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 週末の土曜日がやって来た。

 今日はエトワールの案内で、彼と対面する時だ。

 本当ならば断るのがいいのかもしれない。

 だが彼のメールには、何というかこう、従わざるを得ない圧を感じた。

 そして私はこうして、とある駅に来ているのだが……。

「なんでここなの……」

 この駅は、私がこの世で一番詳しい駅。

 最も沢山乗り降りをしてきた駅。

 そう、私の前の身体、つまり男としての自分の、最寄り駅である。

 なぜよりにもよってこの駅なのか。

 他に駅なんて沢山あるだろうに。

 この駅がターミナル駅とか始発駅とかそういう理由ならばまだ分かる。

 だが、別段普通に特別そういった事情がある訳でもない。ただの平凡な、住宅街があるだけの駅だ。

 駅前こそ普通にスーパーやらコンビニやら飲食店やらがあるが、それも別に有名とかとても大きいとか、そういうこともない。

 本当に普通の、どこにでもある駅なのだ。

 それを、よりにもよって……。

 とまあ延々と愚痴を垂れ流してみたものの、だからどうした、という一言も同時に浮かぶ。

 駅の利用者なんて沢山いるのだ。たまたま同じ駅だからといって……。

 いや待てよ。

 もし、エトワールなる男が元の俺が知っている人物ならばどうしよう。

 ……どうしてくれようか。

 元男である私の同級生のチャラい男とかがこの身体の持ち主である彼女を手練手管てれんてくだで持ってだまくらかして、それでこれからついに……。

 許さん! 絶対に許さん!

 もしそんな奴が相手なら、股間をこのヒールで思いっきり蹴飛ばしてやる!

 そんな心持ちでいたのだが、今の私の恰好は、中々にキマっている。

 というか、なぜかエトワールから指定があったのだ。

一張羅いっちょうらで来てね』という、よく分からないメールが。

 一張羅? スーツ? いや女性だからスーツは違うよなぁ……ならばドレス? うーんそれも違うような……。

 女の一張羅ってなんなんだ!? 振袖ふりそで!?

 と混乱した挙句、なぎさや陸上部の面々に聞いたら『えっデート!? デートならおめかししないと! ってかどこの誰だほら教えなさいよ』とかおかしな話になったので『違う』と一言だけ返して終了した。

 だが彼女の言う通り、デートのおめかしでコーデを行うなら、そこまで難しくないのかもしれない。

 そして一張羅的な要素を満たすならば、フェミニン系とかふんわりガーリー系ではなく、フォーマル系とかエレガント系をメインにして全身を包めばよいのではないか、と。

 という訳で今日は、トップスはインナーに黒いキャミソールというか肩ひも部分の無い、チューブトップとかいう名前だっただろうか、そんなインナーの上に黒ブラウスを着ている。但し肩と袖はシースルーで大人っぽさを出しつつ、アウターには丈が短めのものをチョイスした。このアウターだけを来たらおへそが見えてしまいそうなやつだ。そしてボトムスは……やっぱりプリーツスカートでちょいミニ。これで可愛らしさもアップである。そしてなんというかもう慣れたので、ガーターはいつもの感じで。ちなみに色合いはほぼ黒で統一してある。この身体になったが明るいのはどうも慣れない。もっとも彼女のクローゼットの色が割とモノトーンで統一されているから、という理由もあるのだが。

 これならそれなりに一張羅だろうか、と思いつつ、それでも少し不安だった。

 という訳で一張羅をキメながら、独りぼっちでどこぞの駅前に立っている、私。

 正直、場違いかもしれない。

 自分で言うのもなんだけど、かなり気合を入れたファッションかもしれない。

 どこぞのモデルか、芸能人か、なんてオーラが出ているかもしれない。

 少なくとも自宅で鏡を見た時には、私自身それくらいの凄味すごみを感じたくらいだ。

 そんな女が、渋谷とか新宿とかそういう繁華街はんかがいではなく、こんな住宅街の駅前で立ちんぼしている。

 周りからはどう見られているのだろうか。 

 先ほどからは駅に向かったり駅から出てくる人がちらちらどころかジロジロ見てくる。

 老若男女問わず、だ。それくらい目立っている自覚があるので、やはりといったところだろう。

 当たり前のようにジロジロ見て、そして何事もなかったかのように去っていく。

 別に芸能人でもないので、話しかけられたりサインを求められても困ってしまうのだが。

 それにしても、エトワールはまだだろうか。

 いつまで私を待たせるのか。

 女を待たせるということがどういうことか、知らぬ訳でもあるまいに。

 到着したら、ただじゃおかないぞ。

 そんなことを思っていると、不意にスマホに連絡が入る。

 メールだ。しかもエトワールから。

 もしかして、遅刻を謝罪する文面か? そうなのか?

 私はむぬぬ、と思いながらもメールを開いた。

 すると文面には

『着いた? 着いたら東口から出てまっすぐ進んで。

 荒神あらがみ神社前って交差点があったら左に曲がって。交差点過ぎたらまたメールして』

と書かれていた。どういうこと?

 ってかエトワールは来ないのか!?

『駅前で待ち合わせじゃないの?』

と送ると

『いいから』

ときたもんだ。良くないぞ、こちとら。

 全く何を考えているんだ、女を待たせたどころか目的地までメールで誘導だと!?

 非常識もはなはだしいわ!

 とぷりぷりしながら歩く。そんな気配を察してなのか、路上を歩く人達も私に対する視線をジロジロからちろりに変更した。

 どうやら私の怒りオーラが漏れ出ているのかもしれない。

 ぷりぷりしながらも歩いていると、やはり最寄り駅だからなのか懐かしい景色が続く。

 そういえば昔はここに古い家建ってたんだけどなー、今は綺麗になっちゃったなー。

 あっそーいえばここの大きなお屋敷も取り壊してしっかり分譲されちゃってー。勿体ないなー。

 益体やくたいも無いことを考えながら歩くと、例の交差点に着いた。左へ曲がりながらメールを送る。

『交差点着いた。曲がった』

『そこから四つ目の十字路を右。それから六軒目の左側の家』

『分かった』

 私は簡潔に返す。そして頭の中は彼ことエトワールのことで一杯である。

 人様を最寄り駅に呼び出しておいて、そしてなんと自宅までメールで適当に案内するとか!

 するとか!

 エスコートとして最低最悪ではないか!

 ではないか!

 普通の相手ならこんなことされれば放り投げて帰っているはずだぞ!

 はずだぞ!

 ……と私の気持ちを心の中のオーディエンスに反響させるように言わせながら、私は怒りのボルテージを上げつつ四つ目の十字路を右に曲がる。

 えーっとそこから確か六軒目の左側の家か。ってことは左側を数えて一軒二軒……。

 唐突に気付く。

 この通り、妙に見覚えがある。

 そして五軒、六軒目。この家だ。

 この家……この家。

 表札を見る。

 いや、見るまでもない。

 門構もんがまえ。玄関。窓、屋根。

 何もかもを私は知っている。

 この家は……私が誰よりも詳しい。

 間違いなくエトワールよりも詳しい。

 なぜならその家は……私がこの『私』になる前の、『俺』であった頃の自宅なのだから。


 私は震えながらエトワールにメールを送った。

『本当にここ?』

『そう。【御統】って表札。着いたら呼び鈴鳴らして』

 合っている。私の苗字だ。

 とすると……エトワールって……元の俺のことか?

 それとも両親? 誰?

 母親か? それとも父親か?

 父親がこんな小娘と援交でもしていたというのか?

 それとも母親が彼女と? どこで知り合った?

 えっ俺? 俺はそもそもこんな美人の娘は知らない。

 知っていたら流石に覚えているはずだ。

 どこかで助けた相手とも思えない。

 いかん、自分でも何がなんだか。

 混乱の極致きょくちになりながら、私は玄関前の呼び鈴を押した。

『はい』という声に、私は懐かしさを覚えた。

 あの声は、お袋こと母親の声だ。

 この時間ならば、お袋は普通に家にいるだろう。

 私はなんと話せばよいか、と一瞬固まったあと、無難に応える。

『あの、鴾連木むつらぎと申します』

『はーい』

 私が自分の苗字を自身無さげに話すと、お袋こと『俺』であった頃の母親は明るい返事と共にブツリと切られた。

 自分の家にチャイムを押して玄関扉が開くのを待つなんて、なんとまあ落ち着かない気分なのだろうか。

 それも普通に帰宅したのではない。別人になりすまして精一杯の一張羅コーデをしてきた状況で、である。

 どんな顔をしてよいのか分からないし、何を話せばよいのかも分からない。

 そもそも今日はこんなはずではなかったのだ。エトワールに会って一言、いや一発入れる為にここまで来たのに。

 どうしてこちらが混乱しなくてはならないのか。

 頭がぐちゃぐちゃになっていると、玄関扉が開いて更に私の混乱は増していく。

「あらー薫ちゃん久しぶりねーすっごい綺麗になっちゃってーもー。元気してた?」

 えっ!? お袋は彼女のことを知っているのか?

 それともお袋こそがエトワールなのか? ならばエトワールは男でなくて女?

 もう訳が分からない。

 だがこの返答にはとりあえず無難に返しておく。

「えっと、はい」

「アイツは二階の部屋にいるから。さっさと上がってやってね。そこの階段上って左の扉だから」

「はい。ありがとうございます」

 玄関に引き込まれるようにして入り、靴を脱ぎ、ぺこりとお辞儀をして、そのまま二階への階段を上る。

 知っている。何もかもが知っている。

 我が家だ。

 一から十まで知り尽くした我が家を、知らない身体で歩き回る。

 不思議な感覚だ。胃が、腸がぞわぞわする。

 まるで舞台に上がる前のどうしようもない武者震いのような緊張感、あれにそっくりだ。

 いや舞台になんぞ上がったことは無いのだけれど。

 もしかして私は、エトワールに会うことを緊張しているのか。

 しかしやはりエトワールとは過去の私、つまり『俺』のことなのか。

 『俺』は結局、死んでいないのか。

 あれから一体、どうなっているのか。

 それとも『俺』がいた世界とこの世界は似ているようで違う世界、つまりパラレルワールドのようなものなのだろうか。

 何もかもが分からないまま、私がぐるぐるしている中、真っすぐの階段が私を一歩一歩、二階の自室だった所へと引き寄せていく。

 そして、その扉の前へと立った。

 この、人生で一番開閉しただろう、自室の扉の前で、私は今、ぐるぐるがぐるぐるしていた。

 これ、ノックでもした方がいいのか?

 自分の部屋なのに?

 いや、今は自分の部屋ではないのだけれど。

 そもそも、自分の部屋に誰かいるかもしれない? なんで?

 ああ、私が私じゃないからか?

 なんでなんで?

 私としてのアイデンティティすらぐらつきはじめる中、部屋の主の声がした。


「どうぞ」


 知っているようで、知らない声だった。

 俺のような声で、俺のような声でなかった。

 私はごくりと喉を鳴らし、夜の学校の物音のする理科室の扉を開けるように、そーっとその扉を開けた。

 すると途中で扉がぐいっと一気に開けられて、私はそれに引きずられるように身体を持っていかれた。

 そんなふらつく私を慌てたように支えてくれる手があった。

「大丈夫?」

 私はぐるぐるになりながらも、その声の主を見た。


「……誰?」


 その男は、私の部屋なのに私と、いや過去の『俺』のようで『俺』ではなかった。

 何しろイケメンなのだ。

 いや元の『俺』がどうしようもない不細工だったかと言えば、自身の名誉の為に言わせてもらうと、そこまで非道ひどくはなかったと思う。

 ただ十人が十人振り返るようなイケメンでは決してないし、まあ普通とかそこそことか悪くはないとか、そういう評価が下されるであろう。

 だがしかし、私の正面に立つ男はどうか。

 十人が十人、とまでは言わないが、十人のうち六人くらいは振り返るのではないだろうか。

 それくらいのイケメン度は確実にある。

 男性アイドルならば六人中で三から四番目くらいの人気はありそうな感じだ。アイドルの面子によっては二番手すらあり得る。

 なぜこんなイケメン度の高い男が俺の部屋にいるのだろうか。

 俺の友人にもこんな顔の奴はいなかったはずだ。

 私の困惑顔を他所に、彼は私の手を引っ張って、

「座って」

 とエスコートしてくれた。

 私は目の前のイケメンのいうことを思わず聞いてしまい、部屋にあった椅子に座った。

 その椅子は、私が、そう過去の俺が、ずっと座ってパソコンをいじっていた、馴染みの深い椅子だった。

 不思議な、感覚だ。

 自分が今までずっと過ごしてきた部屋に、お客様として案内される感覚。

 この感覚を、どうやって説明したらいいのだろうか。

 自分の居場所を取られたような? あるいは、それによって自分が他人に成り代わられた、ような?

 ……よく考えればそれが事実なのである。

 現に私は別人へと成り代わっているし、その間に私の元の俺に、別の誰かが成り代わっていることなど、何もおかしくないのだから。

「何から、話す?」

 私の目の前の男は、ゆっくりと私にそう告げてきた。

 私も、何から話そうか、少し戸惑う。

「じゃあ、まず。貴方は誰?」

「私は『私』」

「え?」

 なんと、自分は自分発言をされてしまった。

 鏡の中の私が喋るならまだしも、今話しているのはどこぞのイケメン君なのである。

 またまた訳の分からぬ妄言を話されましても。

 私の困惑顔に、彼は言葉が足りないと思ったようだ。

「私は『私』で、『私』は私。それだけ」

「それだけって……」

「はぁ」

 彼は溜息を吐いた。どうやら私の物分かりの悪さに、焦れてしまったのだろう。

「貴方の名前は?」

「名前?」

「そう。名前」

「私の名前は鴾連木むつらぎかおる

「違う」

 なんと、私は自分の名前すら否定されてしまった。

「貴方の、本当の名前」

 ごくりと、喉が鳴る。

「貴方の、元の名前」

 彼女は、私の正体を知っている。

 私が、俺だということを。

「貴方の元の名前は、御統みすまるあきら

 もう、何も言い訳出来ない。

「そして、この部屋の主で」

 どうしよう。

「貴方の、目の前にいる男」

 ……へ?

「そして、その正体が、エトワール」

 ん?

「どう? スッキリした?」

「いやいやいやいや」

 彼女は自慢げにふふんと笑っていた。

「何が間違ってる?」

「途中まではそうだけど、途中からおかしい」

「どこから?」

「『貴方の、目の前にいる男』あたり?」

「なぜ?」

「私は、いや俺は、俺のことをよく知っている。俺は、残念ながらアンタほどイケメンでもかっこよくもない」

 そんな私の言葉に、彼はむっとしたようだった。

「それは違う。貴方は貴方自身の魅力を何も分かっていなかった」

「へ?」

「私は、この身体になってそのことに絶望した。自分をかっこよく、綺麗に見せるのはそう難しくない。見た目を綺麗にして、整えるだけ。それだけでこんなに変わる」

「いや、それにしても変わりすぎだって……そこまでシュッとしてなかった気がする」

「肉体改造は難しくない。適切な食事と日々の運動、それとトレーニングでなんとでもなる」

「わぁお」

 全国のダイエットに挫折して泣いている皆さまに聞かせてやりたい台詞である。それが出来なくて苦労している人がどれだけいることか。

「だから、今の私がこの身体の真の姿。むしろ、まだ途中なくらい」

「そんな」

「努力すれば、もっとかっこよくなる」

「信じられない」

「事実」

 彼女の圧は、強い。

 もう私には、何も言えなくなっていた。

「……分かった。信じられないけど、とりあえずそういうことにする」

「頑固」

 そうは言うが多分世間に聞いてみたらそっちの方がおかしいって言われると思うぞ。

 私は間違ってない。きっと。

 でも今そこを話してもどうにもならない。私はもっと、大事なことを聞いてみることにした。

「それで、どうして貴方がエトワールなの」

 私がそう言うと、彼女は寂しそうな顔をした。いや彼女ではなくて肉体の方はイケメンの男性なので、本来は彼と呼ぶべきところをつい彼女と呼んでしまったが、これはもう許して欲しい。

「覚えて……ない?」

「僕にこんな美人の知り合いはいない」

 そう言うと彼である彼女はくねくねとし出した。どうも恥ずかしがっているらしい。

「が、頑張った……から」

「何を?」

「アナタに……褒めてほしかった」

 ……なんだかよく分からない。

 何がどうしたら、私に褒めて貰う為に綺麗になる努力をするのだろうか。

 だが目の前の男は……彼である彼女は、私のことをじっ、と見つめてくる。

 これはアレだ、子供が褒めて欲しい時にやる顔だ。それくらいは分かる。

 ……まあなんだ、そうやって『私のために』なんて言われてしまったならば、私もやぶさかではない。

「そう……とってもよく頑張ったね。立派だね」

 私がそう言うと、今度は彼女がぱああぁっ、と満面の笑顔になった。

 忙しい顔だな、と思いつつもう少し褒める。

「正直、毎日この身体を見てるけど未だに興奮する。美人すぎて持たない。それと私がこの身体になって毎日頑張ってるつもりだけど、君の努力の結果には遠く及ばなくて大変。ここまで努力を続けられるなんて本当に凄いよ」

「ホントッ!? えへへー」

 照れ照れ、とまるで擬音が聞こえるかの如く、彼である彼女は照れまくっていた。

 彼女の話によると目の前にいる男が元々の私の肉体であるらしい。

 正直、面影が微塵もない。

 もしかしたらあるのかもしれないが、二週間というには濃密すぎる時間を私は別の身体で過ごしたことで、私の記憶も曖昧になっているのかもしれない。

 それくらい自分とは思えない人間が、私の正面に存在しながらまるで乙女のように頬を染めていた。

 その後彼である彼女はしばらく照れまくっていたが、ハッと何かを思い出した顔付きになって、今度は私を睨み始めた。

「誤魔化さないで」

「いや誤魔化してないけど」

「私のこと……本当に……覚えてないの?」

 そう言われても……と私は必死に過去の記憶を掘り起こす。

 年も結構違うし、彼女は兄や姉もいない様相ようそうだったから誰かの妹という線も薄い。

 小さい頃に近所で遊んだ? いやそんな記憶も……。

 そう思っていると、彼である彼女はぼそりと言った。

「法事。おっきなお寺」

 法事? おっきなお寺?

 小さな……女の子?

「あっ!?」

 私の声に、目の前のイケメンが反応する。

「もしかして、あの無口のお嬢ちゃんか!?」

 そう言った瞬間、彼である彼女は私に飛び込んできた。

「嬉しい!」

 私は勢い余って背中を椅子にぶつけた。

「うぐっ」

 変な声が漏れるが、彼である彼女は私に首ったけだ。

 こりゃどうにもならんな。

 ……さて説明せねばなるまい。当時の私と彼女との関係を。



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