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第2話『初デート』


 「ゴロちゃん何で泣いてるの?」

 「こんな日が来るなんて思ってなかったからさ」

 「何それ意味分かんない」


 そのまんまの意味なんだけどね。まさか、本当に時を渡り死んだはずの相沢立華に再会出来るなんて思ってなかったよ。狂気に掻き立てられて『時渡り』を使ったのは、きっと正解だったのだろう。


 そして、この後の流れというのも俺の記憶が正しければ勿論把握している。この時俺は、変に照れ隠しをして素っ気ない態度を相沢立華にしてしまっていた。


 わざわざ心配してくれたのに、薄情な奴だと自分で自分を笑ってしまった。情け無い奴です。だが、俺の行動で少なからず記憶に存在しない出来事が起こりつつあるのです。


 「ねぇ。私の買い物に付き合ってよ」

 「え、えぇ!?」

 「何? 嫌なの?」

 「いえ! 是非行かせて頂きます!」


 過去の俺を悔やむしか無かった。相沢立華の話しをしっかり聞いていれば、俺はあの高嶺の花であるりっちゃんとデート出来ていたのかと思うと、自分を呪うしかありません。


 俺の親友である木村智和が、まるであり得ないと言わんばかりに口をポカンと空けていた。馬鹿に見えるからマジで辞めて欲しいのだけど、それ程までに彼女から異性を誘うのは珍しい事である。


 智和からは、変に茶化されて鬱陶しかったのでハイハイと聞き流して対応してみせる。何か理由があるはずだけど、そんなことも忘れて俺は冷静でいるように心がけて相沢立華との約束の放課後を待った。


 放課後の時刻になり、待ち合わせ場所の靴箱前に俺は向かっていた。すると、丁度ベストのタイミングで相沢立華と鉢合わせることが出来た。


 一気に緊張が走るが無理も無い。今までりっちゃんとは、十数年も会話をして来なかったのにいきなりのデート誘いである。女性経験の無い俺では耐えられないであろう。


 俺と立華は、口数も少なくぎこちない口調ではあったけど話すのが久しぶりであるにも関わらず会話が弾んでいた。


 「何でゴロちゃんは今まで私を避けてたの?」

 「避けていた訳じゃないんだけどね……」

 「避けてたじゃん。目線を逸らしたり声もかけて来なかったよ?」

 「それは、えっと。ごめん!」

 「ま、いいけどね。それと私、男の人とデートするの初めてなの。しっかりエスコートしてね?」

 

 ニカッと笑う彼女は、本当に可愛いかった。どうしてこんなに、素敵な笑顔が出せる純粋な子が死んでしまったのだろうか。彼女の自殺説を否定したくなった。


 ーー運命は変えられる。


 起こす行動一つで立華を笑顔に出来たのだから、きっと相沢立華が死ぬ未来を変えられると俺は信じたい。


 なぜ彼女が死んでしまったのか。


 今の俺には分からないでいた。


 

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