ボスモンスターくんかわいそう！
「おや、おやおや、おやおやおやおや〜？
なんだか地底洞窟の奥底に進んでいったらようやくコロッセオ的な闘技場的なあれこれそれどれ指示詞的ニュアンスを叩きつけられる建造物が見えてきましたねぇ〜ッ！！
ここまでの所要時間はおよそ一時間程！撮れ高は序盤以外無しの地獄街道旅巡りもようやく終着地点が見えてまいりましたっ！うれしいッ！！」
いやぁ〜長かったですわぁ〜っ！
動画のネタ回収する為に映画とかも見れんからなぁ…ずっと独り言呟いて自我保ってたワ！
危うク精神崩壊起こシて無我ノ怪物ニiiiiiiiiiiiっとあぶねぇ、CPU使用率急に上げたからバグったわ。脳が。
みんなはちょっとずつ上げようねっ！
さてさて、ここまでわたくしはどれぐらいのゾンビを捻じり殺したのかしら？ログ見てお伝えさせていただきますわよ〜
「おっ、250くらい殺してる〜草！レベルもちょいと上がって18になったねぇ偉いねェ！！
このゲームの詳細はさして知りませんけども、ヘルプ曰くどうやら25になると上位職に進化できるらしいんでね！ちなみに現実でだと25じゃまだまだ上位職にはなれないよ！」
というか一部【ハンター・ゾンビ】とかちょっと名前が違う変なゾンビがおるなぁ？
まぁ僕天才だからわかっちゃうんですねェッ！！
ズバリこのゾンビは上位種ゾンビと見た！普通のゾンビよりつよつよなアレっ！！
確定だし調べるのは面倒だから調べないでおこーっと、悪いが今日の給料はなしだヘルプくん。
俺が中抜したらうまい棒も買えなくなっちゃったから隠蔽しなきゃなんだ。
というわけで、次回からヘルプくんには無償で働いてもらいま〜すっ！お金は払えないけど経験になるからそれで十分でしょ！
「あ、外人さんも見るかもだし翻訳しとこ。
オウソーイズイット“コロッセオ”ディスイズアペンよしこれでオッケーッ！！
字幕もちゃんとアラビア語翻訳にして付けとこ！ん〜ワシ偉い子ッ！！バリアフリーな動画作りを目指しましょうね〜！」
ちなみにこんな話をしている間にも【狂化】くんは秒間5体のゾンビを花火にしています。
しかし景色が変わらんのだよなァ〜？ボクお話する内容が無くて闇落ちしちゃいそうだよ…
ぐへへ…福利厚生全部行き届いてると生き物ってのは欲が出るからなァ…
全部妥協点ぐらいのクオリティにするとちょうどよく扱える社会の奴隷が作れるんだよ…ひっひっひ…
「お、意識が暗転してるうちになんかちょっとデカいゾンビが出てきましたねぇ！！早速一匹殺されましたが、この【ウォリアー・ゾンビ】くんは【狂化】にどれだけ耐えれるのでしょうかッ！？
おっとぉ〜っ！解説している内に全員倒されたぁ〜ッ！哀れウォリアー・ゾンビ、為す術もありませんっ！！
そろそろ画面に代わり映えが欲しいですねぇ！？無限に適当な事は言えるがそろそろ視聴者飽きてんだよボケッ！！」
なんで身長高いのに筋力カスなんだよっ！？あり得んわぁ〜何ィ？ゾンビになって筋肉腐っちゃった的な話ですかぁ〜？
そんな話してたらそもそも死体が歩いてる時点でありえないんだよバァ〜カッ！！
オラ【狂化】ッ！さっさとコロッセオに入るんだよッ！！あと何十分かかるんじゃここからっ！？
時間食い虫っ！！映画見させろっ！！いや映画見りゃいい話じゃんか、見よ〜！どうせコロッセオまで撮れ高ねぇし。察したし。
何見よっかなぁ！最近見れてなかったからなぁ！
お！CM見て「面白そ〜」って思ってたけど仕事の関係上中々見に行けなくて空き時間で評価見たらボロクソに叩かれてて萎えた映画サブスクで見れるじゃ〜ん！見よっ！
▽▽▽▽
「…あ、クソ映画見てたらいつの間にかコロッセオ前に着いてますねぇ！ついてますねぇ〜っ！
映画どちゃくそにつまらなくて目線外してみたらベリ〜グッドタイミングッ！！
これには全米さんも涙目！！今回の動画脚色して映画館で上映すればアカデミー賞主演男優賞は確定ですねぇ！！」
クソ映画を閉じて片手間に低評価を入れる中、演出的焦らしとか一切なくがんがんと奥へ進んでゆく【狂化】くんは自重してクレメンス〜
まぁ自動レベル上げ機能に文句言ってもしゃあないか！諦めよっ！
お前は充分働いてくれてるよ…いい子だよ…僕は高望みしないからね…だから10万だけ貸してくれないか…？
今月ギャンブルで給料スッてピンチなんだよ…今日の競馬に出る馬が一位確定らしいんだ、倍にして返すからさぁ…！
「…さあ、【狂化】くんが道を進んでゆきます。
今に崩れ落ちそうなほど老朽化した壁、かつてこの場で覇を競い合ったであろう戦士たちが通った道を、着々と奥に進んでゆきます！
その先に待つのは果たして希望か、絶望か！？
戦士の容貌からは考えつかないほど無機質な風格はまさに異常の一言か、ゾンビ達もゴクリと息を飲みます！
さあやってきた選手控室、そこから続く闘技場の中央部への入口っ！
きっと【狂化】は気づいているのです、そこに何が、どんなものが居るのかを！
ゾンビたちがたくさん登場する辺りラスボスは察しが付きますが触れないでおきましょう、お約束です」
そして自動で開く目前の大扉。
【狂化】はそれに尻込みする事なく、平然とした無表情でその舞台へと足を踏み入れ────大地を踏む！
「うぇッ！？ちょ、なにこれバグ挙──！？」
『ぬぅおっ！？ちょっと待てお前、演出がよぉ！まだじゃんかよぉなぁ！？』
膂力を以て宙を舞い、今入ってきた入場扉の上部に隠れていたオーク・ゾンビ以上の体躯を誇る大型な鎧戦士に大剣の一撃を叩き込んだッ！！
急に予想外の動作してきた事には会話できる程度のAIを積んでいた敵性モブとワシも流石に驚愕の一言。なんかごめんね…？
「え〜流石に想定外の動作にびっくり仰天ですが、なんかモンスター見つかりましたねぇ？
運営くんも多分想定外だと思うんですけどなんかハイクオリティAI積んでたおかけで助かりましたわ！感謝〜！
さて鎧の貴方お名前なあにっ！」
なお【狂化】くんはワシの意志とは無関係に動くので鎧の人は(外部音声を取り込んでるのでゲーム内では聞こえない)発言中も繰り出され続ける大剣の連撃に「ちょ、自己紹介できないっ、ヤメテェッ！！」とタジタジの様子。
これはコツメカワウソ。
『く、くぅ〜っ！かつて最後まで生存した剣闘士は奴隷から開放されると確約された闘技場での戦いで優勝したというのに、突如として発生した地殻変動によって闘技場が潰れ永久に大地の中ひいてはコロッセオの中へ閉じ込められる事となった怨念と、聖職者によって鎮魂されることもなかった事でゾンビと化したこの俺、【チャンピオン・ゾンビ・キング】がここまで一方的に追い詰められるとは…ッ！！』
「なんか可愛そうだなコイツ」
まぁいいや！ゾンビになっちゃったんだからもうただの屍だし、とっとと南無阿弥陀仏してもらおうかな！！
こうして、狂化VSチャンピオン・ゾンビ・キングの戦いはぬるりと幕を開けたのだった────っ！
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