薄い朝
続きです。
そして、夜明けは訪れる・・・・・・。
「んぁ・・・・・・?」
凝り固まった筋肉に、背中に伝わる硬い感触。
特にお尻の骨のでっぱってるところが痛かった。
部屋には早朝のまだ薄い朝日が差し込んでいる。
そしてわたしを挟むようにして、シュルームとサチが寝息をたてていた。
昨晩のことを少しずつ思い出してくる。
あの晩、結局くだらない話が盛り上がって・・・・・・けどしっかり眠くなってきちゃったわたしは、眠気で思考能力も落ちていたのだろう・・・・・・床に寝転がり始めるという暴挙に出た。
その後もしばらく起きて話はしていたのだけれど、夜更かしというのはシュルームはおろかサチの理性まで溶かしてしまったようで、後半は三人床に寝そべって駄弁っていたのだ。
そしてそうしている間にいよいよまぶたが持ち上がらなくなって・・・・・・今に至る。
本来誰もここでこのまま眠るつもりではなかったため、掛け布団も何もない。
特別寒いというような気候ではないが、それでも布団無しで夜を明かすのには少し寒い時期だ。
それでも途中で寒くなって目を覚ますようなことがなかったのは、きっと三人でくっついていたせいだろう。
体の節々に残った痺れとか、軽い疲れに「あちゃー・・・・・・」と思う。
存外寝足りない感じはしないが、体の疲れが抜け切ってないのは明らかだった。
二人を起こしてしまわないように注意を払いながら、ゆっくりと上体だけ起こす。
軽く伸びをすると背骨のどこかが音を響かせた。
さて、わたしにしては珍しい早朝の希少だけど、どうしようか。
早起きは三文の徳というが、なんだかここで起きて活動を始めてしまったらそれこそ損のような気もしてくる。
しかし、どうせ寝るならちゃんとベッドで二度寝したいところだ。
そうなってくると、必然的に2階の自分の部屋に向かう必要があるわけだが、このくらいの時間になるとダンにわたしが起きていることが気づかれてしまう。
ダンに見つかったら、この時間から再び眠り始めることは許されないと考えた方がいいだろう。
手詰まり感のある状況にどうしたものかと考えていると、誰かが階段を降ってくる。
マズい・・・・・・そう思ったときは既に手遅れで、降りてきた人物と目が合ってしまう。
ただその人物はダンではなく・・・・・・手頃な掛け布団を手に抱えて降りてきたプルームだった。
「あれ、帰ってたの?」
「ああ、さっき丁度ね。そしたら三人が床に倒れてるんだから・・・・・・何かあったのかと思ったよ・・・・・・」
「あ、あぁ〜・・・・・・それは、ね・・・・・・」
自分たちの惨状に頰を掻く。
プルームにとはいえ、なかなか恥ずかしい姿を見られてしまった。
かと言ってプルームはそのことを別段気にするでもなく、こちらに歩み寄ってきた。
「コレ、ボクの部屋から持ってきたから。二人にかけてやって・・・・・・」
「え・・・・・・ああ、うん。ありがと」
プルームがわたしに手渡したのは、運んできた布団。
薄い生地のものだが、まぁこの時期なら十分だろう。
布団を広げて、ゆっくりとわたしたち全体に行き渡るように被せる。
「って、コーラルもまだ寝るつもりなのかよ」
「へへ、丁度布団が欲しいと思ってたとこなんだ」
また同じ位置に寝転がって、サチとシュルームの間でプルームの顔を見上げる。
さすがにプルームもそれには呆れたようだった。
「プルームは・・・・・・よく寝られた?」
「それは・・・・・・むしろボクがキミたちに聞きたいけどね・・・・・・。ボクに関しては・・・・・・むしろ最近なかなかないくらい深く眠ったと思うよ」
「あ、そう? それならよかった」
プルームの言葉に笑って答える。
わたしがよく寝られたかどうかは見てお察しの通りだ。
こんな場所で快眠できるはずもない。
「はぁ・・・・・・どうせ寝直すなら部屋に行って寝なよ。まぁいいけど・・・・・・」
プルームはわたしの頭を軽く撫でてわたしの近くから去っていく。
椅子を引く音が聞こえたから、たぶんどこかに座ったのだと思う。
ここからじゃ姿の見えないプルームから、声だけが届く。
「コーラル、朝は何が食べたいかい?」
「え、今日の? そんなの・・・・・・プルームの作るのだったらなんでも!」
「なんでも、ねぇ・・・・・・。それが一番困るんだけど・・・・・・」
口ではそう言いつつも、その息遣いはどこか嬉しそうだった。
案外、プルームって簡単な男だ。
続きます。




