのは、芹菜ではなかった。

 もちろん誰もいなかったわけではない。


 ……信じられない事だがそこには“学園最強”がいたのだった。

 より正確に言うと、最強の男と不良が4人。


「グ……市瀬いちのせ、てめェいくら強いって言ったってその程度か。第2位なら俺等なんて一瞬で気絶させるってのによ」


 不良のうちの1人がそんな事を言った。

 彼らは傷ついてこそいるが誰1人倒れている姿は見えない。


「違うよ、俺は手加減をしてるんだ。貴様等なんて雑魚に使う為の奥義なんて持ち合わせていないからな」

「なァ……てめッ調子乗りやがって!」


 市瀬は襲い掛かる不良を右足だけで蹴散らす。

 が、やはり手加減をされているようでそのままうずくまるような男はいない。


(午前には第2位で午後には第1位かよ……)


 階段を下りた直後だった最麻は同じ場所の偶然に驚く。

 武力順位912人中1位、市瀬慶司(けいじ)

 この学園内における順位において事実上最強の男。


「俺等はさんざんてめェに散々恨みが溜まってんだよ。裏で手を回して俺等を監視ってかァ? てめェ独裁者にでもなったつもりかよ」

「そうだ、お前さえいなければ学園は自由なんだよ」


 不良達が個人的な文句を市瀬にぶつける。

 が、特に市瀬は気にすることも無く、それどころか皮肉げに口元を吊り上げて、


「まったくこれだから雑魚は……。独裁者は他にいるってのに」

「あァ?」

「何でもないよ、それより貴様等はボコボコにして欲しいんだったっけ?」

「だからいつまで独裁者気取りだっての」


 誰にも聞こえないような本当に小さな声で呟いたのか始めの言葉は不良達には聞こえていなかったようだ。

 市瀬は一度、携帯を取り出し時刻を確認するとそのまま不良達の元へと歩いていく。


「な……ついにやる気をだすってのかッ!?」

「すまないな。用事を思い出したもんで……」

「てめェら用心しろ、何かしてくる気だ!」

「────さっさと消えてくれるかな」


 不良の中でもリーダー格の男が市瀬の闘気(オーラ)の波長が変わったのに気付いたようだがもう遅い。

 気付けば不良達の体は宙を待っていた。

 その速度は常人からみたら一瞬と呼べるものだった。

 彼等はいとも容易く意識を手放す。


 タン、と何事も無かったように立ち尽くす市瀬。

 だがその視線は最麻のほうに向けられたいた。


「お前、2-Bの風峰最麻だな」

「え……まぁ、はい」


 突然名指しされたせいか最麻は曖昧な返答をする。

 しかしそれ以前に少し疑問に思う。


(何故、僕の名を……?)


 この学園はそれぞれ1年と3年は北校舎、2年は南校舎という風に分けられている。

 3年である市瀬とただの2年の最麻には顔を合わす機会すらほとんどないのだ。

 それでも考えれば名前が珍しいとかそんな理由は思いつくのだが彼はそこまで頭を働かせなかった。

 むしろ、話す暇が無かったといったほうが正しいのかもしれないが。

 気が付くと市瀬は最麻の目の前まで来ていた。


「御崎から話は聞いていたが……見た目はホント雑魚そうな奴だな」

「いやー、実際雑魚ですs」


 だが最麻が全てを言い終わる前に彼の体が地面に叩きつけられた。

 またも、一瞬の速度で。

 それでも最麻は表情をほとんど変えなかったが。


「……何するんですか市瀬先輩」

「噂通りの様だな。打たれ強さ順位ランキング912人中1位。及第点には達した」

「…………は?」


 いきなり何を言うのだろうかこの男は。

 そんな事を思っていると市瀬は笑いながら、


「第2位と約束をしているのだろう? 地下校舎に行くぞ」


 平然とそんな事を言い放つ。

 やはり俺は事態が飲み込めなかった。




人ってのは自分が思っている以上に有名人だったりするもんなんでしょうか?

作者はよくお前誰? などを言われてますがね……。

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