【七夕特別編】『天翔ける』
「あれが天の川。ミルキーウェイとも言うわね」
無邪気な顔で、立華は満点に広がる夜空を指さしていた。何度タイムリープしたかはもう忘れてしまったけど、俺と立華は初めての七夕を過ごしている事になる。
夜の学校に忍び寄り、屋上に駆け上がる。その屋上に広がる夜空は、なんだか特別であるかの様な気がした。
「りっちゃんは天体に興味あったんだね」
「だってロマンティックでしょ?」
「あー。ソウデスネ。ウツクシーナ」
「はぁ。ゴロちゃんは昔から美的センスないもんね」
「確かに! でも、人を愛する感情ぐらいは俺も美しいと思ったりもするだぜ?」
「絶対嘘だ」
「嘘じゃ無いさ。俺は立華を世界で一番愛してるんだから」
照れ臭い言葉を吐いてしまい、俺は顔が赤くなってしまった。だが、それは同時に立華もそうである。顔を赤くして、急にしおらしくなっていた。
|(まぁ、天の川は確かに美しいけれど……)
俺は織り姫と彦星の話しを思い出していた。悲しい恋の話しだけどね。俺は死ぬことでしか、立華と会う事が出来ないというのも考えれば、彦星も似たような気持ちになるだろう。
彦星と織り姫は年に一度、天の川が現れる七夕にしか逢えないのだから。俺と彦星は境遇は違えど、もしかしたらお互いに良き理解者になっていたかも知れないなと妄想に耽っていた。
「なぁりっちゃん?」
「どうしたの?」
「俺はりっちゃんを愛してる」
「ちょ……。急に何言い出すのよ!」
「りっちゃんはどうなの?」
「ーーそんなの言わなくても分かる……。でしょ?」
「いや! 言葉で欲しいんだ!」
「私だってゴロちゃんのこと愛してるわよ!」
「分かった。ありがとう。嫌なら避けろよ」
「ちょっと! ……んっ//」
天に広がる夜空を背景に俺は、立華の唇を熱く塞いだ。お互いの愛を誓う為に。
ーーもう二度と立華を失わないように。
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