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第5話『告白』


 三度目のタイムリープでも、相沢立華は俺の目の前に居なかった。智和に叩かれた痛みを少し堪えて、タイムリープで起こったことを俺はおさらいする。


 まず、分かったことがある。立華は必ずしも、八月三十一日に死ぬ訳では無いということだ。二回目のタイムリープで、俺は何かをしくじったのだろう。


 二回目のタイムリープでは、立華は何者かに殺害されて、三回目のタイムリープでは、明らかに自殺していた。


 つまり今日という日をどうにかしなければ、立華は確実に死んでしまうだろう。そんなこと、絶対にさせてなるものか。


 立華と約束したんだから。


 『未来で私のことを愛してると言ってくれる?』


 言いたいさ。けど今までの俺は、陰キャの駄メガネ。ひよって立華から逃げていた臆病者だ。だからこそ、俺は思いの丈を本気でぶつけなければいけないんだ。


 『俺は相沢立華を愛しています』


 ただそれだけと言うと変だけど、思いを伝えれば何かが変わると俺は信じたいから。ただ、がむしゃらに俺は突き進むしかない。


 「え、え!? どこ行くんだよカラオケは?」

 「また今度な!」


 立華の行き場所は、前回通りならきっと自宅に帰っている途中だろう。同じことを繰り返しているので、思ったより早く立華と鉢合わせる事に成功していた。


 「りっちゃん、やっと会えたわ」

 「え? どうしたの?」

 「言わなければ、伝えないといけない事がある」

 「ここ路上何だけど……」

 「構わん!」


 意を決して俺は、立華に思いの丈を全て吐き出す。もう後悔などしたくないから。絶対に助けると、前のタイムリープで約束したからだ。


 「俺はりっちゃんが好きや。俺が絶対りっちゃんを救うから! だから俺と付き合ってくれ!」

 

 普通は、『幸せにするから』が正解なんだろう。けど俺はあえて『救う』とプライドを懸けて口にする。彼女からしたら、意味分からんだろうがこれでいい。


 この『告白』でどう未来が変わるのか、この目でしかと、見届けなければいけないのだから。


 すると、立華は少し涙ぐみ、いままで見たことのない様な美しく笑みで俺の言葉に返事をした。


 「もう。何十年待たせるのよ。私もゴロちゃんのこと好きなんだよ」


 「えぇ! そうだったの?」


 「当たり前よ。だから、いろんな男子にアプローチされてたけど断ってたんだから。いつかゴロちゃんが好きだって言ってくるのを信じてたの」

 

 「それは、すみませんでした……」


 そういう理由だったのか。ただ冷徹に、男を振っていた訳じゃ無かったみたいで俺は安心する。でも、立華も俺のことが好きだと言った時は、度肝を抜かれてしまった。


|(まさか両思いだったなんて……)


 未来は、もしかしたら本当に変わるのかも知れない。言わなければ、伝わらないこともあるのだから。このタイムリープで、絶対に立華の死のループを俺は止めてみせる!


 お互い照れ臭くなってしまったが、今日だけは仲良く手を繋ぎ昔に戻ったみたいに、笑い合いながら立華を自宅に見送った。



お読みいただき、ありがとうございました!


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