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第6話『予兆』


 立華を見送り俺は、急いでデパートに向かっていた。目的はというと、彼女の気に入っていた真紅に輝くブレスレットをプレゼントしてやりたかったんだ。


 あのニカッと笑う彼女が気に入った物だから。まぁ、お互いの付き合いの誓いも兼ねて、俺は立華の誕生日を祝いたい。


 閉店時間ギリギリに来店した俺は、大金をはたいてプレゼントを購入した。包装をしっかりして貰い、一日遅れではあるが、明日にでもサプライズをしてやろうと意気込んでいたのです。


♦︎


 深夜零時、日付が変わってしまった。俺はこのタイムリープで初の惨劇を回避したんだ。やってやったぞと、気分も高揚感が増している。


 でも、これはちょっとした災難を払ったに過ぎない。本当の絶望はここからだろう。俺は『立華』の彼氏になったんだ。タイムリープ前では絶対に有り得ない事態だけど、俺にしか出来ない事がある。


 だからこそ、立華に振りかかる死のループも俺ならば変えられると信じたい。今後の期待と絶望に立ち向かう為に、今日は眠りに着くことにした。


♦︎


 早朝に目が覚めて俺は、学校へ行くために身支度を淡々と始める。今日の授業で必要な教科書、提出用の宿題に立華にプレゼントするブレスレットを忘れないように、通学カバンに仕舞い入れようとした。


 通学カバンに手を突っ込もうとした時、手に馴染む、妙な違和感が俺を襲っていた。


 「なんで『時渡り』が俺のカバンに入ってるんだ!?」


 不吉の知らせかのように、その刃物は俺の前に姿を現した。


 もしや、また立華は命の危機にあるのかも知れないと思い、俺は自転車に跨り必死に学校まで向かった。そして、学校に着いた俺は、この時間であれば立華が先に登校しているのを知っていたので、焦りながら教室の戸を開ける。


 「あれ? ゴロちゃん今日は早いんだね」

 「りっちゃん! 何もなかったか!?」

 「何言ってんの? 何もないけど」

 「あー……。 ならいいんだ」

 「ゴロちゃんの方がどうかしちゃったんじゃないの?」

 「ごめん。どうやらそうらしい」


 立華が無事でとりあえずは安心した。せっかく昨日を乗り越えたのに、今日で死にましたじゃ洒落にならんからな。安堵しながらも、未だに不安も隠せないでいた。


 『時渡り』が現れるのは、決まって惨劇の前触れであるからである。つまり、ここから先は、何が起こるか分からんぞとのお告げなのかも知れない。


 「そうだ! ゴロちゃん今日は私とデートしよ?」


 凛として美しい笑顔で、俺をデートに誘ってくれた。立華は、恐らくデートというものは初めてだろう。俺がしっかりエスコートし、死のループから確実に守らねばならない。


 その笑顔に魅了され、俺は人生二度目の初デートの約束を取り交わした。


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