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Rank.1 『寝てました』

自分の出せる限りのネタと構成力で頑張っていこうと思います。

「ではこの前の数学のテストを返すぞー」


 教師の無機質な声が教室に響く。

 それに呼応するかのように一部の生徒がテストの点数での賭けを始めた。

 教師はそれをあまり気にしない様子で言葉を続ける。


「ちなみに平均点は36.2点だ。この半分、すなわち18点以下をとった者は補習だからな。今少しでもヤバいと思った奴は神にでも祈ることだな。……特にそこの瀬田せた!」


 教師がビシっと窓際最後列の席を指差す。

 瀬田は自分が呼ばれたことに気付くと薄く苦笑いをし、


「やだなー先生。それじゃまるで俺が馬鹿みたいじゃないですか」

「……まさか本当に自分が補習じゃないと思っているのか?」

「さっき先生はヤバいと思った奴は神にでも祈っておけって言いましたんで俺は神に祈ります」


 そうか、と教師は小さくため息をつき、答案用紙を何枚かめくった。

 瀬田はその行動の意味が分からなかったのだが、次の瞬間に強制的に分からせられる事になる。

 ピラ、と取り出された答案用紙にはこんなことが書かれてあった。


「瀬田弘一(ひろかず) 13点。お前は補習だ」


 ガーンと言う効果音が似合いそうな勢いで瀬田は崩れ落ちた。

 彼の周りにいた何人かの生徒はそんな姿を見てくすくすと笑う。


「あの馬鹿の事は気にせずに続けるぞ。出席番号1番、天梨(あまなし)真水まみず


 はい、と言う声を上げて名前を呼ばれた女子が立ち上がった。

 テストを受け取るとその点数を隠すようにして席に戻っていく。

 真水が席に座ると、その隣の席にいた女子が彼女に声をかけた。


「ねー真水、何点だったの?」


 真水は見せるか見せないかを一瞬考えたが、彼女はそっと耳元で囁いた。

 誰にも聞こえないようにするためだ。


「……97点」

「97点ッ!?」


 むしろ全員に響き渡った。

「おいおいマジかよ……」「今回難しかったはずなのに」「俺は学歴社会に絶望した!」と言った呟きがクラスのあちこちから聞こえ出す。


「何で大声でいうのよ千早ちはやぁー!」

「だ……だってそんな点数高いなんて思ってなかったもの」


 まだテストもあまり返却できていないのにもかかわらず教室がヒートアップしていく。

 しかし生徒の全員が騒ぎ出しているかのように思えた教室の中、ただ一人(。。。。)静かな時間(。。。。。)を過ごす生徒(。。。。。。)がいた(。。。)


「…………」


 その生徒は授業中、しかもテストが返されるというこの時間に爆睡していたのだった。

 教師は次の生徒の答案用紙とその生徒を見る。

 何度も見比べ、その上で言った。


 「確かに97点は全クラス307人中3位という素晴らしい出来だが、このクラスには満点を取った者がいる」


 会話をしていた生徒達の視線が教師の下へと浴びせられる。


「嘘だろ……ッ!?」「そんな天才いたっけ」「学歴社会なんて腐ればいいんだ!」などと、先ほどと同じメンバーの呟きが聞こえだす。


 教師はそれらの言葉を受け流すと、自分の立つすぐ前の席……爆睡していた生徒を見下ろした。

 忌々しそうに答案用紙の名前を読む。


「出席番号4番、風峰(かざみね)最麻さいま 100点 全クラス307人中1位だ」


 爆睡していた生徒、もとい最麻は自分の名前を呼ばれたことで目を覚ましたのか、すっくと真面目な優等生のように背筋を伸ばした。

 まるで寝起きとは思えない速度で目の前にある自身の答案用紙を覗き込むと、彼は言った。


「わお、僕100点じゃないですか」


 瞬間、辺りは静まり返った。



主人公の出番が最後にしかないってどういう始まり方なんだよオイ。

Rank.2からは少し進展があったり、キャラももっと増えたりすると思うのでよろしくお願いします。

評価、感想をして下さると感謝します。


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